芸術の力
瀬戸内海に浮かぶ小さな島“豊島(てしま)”
以前『ミルクの島』や『福祉の島』とも呼ばれて豊かな島だったのが
違法な産業廃棄物の不法投棄のために『ごみの島』と言われる惨状になる。
産廃を野焼きされ、悪臭に苦しめられ、それまで健康だった子どもたちが何人も喘息になる健康被害もあった。
なかなか因果関係などの証明できず12年間も惨状が続いた。
産廃は、都市部ででたごみ=都市の豊かさのツケ
それを遠く離れた島に押しつけた結果でした。
産廃事件から風評被害もあり観光客などほとんど来なかった島。
2010年瀬戸内芸術祭が始まった。
直島 女木島 男木島 小豆島 大島 犬島 豊島の七の島と高松を舞台に
過疎や高齢化の進む島の活性化を目指し
18の国と地域のアーティスト75組が招かれ、
浜や港、棚田や山、廃校や廃屋などに作品が展示された。
回数を重ね 2019年には計107日間に118万人が訪れた。
豊島にも14万人も来場者来た。
そこから新たな交流や親交が深まり、傷ついた島の復権に繋がっていく。
美しく豊かな島が放浪され、また再生されていく話を知り
人間の傲慢さと優しさの両面が突きつけられる思いがする。
再生のきっかけに芸術の力があったことも心に残る。
私には、一見なにを表現しているかわからないような現代アートですが、
クリエイターの深い思考がうみだす美の世界
自然の中や廃校などそこに意味を持たせる力があり、
それにまた人が引き寄せられていく。
芸術は生きていくために絶対必要な物ではないかもしれないが、
人間の根源に関わる力を持つものであると思う。
見て感じたことがなぜか心の琴線に触れるとたまらない力を発揮する。
芸術祭をきっかけに豊島の魅力に魅かれて移住してくる人たちも出てきた。
島の良さ、島の価値を島の外から来た人たちとのふれあいで、
再発見する島民。
人の営みにやはり心惹かれますね。
人のエゴにより傷ついた島や島人たちが
再生され、一段と魅力を再発見することこそ
未来への警鐘となる。