『トウキョウ ト キョウト ~ウドン ト ソバ~』
東京から京都に引っ越してきて感じた関西の特徴を
少しのフィクションを加えたノンフィクションでお伝えします。第3弾です。
『トウキョウ ト キョウト ~ウドン ト ソバ~』
弁当男子になって久しい。
弁当男子になろうと思った理由はいくつかあるが、
東京にいた時からの女友達の一言が大きかった。
その友人は知り合いというフィルターを抜きにしても
容姿端麗で、英語が話せて、新卒で入社した商社でも結果を出している、
いわゆる「才色兼備」を地で行くような女性なのだが、
失礼な話、結婚相手は拍子抜けするほど“普通”の人だった。
友人として本当に申し訳ないが、もっとカッコいい人やもっとお金持ちの人だって結婚できただろうに、と本当に一瞬思ってしまった。
その友人に子どもが出来て、産休に入って時間が出来たというので久しぶりに会った時に旦那の話になり、
それとなく(旦那の)どこが良かったのかを聞いたところ、
「生活力があった」と即答された。
聞くと、旦那は高校生の時から親元を離れ寮暮らしをしており、
大学も奨学金で通い、社会人になって返し終えて、
それからは貯めたお金で海外旅行にも行っているという。
「どんなにカッコよくても、どんなにお金を持っていても
(とは言わなかったが)
生活を営んでいく力がないと将来が見えないんだよね。」
「今の時代、大きい会社でもつぶれるかもしれないと思ったら、(お金じゃなくて)生きていく力の方が圧倒的に必要」
とも言っていた。
その時は「へぇ~」ぐらいにしか思わなかったのだが、
友人の子どもが無事に生まれて数カ月たって会いに行った時に言われたのが
「一人暮らしの家事と育児しながらの家事は雲泥の差があるわ。
なめない方がいい」
出産前の一言よりもこっちの一言の方が心に刺さった私は、少なくとも一人暮らしのうちから家事は全部やろうと決めた。
そして出来ていなかったり自炊をできる限りすることを決めて、
その翌日には弁当箱を買いに行った。
というのが弁当男子になった理由だった。
あれからもう1年以上が経ち、
この1年間でランチを外に食べに行ったのは平日だと2回ぐらいしかない。
それ以外はどんなに不格好でもお弁当を持ってきて会社で食べている。
もちろんまだ奥さんがいないので自分で作っている。
そして弁当男子になって知った「社内の弁当男子率」にも驚いた。
社長以外社内の男性陣は全員弁当だった。
あまり大きくない会社だし、ほぼ既婚者という状況もあるだろうが、
なんとも出遅れた感は否めなかった。
弁当男子になる1年以上前はというと、
平日は100%外でランチを食べていたので、
会社周辺のランチ事情には詳しくなった。
会社から一番近いランチ所はセルフ式のうどん屋で、近くの会社員でいつもにぎわっていた。
同じ通りに蕎麦屋もあったが、店の大きさが違うせいか、賑わいは感じなかった。
よく「蕎麦屋は関東に多く、うどん屋は関西に多い」と言われ、
実際に東京で勤めていた時は会社の近くに蕎麦屋が5,6軒あったのを思い出せるが、うどん屋は2軒しか思い出せない。
京都に来てから家の近くや会社の近くでも、うどん屋ののぼりはよく見るが、蕎麦屋はあまり見かけない。
やっぱり関西人はうどんが好きで、それに合わせてうどん屋も出店しているのかなと思い、
試しに家から半径1.5kmと会社から半径1.5kmに
うどん屋と蕎麦屋がどのぐらいあるか調べたら、
どちらもちょうど同じ店舗数だった。
蕎麦とうどんはどっちが好きかと聞かれると
今では「どっちもちょうど同じ。怖いぐらいピッタリ」
と答えるようになった。