臨床工学技士から医療AIのプロダクトマネージャーへ〜医療の現状をテクノロジーで改善したい〜
みなさん、こんにちは。
Cubecのプロダクトマネージャーをしている酒井です。
Cubecメンバー紹介vol.3となる今回は、臨床工学技士をしていた私がCubecにジョインした理由と、プロダクトマネージャーとしてどう働いているかを紹介します。
臨床工学技士として約1000件の心臓手術を担当
大学卒業後、私の最初の仕事は病院に勤務する臨床工学技士でした。主に心臓手術で人工心肺の操作管理を担当していました。一般的な臨床工学技士というと、さまざまな機械を扱う何でも屋さんのようなところがあります。私の場合は心臓に特化した病院に勤務したため、4年で約1000件の心臓手術に立ち会ってきました。
少しでも目を離したら生死に関わるような世界での仕事です。臨床工学技士は主に二人体制で手術に立ち会うのですが、常に緊張感が張り詰めていた日々でした。手術中は患者さんを救うという一つの目的に医師とチームで向かうのですが、機械を動かす場面では臨床工学技士が患者さんの命を預かっていることになります。責任感が求められる仕事ですが、大きなやりがいも感じていました。
当時、一緒に働く技士の先輩から言われたことですが、人工心肺は誰が担当したとしても、99.99%は同じ結果が求められる仕事です。残りの0.01%の部分は臨床工学技士の経験や技量によるところになります。基本をしっかり抑えることが大切で、かつ多くの経験を積むことが大事な仕事でした。
医療の現場をテクノロジーで改善したい
もともと、私が医療に関心を持ったきっかけは、看護師をしていた母親の影響です。子どもの頃から機械が好きで、パソコンをいじるのも好きでした。興味のある医療と機械を組み合わせた職業として、臨床臨床工学技士という仕事があると教えてくれたのも母親でした。
臨床工学技士になるには大学の臨床工学科などに進むことになるのですが、中学生の頃、家庭教師の先生が偶然、臨床工学科に通っていました。その影響もあり、中学生の時点では、臨床工学技士の道に進むんだと目標が決まっていました。
大学卒業後、実際に臨床工学技士の仕事に就けたときは嬉しかったです。ですが、実は想像していた仕事とは若干違う現場でした。私は医療と工学をつなぐ研究と開発をもっとやりたかったのですが、その部分は想像以上にできなかったですね。とはいえ、人工心肺の臨床工学技士として手術に立ち会い、やりがいのある日々を送っていました。
Cubecにジョインした理由
もともと医療と工学をつなぐ領域に興味があったこともあり、医療の現場で働く中で、医療の現場にはもっとテクノロジーを活用できるのではと考えるようになりました。
たとえば、医療事故をいかにしてなくすかは大きな課題です。医療事故には様々な原因がありますが、患者さんのためにも、医療従事者のためにも、テクノロジーで解決できることは多いのではないかと思っていました。
また、私がプログラミングで開発したツールを医療現場で活用したことがありました。最近はノーコードでソフトウェア開発ができるようになりましたが、あるツールを開発したところ医療現場で非常に喜ばれたのです。
医療とテクノロジー、この二つが重なる領域で今後のキャリアを歩んでいきたいと考えていた頃、心不全の治療提案AIを開発しているCubecの存在を知りました。私の個人的な思いと「最善の医療を、すべての人の手に。」というCubecのミッションは重なるところが大きく、正社員としてフルコミットで働くことを決めました。
プロダクトマネージャーの仕事
Cubecでは現在、最初のプロダクトとして心不全に特化した治療提案AIを開発しています。これは、国立循環器病研究センターをリーダーとし、琉球大学、帝京大学、名古屋大学医学部附属病院、九州大学病院、株式会社Cubecの共同研究として進めているものです。
2027年の上市を目標に、2024年から段階的にAIを提供していきますが、私の役割はプロダクトマネージャーとして、プロダクトの方向性を決め、プロダクト開発全体の監督をするのが役割です。
Cubecでは専門医、かかりつけ医にインタビューを行いながら、プロダクト開発に役立てています。そのインタビュー結果の分析もプロダクトマネージャーの仕事です。現在はMVP開発の中で、約30名の医師にインタビューをして、医療現場にあるペインを分析しプロダクト提供価値の解像度を高めているところです。
心不全の治療提案AIは、患者個別の状態に応じた治療調整や、専門医への紹介判断に関する意思決定を支援するためのプロダクトです。これを実現すれば、かかりつけ医のサポートに繋がり、患者さんを救うことになるはずです。ですが、実際にはまだどこにも存在していないプロダクトの開発です。
私は臨床工学技士の後、プログラマーとしてアプリ開発に携わっていましたが、プロダクトマネージャーとしての経験は今回がはじめてです。
未知のプロダクトをどう開発して昇華させていくべきか、プロダクトマネージャーとして不安を感じることもあります。そんな時は、CEO奥井さんがタスク支援で入ってくれることで、スムーズに進行させることができています。
かかりつけ医をテクノロジーで支援する
心不全の治療提案AIは2027年に上市を予定していますが、提供開始してもそこで終わりではありません。Cubecのサービスを使ってくれる方を100名、1000名と増やしていきながら、よりよいサービスとして改良を続ける必要があります。
手術に立ち会っていたときは一人ひとりの患者さんに向き合っていましたが、Cubecではかかりつけ医の支援を通じて多くの患者さんと向き合うことができます。私一人でできることには限界があるので、誰かの力を借りる、仕組みを作ることで、より多くの患者さんを助けることに繋げていきたいです。
もし、このnoteの読者でCubecのミッションに共感する方がいたら、ぜひカジュアル面談から申し込んでみてください。
Cubecでは現在、データサイエンティスト、事業開発、エンジニアリングリードなどの仕事を募集しています。
Cubecメンバー紹介 一覧
vol.1 【データサイエンスチーム中村】
臨床医を目指す医大生が、医療AIのCubecでデータサイエンティストとして働く理由
vol.2 【データサイエンスチーム新井田】
データサイエンティストのマインドチェンジ〜ディープラーニング時代から生成AI時代へ〜