CSキャリア”インタビューリレー”第八弾
HR業界向けプロダクトのCS責任者として活躍される下山さん。
「カスタマーサクセスの仕事はプロダクトと顧客の期待値とのギャップを埋めるのこと」と話される下山さんの、仕事へのスタンスや大事にされている考え方などをお聞きしました!
はじめに
こんにちは。今回は、株式会社KOMMONSが企画する”CSキャリアインタビューリレー”の第八弾です。
株式会社KOMMONSは、カスタマーサクセスに特化したサービスを提供する会社です。企業向けのカスタマーサクセス支援サービスやカスタマーサクセスを職業とする方たちのコミュニティを運営しながら、カスタマーサクセスの方たちが自信を持って働ける世界を目指しています。
インタビュー内容
【1】下山さんのご経歴
2012/04-2014/03:個人事業主として通信商材の法人営業として従事
2014/05-2018/06:株式会社キャリアデザインセンターにて求人広告営業~営業課長として従事
2018/07-現在:circus株式会社(旧株式会社unias)にて紹介事業立ち上げ~責任者・自社saasプラットフォームの法人営業責任者を経て、現在はCS事業部の責任者として従事
【2】会社以外のコミュニティからから得られること
下山さん、本日はよろしくお願いします。
カスタマーサクセスインタビューの第八弾ということで、本日いろいろお話を伺えればと思っております!
下山さんには2年程前からコミュニティにご参加いただいていますが、最初はどういった理由でご参加いただいたのでしょうか?
KOMMONSと出会ったタイミングが、ちょうど自社でカスタマーサクセスの部署を立ち上げて1年目くらいのタイミングで。
正直、その頃は部署を立ち上げたばかりでカスタマーサクセスとしての正解がわからなかったんですよね。どうやったらより良くなるのか、正直何を見てどうやってやったらいいのかわからない状態のなかで、他の企業さんはどうやって運用していらっしゃるんだろうとか、どういう施策を打っているんだろうとか、自分たちのサービスに活かせる技術を探していました。
そのタイミングでKOMMONSのコミュニティに出会って、すごく自分にとって知識の習得になるし自社の業務に活かせるなって思って興味を持ったのがきっかけです。
コミュニティに参加して自分自身の知見をアウトプットすることで、再現性のある要素を見つけたり、反対に顧客やサービスによって自社での取り組みとは異なる点を発見できることは大きいと感じています。
自分が今所属している会社も将来的には複数事業をやっていこうってビジョンを持っており、そういった意味で1つの経験だけだとどうしても足りない部分が出てきたり深さが足りないなとか思っているので、今後は異なるプロダクトのCSを体験する場として副業にもチャレンジしていきたいと考えています。
逆にいえばそういった貴重な体験をさせてもらう分、自分自身がアウトプットできる部分は全部出せたらと思いますし、ある意味使命感の様なものも感じています。
お話を伺うと、本業で試行錯誤されてきたことも副業先に価値貢献として還元していくっていう部分まで意識して取り組んでいらっしゃったんだなと感じました。
それ自体が再現性の担保という意味で下山さんの現職でのチャレンジに繋がっているのかなと思って納得感もありますし、副業に興味のある方でそういう経験を重視している方も多いんだろうなと思っています。
【3】仕事の「成功体験」とは?
仕事の成功や失敗の経験をもとに下山さんのパーソナルなところをお伺いできればと思っているのですが、下山さんにとっての仕事の成功の定義をお伺いしても良いでしょうか?
そうですね。まず自分自身の成功の定義は「何らかの新たな価値を生み出せていること」だと思っています。例えば0→1のフェーズに関しては0が「何もない状態」と考えると、1を作った段階で成功といえますね。
1→10に関してはもうちょっとわかりやすくて、今よりもマーケットに受け入れやすいもの、顧客の継続だったり満足度に繋がりやすいものを生み出す、または+αの価値を付加していくことが成功といえるのかなと思っています。
ありがとうございます。
すごく整理された回答で、普段から何を仕事の成功とするかについて考えながら業務に取り組まれているんだなと感じました。
確かに成功と呼べるものって、誰にどんな価値を届けたいかという観点も重要だし、そこがモチベ―ションに繋がってくる部分ですよね。
ちなみに下山さんは誰にどんな価値を届けたいと考えて仕事をされているのでしょうか?
