Bex Marshall / Fortuna 音源備忘録45
ベックス・マーシャルを知ったのは前作『The House Of Mercy』。何かでレビューを読んで「聴いてみたい」と思っていたのに実際に聴いたのは何年も経ってからで、もはやどこで読んだのか、どう書いてあったか全く覚えていなかったが、Amazonの「ほしい物リスト」に入れたままだったおかげで記憶とともに霧散せずに聴くことが叶った。
そして今作『Fortuna』。Apple Musicによるとリリースは2024年3月なのだが、出ることを全く知らなかったしCDに至っては輸入盤も出回ってないようで、8月になって偶然見つけるまでノーマークだった。今のところストリーミングで聴くしかないようだ(Apple Music、Spotify、Bandcampにはあった)。
相変わらずのブルースでかっこいいんだが、前作と比べて楽曲のバリエーションが若干広がった気がする。ブルースがベースにあるとはいえ、ロック的なアプローチが見られる曲があったり、タイトルナンバー“Fortuna”などはフュージョンっぽかったりして、それがまた新鮮だし気持ちがいい。
この人のギターはエレキもアコースティックも、そしてリゾネーターギターでのスライドも素晴らしい。英語版しかないWikipediaではボニー・レイットと比較されていたが、確かにブルース色の濃い初期ボニーとの類似性はあるかも知れない。
もうひとつの特徴は歌声。一度聴いたら忘れられないハスキー・ヴォイスはかなり好みだし、淡々とした歌もメロディアスなフレーズもシャウトもお見事。ギターに勝るとも劣らない歌だと思う。