90年代邦画実況『燃えよピンポン』
便所に咲いた夏の恋やねぇ〜
関西テレビ放送。夏のビーチ。「なにわドリンク〜いかが〜なにわドリンク〜」とドデカミンのようなコスチュームをした女が旗を持ち声をかけている。そのころ後輩はデッキチェアに腰をかけ双眼鏡を片手に「う〜わっあのどこ座っとんやちっゆうねん」「たまらんな〜」「アホたら◎△$♪×¥●&%#?!」「ん〜いいなーええかげんにせえっちゅうねん!」と独り騒いでいる。すると「ええかげんにせえはお前じゃ!」バシッと後ろから先輩にはたかれる。「サボってるんとお前ちゃんと売ってんのかいな〜」「ヘイプリーズ!おう!これあげる〜カモーン」と休みの日までこんなことをやらされていると、愚痴をこぼす2人。「もうすぐ〜32っすか〜」「お前なぁ〜こらぁーー!!誰が32や!31や1、2なんて言ったら殺されるよもぉ」と先輩は歳には敏感なようで、大声を上げ全力でツッコミを入れる。そこへ赤いバラがシュっと飛んでくる。「マコやマコ〜」華麗な音楽が掛かるとピンクのハイレグ集団と共に貴族のような女性が登場する。「よかったら手伝って差し上げましょうか?」「ぬははははは」「せいぜい頑張りなはれ〜」とすぐにその場を退場。なにわドリンク先輩は、「ウチだってなハイレグ履いたらな100歩や200歩あっというまじゃボケ!」と訳の分からないツッコミをかわす!隣の後輩は「あぁあぁあ〜」とばつ印。ぼーんと気の抜けた効果音。その後、先輩は売れ残ったドリンクを20本飲み、お見合いパーティーの誘いを断り、トラックの荷台に荷物を乗せる。「あ痛たぁたぁたぁたぁたぁ」と腹をこわしトイレへ。「満タンですか〜?」「満タンです!アホか!」とさすがノリの良い先輩。急いでトイレへ駆け込もうとするが、コンタクトを落とした兄ちゃんに遭遇し、一緒に探すハメに。顔を上げるとピカ〜んと後光のように輝き、まさかの一目惚れ。ここでようやくタイトルが表示される。「どんなタイミングやねん!」と思わずツッコミを入れたくなる。楽しい休日が終わり、出社するのだが、なにわドリンク先輩はまさかの遅刻。運命の出会いに気がたるんでしまったのか。その頃社内では「なにわの〜力を支えて来た〜それがわが社の〜」と社訓の歌を社員で合唱。どんな会社やねん!この歌がしょうもなくて面白すぎる。「今日も〜」「元気に金儲け!」「儲けて〜」「未来は億万長者!」気合と根性でやり抜くってまさにブラック企業だ。最後は猪木で闘魂注入!そこへ先輩が登場。「ちぇーす!」「おやおや遅刻してしまいました!」てへっ。ピカーン。「こら!何回遅刻してんや!」生理を言い訳にするが嘘がバレて怒られてしまう。「便所に咲いた夏の恋やねぇ〜」席に着くと荷物を下ろすなりさっそく恋バナをはじめる。昼休みに仕事仲間とランチタイム。「ダイエットしてるのちゃうん!?」「今日は定休日また明日からするわ」と大量の飯をがっつく、なにわドリンク先輩。会社へと戻る帰り道、同僚に卓球しないかと誘われるが、ちまちましたのが苦手で蕁麻疹がでると誘いを断る。帰宅すると店を手伝ってくれと頼まれるが、「いややぁ、腕太なんねん〜」と一度は断るも、「しゃ〜しゃ〜」と鍋を振る。家では兄と鼻毛合戦するなど仲がよろしいようだ。後日、アポ無しで営業を行うも受付で引っかかってしまい口論になる。「課長か波長か知らんけど、頭パーンとかち割って脳みそぶれーんとミキサーにして、ちゅーと吸うてんぞ!お前!」とヤクザのような暴言を浴びせる先輩。するとまたピカーンという効果音が鳴り運命の人に再会。課長は、試合帰りのようでそれを聞いた先輩は「うわースポーツマンなんだ〜カッコいい〜」とはしゃぐ「あっじゃあ、当てましょうか」と唐突にクイズをはじめ「ラグビー?