会社の代表には、どんな世界を実現したくてそのサービスを作っているのか、という思いが必ずあると思っていて、自分が共感できるビジョンの実現にどれだけ貢献できるかが自身の提供価値なのかなと考えています。
なるほど。下山さんはまず会社自体にべクトルが向いていて、その会社で誰が働いているかとか、代表がどんな方なのかという点も大事にしているということでしょうか。
そうですね。会社というより、一番は代表ですね。
やっぱり代表とサービスの価値はほぼイコールだと思っているので、一緒にプロダクトの成長にコミットできる代表を選べるかが大切なんじゃないかなと思っています。
そういう意味ではプロダクト側も含めてまるっと関われるカスタマーサクセスは下山さんの仰る「価値提供」にぴったりな仕事な感じがしますね。
そうですね、自分はお客さんと話しをすることも現場もすごく好きなんですけど、CSをやり始めて思ったことはちょっと違いましたね。
もちろんマーケットインのタイミングもあるんですけど、現状自社はプロダクトアウトのフェーズにいるので、「自社のサービスが色んな属性の顧客に受け入れられている状態」を現場でどれだけ作れるかが重要だと思っています。
そのうえで、プロダクトと顧客の期待値とのギャップは一定現場で埋める必要があると思っていて、それがカスタマーサクセスの仕事なんじゃないかと思っています。
プロダクトと直接関わらないサービスだったとしても、カスタマーサクセスが人的リソースを使ってサポートすることで会社が本来届けたかった価値を顧客に感じてもらうフェーズもあっていいと思ってるんですよね。
ちょっとアナログな話かもしれないですが、プロダクトの価値を少しでも感じてもらえる可能性がある顧客になるべく多く導入・活用してもらうことがカスタマーサクセスに求められているアクションだと思っていますし、価値提供だと思っています。
【4】仕事における「失敗」とは
こうやってお話を聞くと、下山さんの仕事観やモチベーションがイメージしやすくなりますね。先ほどはビジョン的な部分をお聞きしましたが、逆に仕事において失敗したなと思うことってありますか?
自分は現状維持や一切チャレンジや改善活動をしていない状態は仕事において失敗だと思っています。仮に維持できていても失敗だと思っています。
マーケットの動向・顧客の価値観・競合サービスを含めた観点や提供サービス自体の成長や変更含めて、全てがスピード感を持って動いているわけで、その中でうまくいっているっていう状態っていうのは、何かしらの変化によって崩れてしまうリスクがあると思っていて。
そのリスクを察知したり防いだりとか向上させるために動き続けるってことが必要だと思うんですけど、たとえば現状に甘んじて何もしていないとか、ある程度作ってそこで終わりになってしまっているサービスや、組織成長の限界値を決めて何もしない状態っていうのが自分自身の中では失敗だなと決めていますね。
おっしゃる通りですね。下山さんの仕事の軸はあらためて明確なんだなってお話を聞きながら面白いなと感じました。
でも「自分はこういう人にこういう価値提供するんだ」っていうのが、良い意味で割り切れている人の方がハッピーなんじゃないかと思ったりするんですよね。
マーケットの大小は関係なく、ここで勝負するんだみたいな部分で共感していただける方もこのインタビューを読んでくださっている方の中でもたくさんいるんじゃないかなって思っています。
ちょっと話がそれてしまうかもしれないんですが、社員って何のために仕事をしているかっていうと、原則代表が実現したいことを実現しているために働いていると思っていて。
なので、僕が顧客にこうしたいっていうのは別に本質じゃなくて、代表がこのサービスをこういう風に広めたいってものをどう顧客に伝えるかを考えるだけだなって思っています。
そこをはき違えたらだめだなって思っているので、大事なのは代表が何を考えているかとか、サービスの価値って何なのかっていう定義をちゃんとすり合わせていくことだと思っています。
