CSキャリア”インタビューリレー”第十六弾
インターン時代から現在の会社で活躍されている豊田(とよだ)モハマドアリ英司さん。
事業や組織の立ち上げを経験し、今はマネージャーとして既存事業を牽引しながら、次の新規事業立ち上げにも携わっていらっしゃいます。
ゼロイチを追求したいと語る豊田さんのこれまでのご経験や、今後目指したい長期的なキャリアの目標について、お話を聞いてきました!
はじめに
-こんにちは。今回は、株式会社KOMMONSが企画する”CSキャリアインタビューリレー”の第十六弾です。
株式会社KOMMONSは、カスタマーサクセスに特化したサービスを提供する会社です。企業向けのカスタマーサクセス支援サービスやカスタマーサクセスを職業とする方たちのコミュニティを運営しながら、カスタマーサクセスの方たちが自信を持って働ける世界を目指しています。
インタビュー内容
【1】豊田さんのご経歴
新卒で株式会社battonに入社。※Company Deckはこちら
正式に入社する以前からインターンとして、RPA事業のオンボーディング設計などを担当し、CSの再立ち上げに貢献。
新規事業である受発注バスターズの1人目のCSメンバーとして、カスタマーサクセス・カスタマーサポート・カスタマーセールス・カスタマーマーケティングといった複数部門の立ち上げを経験し、現在は同事業のCS責任者を務める。
受発注バスターズのCS責任者として日々つぶやくSNSはこちら
【2】新卒入社2年で2つのプロダクトを経験
豊田さん、本日はよろしくお願いします。
新卒で入社されたのが二年前なんですね!目まぐるしく、色んな部署や新規事業の立ち上げもご経験されていることに驚きました。
2022年に新卒で入社しています。入社が内定したときからインターンをしていたので、最初のRPA事業では、カスタマーサポートも含めたオンボーディング担当をインターンも含めると1年半くらい経験しました。
2022年の末頃に新しく「受発注バスターズ」というプロダクトが立ち上がり、1人目のCSメンバーとして関わることになりました。経験している会社は1つですが、プロダクトは2つ目になります。
1つ目はすでに立ち上がっていたプロダクトだったので、4、5人くらいのCS組織の1人として入りましたが、2つ目はマネージャーとして1人でCSを立ち上げる経験をしました。
カスタマーサクセスだけでなく、カスタマーサポートの文脈でプロフェッショナルサービスというか、一部BPOのようなかたちでお客様のプロダクト設定を代行するチームの立ち上げにも携わり、1年くらい経った今は、カスタマーセールスとカスタマーマーケティングの領域でもチームの立ち上げをしています。
カスタマーサクセスという部署のなかで、それぞれのチームを立ち上げているという感じですね。
さらに、カスタマーサクセスもやりつつ、社内で「グロース本部」と呼ばれる別組織の立ち上げも担当しています。
弊社の組織構造が少し特殊だと思うのですが、経営をトップとして、マーケティングやセールス、カスタマーサクセスなどの各部署が紐づいているほかに、各部署のメンバーが兼任しながら全社を横断するグロース本部があります。
グロース本部では、社内の全体的なオペレーションや、合宿・展示会など全社に関わるイベントを統括しています。
カスタマーサクセスの部署も自分が責任をもって担当していますが、プラスして全社横断のグロース本部の立ち上げもやるなかで、CSだけでなく全社の状況もみながら、有志を集めたり、取りまとめをしています。
色んなところに顔を出す何でも屋という感じですね。
【3】スタートアップで本当のゼロイチをやりたかった
インターンの頃から今の会社でご活躍されてきたと思いますが、そもそも現在の会社に入ろうと思った理由をお伺いしてもいいですか?
