運命の出会い と 謝らないイキガンチャー
沖縄最終日
気温27℃。
午前中は壺屋やちむん通りを散策する。
ここは「ハナタレナックス」でも「おにぎりあたためますか」でもナックスメンバーが来ていたところ。
どうしても買いたいやちむんがあった。
それは
毎日使うマグカップ。
GW前、私のお気に入りのマグカップが割れた。
朝起きたら、キッチンに割れたままのマグカップが置かれていた。
それを見た私の驚きと悲しみと怒りは一気に爆発して
誰がやったんじゃー!と叫んだが、
その時間にはもうすでに家に誰もいなかった。
三男くんは早番だったから、いないのは当然だが、いつもは7時半くらいに出勤する夫もいない。
一時間も早く出て行っている。
分かりやすい。
犯人は
夫
お前だな!!
飲み口が薄めで、円錐の形がかわいくて、持ちやすい。
そして、私にしてはちょっとお高めの値段だったけど、えいって買ったマグカップだったのに。
悲しいけど、形あるものはいつか壊れるんだ。
しかたがない。
諦めて新聞紙に包み、ありがとう と燃えないゴミのごみ箱に入れた。
当然、割った犯人は帰ってきたら謝ってくれるのだろうと思っていた。
いつも通り帰宅した夫は、いつも通り風呂に入り、いつも通りビールを片手に所定の位置に着き、いつも通りテレビを見ながら飲み始めた。
おいおい おーーーい
なんか言うことないのかーい。
しびれを切らした私が
「マグカップ割れてたんだけど。」
と夫に詰め寄ったら、
なんて言ったと思う?彼。
「片づけようとしたら割れた。」
で?
「朝、時間なかったからそのままにした。」
で?
「それだけ。」
はぁ?
あのマグカップ、わたしがいつも使ってたやつだって知ってるよね?
「そうだっけ?」
とぼけているのかと思って彼の顔をまじまじと見た。
どうやら、本当に分かってなかったらしい。
彼にとってはただカップが割れただけの事なのだ。
なんで私が怒っているのか分からないって顔だ。
いや
だとしても
だ
割っちゃったんだから
ごめんなさいは?
ごめんなさいっしょ?
ごめんさいって言えや!
しかし
いつまで待っても夫は謝らなかった。
それから私は、模様は好きだけど飲み口がちょっと厚いマグカップでコーヒーを飲んでいたのだ。
このやちむん通りならきっとあると信じて
私の理想のマグカップを探し求め、一時間ほど通りを行ったり来たりしたが、気に入ったものは見つからなかった。
私以外のみんなは目当てのものを買い終わって、一休みしようということになって入ったカフェで頼んだかき氷。
これが絶品。
ふわっふわの氷の下には甘い金時豆がいっぱいで、黒蜜が上品な甘さでなめらか。氷と一緒にすっと溶けていくのだ。うまい。
結構量が多めだったので、長女ちゃんと二人で食べてちょうど良かった。
その後も何件かお店に入って探したのだが、私の欲しいマグカップはなかった。
最後のお店を出ようとしたその時、
出口の横の小窓から差し込む陽の光が、
まるでスポットライトの様に小さなコーヒーカップを浮かび上がらせた。
こ、これは!
飲み口が薄くて円錐形、少し小さめだったが持ち心地も悪くない。
ゴーヤの模様がいかにもやちむんっぽくてめんこい。
まるで
「私を連れて帰って。」
って言っているみたいだ。
すぐにレジに持っていった。
値段を聞いてちょっと驚いたが迷わず購入した。
これは運命の出会いだ。
私は君を一生大切にします。
割れても金継ぎして使います。
棺桶に入れてもらいます。
とプロポーズみたいなことを思った。
その後レンタカーを返し、空港で昼食をとり、集合時間を決めて各自お土産を買うことにした。
私と次男くん夫婦は集合時間通り保安検査場前に来たのだが、
長女ちゃん夫婦が来ない。
ラインしても返事がない。
次男くんが探しに行き、私と次男くんのパートナーちゃんは先にチェックインして中で待っていた。
搭乗時間ギリギリにやってきた長女ちゃんは見るからに怒っていた。
姉ちゃんの怒ったときの怖さを知っている次男くんは少々おびえていたが、
長女ちゃんのパートナーくんは全くいつもと変わらない。
なした?って長女ちゃんに訊くと、
「○○(パートナーくん)に時間ないからやめなって言ったのにばかみたいにいっぱいお土産買ってさ!。迎えに来てくれた次男くんにごめんも言わないし、反省もしない。なまら腹立つ!。」
なんと、
ここにもいたか、
謝らないやつ。
まあまあと彼女をなだめて、札幌行きの桃色の飛行機に乗り込んだ。
少し寝て、ダウンロードしてた二度目の「ボヘミアンラプソディ」を観終わったら
もう、北海道上空。
「現在の札幌の気温は13℃です。」
とのアナウンスに、長女ちゃんと顔を見合わせて
さむっ
と同時につぶやいた。
27℃から13℃。
14℃差。
日本って縦に長いんだなぁと実感した。
そして、旅の最後に撮ったのがこの写真。
桃色の航空会社の整備士っぽい姿に異常に反応してしまうのは、子残念(戸次重幸推し)の性である。
家に着いたのは10時過ぎ。そのまま寝て次の日、
夫にお土産の壺屋焼きのご飯茶碗を渡し、
私の新しいマグカップを見せて
「これは、私が使って私が洗って私が片付けるので、あなたは絶対に触らないようにね。」
とにっこり笑って言った。
沖縄三泊四日。
聖地巡りして、スキューバチャレンジして、おいしいものを食べて、自然の偉大さに触れ、そして沖縄が抱えているものを知りたいと思ったこの旅。
ありがとう子どもたち。
母はまだまだやりたいこといっぱいなので、これからもお付き合いお願いいたします。
ありがとう 沖縄。
大切なものはなんなのか、ちゃんと自分で調べて自分で考えます。
気づかせてくれた沖縄の美ら海に感謝します。
そして
これから、
たぶん、
ずっと
「島人ぬ宝」を聴くたびに
胸が痛くなってしまうんだべな。
長々と沖縄の旅にお付き合いいただきましてありがとうございました。
また今日から
推し活 がんばっちゃうよーー!
したっけ
*イキガンチャーとは沖縄の方言で
男たち という意味です。
マガジンに沖縄の思い出集めてます。