サザンオールスターズ / KAMAKURA 音源備忘録55
サザン1985年リリースの8枚目。驚くことにデビューからこの『KAMAKURA』まで8年間!毎年アルバムを出している。そういう時代と言ってしまえばそれまでだが、時間軸が今と全然違った。私の年齢や時代の空気だけではなく、当時の「芸能界」のスピード感なのかも。
1985年、私は17歳である。それまでの7枚までに好きになるタイミングはあったはずだし(当然、シングル曲はテレビやラジオで聴いていた)、同級生にはすでに夢中になっている友人もいたのに何故私は『KAMAKURA』からだったのか?様々な要因があるとは思うが、人間としても音楽リスナーとしても、早熟ではなく奥手だったというのが割と大きい気がする。この後に『KAMAKURA』以前のアルバムを遡り、特にシングル以外の曲を聴くようになったことからもそう思う。
当時は話題になったが、シンセやサンプラー、ドラムマシンの打ち込み等のハイテクをを駆使したアルバムである。明らかにそれとわかるものもあれば隠し味的に使われているものもあるが、当然ながら方法論より楽曲優先であり、実験的なことをやっても良質なポップ・ミュージックとして成り立たせるのは流石だと思う。
個人的にはハイテク云々ということよりも密室的なアルバムという印象が強い。2枚組ということも密室っぽさに拍車をかけている。ポップの衣をまとった密室性こそがひねくれた17歳男子が好きになったポイントかも知れない。
“Computer Children”という曲がゲームばかりして外で遊ばなくなった子供たちへの揶揄になっているという解説があるが、これだけデジタル満載で密室的なアルバムの1曲目だということを考えると逆に皮肉というか、反語的なんじゃないかと思ったりもするのは私がひねくれていたからなんだろうか?
“鎌倉物語”という曲で産休中の原由子が自宅のベッドでヴォーカル録りをしたという話が有名だが、その産休やメンバーのソロ活動などがあってサザンは5年ほど活動休止になり、桑田佳祐はKUWATA BAND~ソロの時期に入った。余談だが、その時期に桑田がホール&オーツとコカ・コーラのCM曲“SHE'S A BIG TEASER”でコラボしたときにダリル・ホールに「プログラミングは日本語で『打ち込み』って言うんだ」と言ったというのが何故か頭に残っている。