自分でゼロからイチをやっていきたい気持ちが強かったので、もともと、スタートアップやベンチャーと呼ばれる企業に興味がありました。
大手と呼ばれる企業にも新規事業はあるものの、とはいえ一部は出来上がっている部分があると思うんです。
自分はどちらかというと、出来上がる前や出来上がった直後に、どれだけかたちにできるかという部分にすごくやりがいを感じますし、それがやりたいことでした。
そうしたなかでご縁があり、今の会社に入社したという経緯があります。
入社後にCSをやることになったのは、自身で希望を出したからなんですが、結局、プロダクトやサービスは使っていただくユーザーが一番大事であり、どれだけ顧客理解をできるかが重要だと思ったからです。またそれは、セールスでもCSでも開発でも同じだと思っています。
SaaSも含めた全サービスにおいて、いかに顧客を理解しているかが、社内や組織のなかで声を大きくしていくことができるか、上流の話ができるかにつながっていると思います。
そして「誰よりも顧客を理解できる場所はどこか?」と考えたときに、自社の場合はCSが一番顧客と密な関係を築けるので、やりたいなと思っていましたし、会社としてもCSのポジションが空いていたので、運よくやることができたのが始まりです。
以降はあまり意識はしていないですが、流れでずっとCSをしています。
他にも色々やっていることもあり、CSにこだわっているわけではないものの、CSの人間だという意識はありますね。
改めてお伺いすると、ゼロイチをやりたい気持ちも、顧客と密に関わり理解したいという部分もそのまま叶えられているような2年間ですね。
たしかに叶えたかったことを経験してきましたが、色々なことをやればやるほど、どこにいても結局は顧客に立ち返ると感じています。
セールスやPdM的な動きをする際にも、顧客を知らなければプロダクトをどうするかという話にはならないと思うので、結果的にずっとCSをしているなというのはありますね。
【4】Hackできる伸びしろに面白さがある
ゼロイチをやりたいという気持ちからスタートアップを志望されたのは、ご自身の経験からくる想いがあったのでしょうか?
前提となる自身の性格として、出来上がっているものをどうにかしたいというよりも、自分でつくっていきたいという気持ちは強いと思います。
例えば、とても素敵なものがあったとして、その価値を出すには、もともとある価値をどうやって訴求するかというマーケティング的な思考になると思います。
そうした状況では、訴求するひとや企業によってやり方が変わることはあっても、価値となるコアな部分がガラッと変わることはあまりないと思うんです。
ベースにある共通認識を前提として、それをどうやって変えるのかという議論になりがちで、一見クリエイティブに見えても、自分はそこにクリエイティブな要素をあまり感じないんですよね。
対してゼロイチでやる時は、そもそもの根幹となる部分から考えることが必要ですし、むしろ自分たちでコアの部分をチェックして、変えていくこともできるところが、自分はとても面白いと思っています。
振り返るとこれまでも常にそういう状況にいたのだと思います。
学生時代はずっとサッカーをしていたのですが、いわゆる強豪校と呼ばれるような環境でメンバーも多かったです。でも試合に出れるのは11人しかいません。
まず、一つの学年にだいたい90人くらいのメンバーがいるので、自分の学年だけでも出場できる確率は10%程度という状況下で、いかに自分をつくって食い込めるかという競争を楽しめる部分はあったと思います。
その上で、もともとの土壌があって何かを発揮するという武器がないなかで、自分でどれだけ創意工夫できるか、むしろなにか別の新しいことをつくっていけるかに挑むのがすごく好きでした。
そうした経験も、CSに惹かれている背景なのかもしれません。
CSもまだまだ発展性の伸びしろがあると思っています。
企業やサービスによって、カスタマーサクセスの定義も変わってきますし、カスタマーサクセスだけではなく、カスタマーセールスやマーケティングという領域もあり、ポテンシャルがとても高い領域なので、それを楽しめているのかなと思います。
逆にいえば、例えば営業はすでに多くの型があり、それはそれで面白いのですが、自分でHackできる余地が少ないと感じます。自分でHackしたい気持ちが強いので、その意味でもCSを楽しめているのかなと思いますね。
【5】マネージャーと新規事業推進を兼任
今現在携わっているお仕事の内容を、詳しく伺ってもいいですか。
1つは、受発注バスターズという注文書特化のAI OCRサービスのマネージャーをしています。
マネージャー業務としては、何名かいる部下の統率がメインですが、加えてカスタマーセールスのような役割も担っています。
具体的にはエクスパンションや、マーケティングの側面で事例を聞きにいくなど、売上を上げるための施策にフォーカスした動きをしています。
ユーザーのなかには大手企業様もいらっしゃるので、製造業や卸売業のお客様と密接にコミュニケーションを取りながら、事例動画への出演依頼や、実際に足を運んで一緒に動画撮影をしたり、あとはエクスパンションの提案をするのに、アップセル・クロスセルをいかにできるかにコミットしています。
オンボーディングについて統率はしていますが、実働はカスタマーサクセス組織のなかにあるカスタマーサポートチームが担当しているので、チーム管理とチームリーダーの支援をしています。
さらに兼務で受発注バスターズのPdMもしています。
顧客から来るフィードバックに対して、開発とやり取りをしながら「今、こういう声が大きいです」や、「こう言われていますが、今ではないと思います」などの会話をしながらプロダクトに反映しています。
2つ目は、別の新規事業立ち上げにも関わっており、クロスセル商材として受発注バスターズとのシナジーを生み出せるようなプロダクトをつくっています。
自分ともう1人の2人でプロジェクト化して、現場ヒアリングでの課題抽出や、ニーズの探索、必要な機能要件の整理などをゼロからアイディアベースで進めています。
受発注バスターズのマネージャーとして事業を軌道に乗せるだけでなく、豊田さんらしくゼロイチも同時にやっているんですね!