その定義をちゃんと理解した上で、どうやってアウトプットしたらいいかっていうのを考えるのが社員の役割だと思うので、そういった意味でいうと、お客様に価値を届けるのは大前提なのですが、同時に代表の想いを汲み取ることも非常に重要だと思っています。
それはとても共感しますね。
会社として実現したい世界ってエゴで成り立っているものだとは思うんですけど、そのエゴって結局市場で評価される限りは誰かを助けるものであるはずで。
本来は社員単位で会社のミッション・ビジョンに紐づいた意思決定までできているべき、ということですね。
そうですね。提供できる価値が何かしらあると思うからこそ会社もサービスにしていて、それに対して投資をしてもらって価値を返すっていうのが会社の原理原則じゃないですか。
僕らは対価として、いただいた金額以上の価値を提供できるであろうと信じて、サービスを広めようって思っているので、より費用対価値の高いプロダクトにしていけるのか?が現場としてのやりがいになってくるのかなと思います。
本当にそうですね。個人的にはもっと深堀りして話を聞いてみたいテーマです。(笑)
世の中の流れ的にも社員ファーストのような空気って多少なりともある気がしていて、そこに合わせにいく必要性は理解しつつも、多少は先ほど会話したような話をメンバーにしていくことも必要なんだろうなと思ってます。
伝え方が難しいなって正直思うことも多いんですが…。
難しいですよね。今お話いただいたようなところを、本当は歯に衣着せぬコミュニケーションが取れる状態っていうのが一番フェアな気もしています。
福利厚生的な観点ではちょっとオブラートに包んで伝えるんですけど、でも結局代表のビジョン実現のために働くということは変わらないので、おっしゃるとおり直接的なコミュニケーションがもっと取れるようになったらいいのになと思うことはありますね。
代表は自分のビジョンを実現するために雇用していて、実現してくれる人を評価しないわけないので、なんだかんだ、そこを徹底できないっていうのはもったいないなって思いますね。
このテーマだけで別で2、3時間ぐらい話せそうな気がしますね。(笑)
【5】過去の経験とこれからのビジョン
質問に戻るのですが、先ほどは働き方のコアの部分、つまり社員が代表の持論を実現していくことが会社において大切とお伺いしていたんですが、その背景には過去の経験があったんじゃないかなと思っています。
そのあたりを深堀りしてお伺いしたいのですが、下山さんは過去の経験の中で向き合っているお客様はtoBのお客様が多かったんですか?
基本的にはtoBですね。今の会社だと、個人事業主みたいな規模感から500名くらいの大きな規模感のお客様までいるんですけど、基本的には小規模な企業様がメインです。
自分はいわゆる人材紹介会社を担当しているんですが、人材紹介会社って、世の中に40,000事業者くらいあるんですが、そのうち9割5分くらいが10名以下の規模感という話もあるくらい立ち上げやすい分野ではあるものの、そこから収益化・第2・3フェーズといわれる10~50名以上の規模感に行くのは非常に難しい業界なんですよね。
自分たちはその小規模の事業所さんに向けたサービスを運営していて、そのサービスのカスタマーサクセス部署を担当しています。
自分は立ち上げ期からカスタマーサクセス部署にいるんですが、今は全員一気通貫のプレイヤーで、来期から効率的に部分最適なサポートができる分業型になるフェーズにいます。
今から既に計画し始めているんですけど、全員野球期は終わろうと思っている感じですね。
全員一気通貫のプレイヤー期を終了しようというタイミングでは、どういう変化があったんですかね?
成長・伸びが鈍化している感覚があったというのが大きいですね。
人材紹介会社がうちのサービスを使って、どのぐらい収益を上げられているかが非常に重要な継続に関わるKPIになってきます。そのKPIの改善率が鈍化してきて、ここで違う手を打たないと根本的な解決には繋がらないだろうと思い、組織体制を変えてサポートの価値提供を変化させることにしました。
選択と集中ができる組織体制にしていくっていう感じのイメージですかね?