じゃあサッカー?あっわかった!野球」「テニスですよねー」「チッチッチ」「じゃあなんです?」「卓球です!」「はえっ!?」と、ばっちり変顔を決める。そこへマコが現れる。後輩からどうするんですか先輩?と焚き付けられ、「今日からとりあえず卓球教室通うわ!」「よっしゃウチはやるで〜」と意気込んでいるところへ悲しいお知らせが入る。今まで尽力を尽くしてきたハンダさんが今日限りで会社を辞めるそうだ。しかし肝心の本人が見当たらないようで「ハンダさーんハンダさーん」と大きな声で呼びかけると扉を開ける音がし、ハンダさんはシャツで手を拭きながらゆっくりと現れる「ハンダさんどうぞお別れの挨拶を」「あのーそうゆう訳で辞めますぅ。」「あはぁ!おめでとうー」ぱちぱちぱちと社内は、歓迎会のようなテンションで盛り上がる。先輩は本屋で卓球の本を買い、家では、しゃもじを使ってイメージトレーニングを行う。そして練習を始めたかと思いきや、だだっ広い敷地に卓球台を置き、なぜか柔道着を着て練習。しかも黒帯。6時間も練習したらしい。社内ではデートの約束があるノリちゃんに徹夜で練習を申し込む。休日、同僚に連れられ、卓球クラブを訪れるもマコに遭遇する。タツヤをめぐり社会人卓球リーグで決着をつけることに。屋上で、なにわドリンク先輩とマコの過去の関係が語られ、これまでも男を巡り熾烈な争いをしてきたことが、本人による再現VTRにより知らされる。なぜか話は大きくなり一個人のつばぜり合いからから、テンマボトラーズとなにわドリンクの会社をかけた闘いに発展する。負けたらクビ、勝ったら春の慰安旅行はハワイ。そして謎のOLミュージカル。タツヤとの食事では、緊張のあまり、ベルマークを集めビデオデキッキと交換した話を披露し、「歳がバレますやん」「あーっっ」と大声を上げ自爆。やはり年齢には敏感なようだ。トイレでデオドラントスプレーを脇にシュとプッシュすると、後輩たちからもらったアドバイスが書かれた絵巻物を広げて確認。トイレを出ようとするが足が地面にくっつき動かない!そこへマコが現れ「ざまぁミソラシド〜」ケツに向かってズボッ!「後は私にお、ま、か、せ」置き去りにされるなにわドリンク先輩。あとから出てくるのだが漫画のようなオチはよく分からず。必殺技を教えてもらうため、卓球の達人リーバーさんを訪ねるが3年前に死んでしまったらしい。しかし弟子がいるらしく、電車に乗り険しい山道を歩き目的地へ向かう。途中、野糞してる男に遭遇するもなんとかたどり着く。しかし、そこに現れたのはこの前会社を辞めたハンダさんだった。そして2人は農業を手伝うことに。そして正式に門下生として認められる。魚が獲れず夕食は白米とたくあんのみ。まるで戦時中のようだ。手掴みで魚も獲れるようになり、第二段階のトレーニングが終了する。そしていよいよ実戦へ。「あいや、あいや、あいや」師匠の球を見事に打ち返す。ピストルトレーニングに、立てこもり犯をラケットで撃退し、修行は終了。しかし肝心の試合の日はもう過ぎており、急いで会社に戻ると社長は首を吊る寸前で2人の帰りを迎える。試合を放棄したせいで会社の売り上げは落ち、社員は自宅待機しているという。なにわドリンク先輩は会社の社運を賭け試合に挑むがもはや卓球ではない。まず審判がいないし、誰も見ていない。主演は劇団☆新感線所属の高田聖子氏。見事にハマり役であり、この映画の出来を左右する重要なピースの一つとなっている。監督は三原光尋氏で『SLAP HAPPY』の印象が強かったため、驚いた。作風が180度違い同じ人間がつくったものとは誰も想像できないだろう。
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