自身がやりたいと希望もしましたが、受発注バスターズをやっていくなかで、より発展的なサービスもできそうだという話になり、追加機能のレベルではなく、もう1つ新しいサービスにしようとなりました。
具体的に進めるためのやり取りを経営陣とするなかで、「では自分がお客様に話を聞いてきます」と言ったのが最初だったと思うのですが、実際にある程度の課題や需要が見えてきたというのもあり、ちゃんとプロジェクト化して責任者として進めていくということになりました。
【6】自分がいなくても回る組織をつくる
色んな軸を持ったキャリアを歩まれてきたのだなと感じました。
インターンから始まり、事業立ち上げやマネージャーなど役割が変わることで、ご自身の考え方なども変わってきたと感じることはありますか?
明確に違うのはメンバーとマネージャーのところですね。
メンバーは個人としていかに業務にコミットできて、成果を出せるかがポイントですが、あくまで評価が自分のしたことに対する評価なので、自分がどれだけやれるかに左右されやすいですし、わかりやすいんです。
例えば、アポイントをどれだけやって、どれだけ定着させられるか、リテンションさせてチャーンを減らせるかにフォーカスするので、自分が自分がという部分がすごく多くなり、自分フォーカスでやれば結果も出るし、評価もされます。
マネージャーは逆で、いかに自分の仕事をなくせるかがポイントで、自分じゃなくてもできるひとたちをどれだけ増やせるかが重要です。
矛盾しているようですが、自分がいないとだめなくらい自分も頑張るのですが、自分がいなくなっても回る組織をつくることをマネージャーとしてのテーマにしています。
個人的には、唯一無二になりたいとは思います。ですが、自分がいなくなって崩れてしまう組織をつくってはダメだと思っているので、そこがメンバーだった頃とはかなり違うところですね。
評価や成果についても、自分がどれだけやったとしても、他のメンバーができていなければ評価に値しないですし、成果も認められないというのがマネージャーです。
いかに自分がやらなくても、みんなが円滑に進められるようにするのがマネージャーなので、自分でやることがすごく少なくなりましたし、意識して少なくしているというのはかなり違うところですね。
だからといって、時間がたくさんできるということではなく、みんなにやってもらうために、裏での根回しや、細かいものを準備しておくなどのオペレーションのようなものは大事だと思って時間をかけています。
相反する能力のような、立ち位置を両方考えるのはすごく難しそうだと思うのですが、豊田さんご自身は楽しんでいらっしゃいますか?
楽しんでいますし、一緒にやっているメンバーも優秀なので、どんどん自分の仕事を奪ってくれていますね。ただ譲渡しているだけではなく、みんながちゃんと拾ってくれたり、むしろやりますといってくれる状態になっています。
これは全社でもそうですが、組織の価値観やスタンスがすごくいいなと感じています。
【7】立ち上げ期ならではの難しさ
これまで壁にぶつかったエピソードや、苦しんだなと思う経験はありますか?