そうですね。
リリース当初は、そもそもカスタマーサクセスの業務として、まずは継続をしてもらうためのポイントはなにかの検討から始まったんですけど、それがある程度把握できたタイミングで、じゃあそれに対してどういう施策を打っていけばいいのか試行錯誤して、めちゃくちゃ手数を増やしました。
そのうえで有効な施策を取捨選択して今の業務フローに至った形です。
その後は人が増えてきたタイミングで教育をしたり、全員の対応が同じクオリティになるように、ちょっと属人的ではあるものの同席しながら教育したり、OJT的なレクチャーをしたりしながら全員のスキルを上げていきました。
そういった取り組みを経て、全員がある程度同じ品質で顧客支援を行える様になりました。
一方で、僕らがやれていなかったことっていうのがその属性やフェーズごとに担当をつけるっていう部分ですね。
顧客ごとにサポート内容は変えていたんですが、立ち上げたばかりの人材紹介会社か、ベテランの人材紹介会社かといった顧客セグメント毎で担当を変えることはしていなくて。
これまでは一定、全員がどのフェーズの顧客も対応できる状態まで育ててはいたんですが、それだと一定のクオリティが分散してしまうので、顧客に届く価値を最大化していないんじゃないか?という仮説のもとで、分業化していこうとしている、という感じですね。
顧客をフェーズに分けるというのは、どんなイメージですかね?
例えば事業立ち上げ期であったり、課題別だったり、求職者の方々の属性別だったりとか、サポート内容が変わるものに対して、チームをそれぞれ作って最適な支援を行う形にしていこうと考えています。
なるほど。それぞれの顧客群に対してはどういった支援が求められるのでしょうか?
ハイタッチの顧客群には、人材紹介事業の立ち上げ時に必要な面談・求人選定のやり方など基本的な部分からサポートを行います。ロータッチの顧客群には、数値分析のサポートや課題に対する事例などのノウハウ提供、より機能を使いこなしていくためのフォローを行っていこうと考えています。
でも、圧倒的にハイタッチが必要な事業者が実は多いんですよね。
なので、うちのCSではハイタッチに一定の人員を張るようにしています。自社サービスの利用期間が12か月更新型になっているんですけど、最初の2か月はハイタッチ担当が対応し、一定のレべルまでお客さまを育てたうえでロータッチのチームに渡していくといった流れになるかなと思っています。
【6】自分だからこそできる「得意分野」
ありがとうございます!
これで最後の質問になるんですけれど、今の下山さんの取り組みの中で、ご自身が得意としている領域だったりテーマなど、得意分野とされている部分をお伺いしてもよいでしょうか?
そうですね。自分として得意分野として認識している部分で言うと3つセットなんですけど、発想・スピード・コミットです。
現在の会社に携わってきた時期を考えても、発想が必要なタイミングだったという部分もあると思うんですが、それを継続しなきゃいけなかったり・実行する立場にも立たせてもらえていたのでそれを数多くやってきたことで色々なアイデアを出せるようになりました。
会社的にも、特にCSって自分たちがやったことが絶対にこの結果に紐づいたよねって結論付けるのが非常に難しい分野だと思っています。1年間で実施できる施策数も限られてくるので、効果検証もスピード感をもってやらないといけない。発想とスピードはそういった意味でも絶対に大事だと思っています。
さらに言うと、スピード感を持って施策を実施してみたけれど、上手くいったかどうかは力の入れ具合によっても変わる気がしています。
その為、どの施策だったとしても全力でコミットしなきゃいけないということは自分自身が5年半くらい携わっている中で強く感じている部分ですね。
あとこれは最近追加された自分の強みなんですけど、最近自社でハブスポットっていうツールを導入して。
今までCSでスプレッドシートで管理していたものをハブスポット上で管理できるように、どういう項目を作ったり記録していけば見たいデータを見られるのかを設計して、運用まで持っていくところをアシスタントの方と一緒にやってきました。
なので、外部のMAツールや業務管理システムとの連携は最近新しくチャレンジして身に付き始めた自分の強みかなと思っています。
本日は、下山さんの仕事への考え方・取り組み方や業務内容など非常に参考になるお話をたくさん聞けました。
本日はありがとうございました!
ありがとうございました!