立ち上げ時の何が合っているのかわからないという時期ですかね。
例えば、オンボーディングのプロセスを設計はするものの、最初はそもそもの顧客数が多くないので、サンプル数がない状態なんです。とはいえひとそれぞれでやるのはうまくいかないので設計はするんですが、時間とコストをかけて頑張ってつくったプロセスでも、こういうお客様は対応できなかったから違うなという感じで、一週間後には崩れているというのもよく起きます。
ある程度お客様が増えてきた状態なら「これはイレギュラーだろう」といえるのですが、10社中2、3社で同じことが起きたことがあり、確率としては2、3割ですが、2、3社で起きたという事実をどう捉えるべきか、何が合っていて何が間違っているかがわからず、レギュラーとイレギュラーを区別できない場面が、立ち上げ時期のオンボーディングでは結構ありました。
あとは、冒頭にご紹介したプロフェッショナルサービスでも全体の設計や、お客様に準備していただく部分をどうするかというプロセスの組み直しを1年で30~40回くらいしています。
もちろん全部をガラッと変えるのではなく、細かい部分も含めてですが、プロセスが一通り出来上がるまで1年くらいかかって、今も改善しているところがあるので、何が合っているのかがわからないなかでやり続けるのは苦労した部分ではあると思います。
壁が目に見えて出てきたときに、ご自身なりの乗り越え方はあるんでしょうか。
基本的に、できないとは思っていないですね。何をどうやったらできるかを常に考えています。
うまくいかないなら違う方法をやってみるとか、これをこうすればいいのか?みたいな感じで、できるかできないかという考え方はしません。
これがだめでこれもだめならパターンCだなというのをずっとやり続けて、ある程度メンバーも納得してくれたら組織としてもうまく回るという感覚があります。
メンバーや実際に手を動かす人たちの定性的な感覚というか、納得感をどれだけ得られるかにフォーカスしていくと、変えた方がいい点はすぐにフィードバックが上がってきますし、変えた後にフィードバックが少なくなってきて、これで行けそうなのかなというのを繰り返していくと自ずと出来上がっていきますね。
マネージャーとしてメンバーに業務を譲渡することも含めて、みんなにどれだけ気持ちよく支援をしてもらうかにフォーカスした結果、自身のつらさを考えることがなくなった気がします。
【8】ひとのために稼げる自分になる
豊田さんのマインドセットがあるからこそ、立ち上げや他の様々な取り組みも楽しめてきたんだなというのを感じました。
最後に今の会社や事業、それ以外も含めて、今後描きたいキャリア像があれば教えてください。
個人のテーマとして、ゼロからイチをとことん突き詰めて追求していきたいなと思っています。
それを達成した後に、次は1から10など新たな別のことをやりたくなるかもしれませんが、今はゼロから新しい価値やモノをつくっていくところをすごく大切にしています。
今は会社のなかで新しい事業としてゼロからイチをつくったりはしていますが、これを達成できたときに、いずれは自分の力で会社を興すことも視野に入れています。
自分の力でゼロから考えて、イチを生み出し、イチを発展させるために、色んな仲間を集めることができたらすごく楽しいだろうなと思っています。
とはいえそれもあくまで1つの通過点で、最終的にはひとのためにお金を使いたいという想いがあります。
ゼロからイチを目指すのも、ビジネスとしてちゃんとマネタイズする経験がすごく大事だと思っているのと、そうして稼いだお金をいかに使うかというところにすごく興味があります。
具体的には、ベンチャーキャピタルや財団のようなものを自分で稼いだお金でつくってみたいというのが長期的な目標ですね。
結局、自分のためだけに頑張るのが無理な人間なんですよ。ひとのためにやるなら色々できる力が湧いてくるので、自分のためにお金を稼ぐのは限界があるなと思ったんです。
ひとのためだったらいくらでもお金を稼げると思ったので、例えば、ベンチャーキャピタルで企業に出資するという方法もあれば、財団をつくって学生の留学支援や、スポーツ振興の支援ができると思えば、自分も頑張れるし、自分と一緒に働いてくれるひとも一緒に頑張れる世界観を実現できたらいいなと思います。
豊田さんがやろうと思ったら、すぐにでも実現できるような気がしてきました!どんどん広がるキャリアをこれからも応援しています!
さいごに
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