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Stevie Wonder / In Square Circle 音源備忘録66

 スティーヴィー・ワンダー1985年のアルバム、20枚目だそうだ。

 noteに書いたレコードで1984~86年頃に初めて聴いたものが多いのには明確な理由があって、地元の町はレコード店が少ない上にあってもごく小規模だったのが、(84年に)高校に進学したら近くにそれなりのレコード店とレンタルショップがあったからである。加えてNHKしかなかったところに民放FMが開局した(FM仙台=Date fm : 82年放送開始)こと、音楽に対して貪欲な年齢だったというのもある。

 このアルバムはそれこそFM仙台でシングル“Part Time Lover”を聴いてホール&オーツ“Maneater”みたいだと思ったのがきっかけ。ラジオでも「ホール&オーツを経てモータウンに戻ってきたリズム」みたいに言っていて、我が意を得たりと1人で盛り上がった覚えがある。

 他のアルバムと同じくスティーヴィーが多くの楽器を自分で演奏しているのだが、このアルバムに関しては全面的に打ち込みも行っている。当時のデジタルシンセサイザーは音が薄く感じる(だからレベルを上げてたりする)のだが、使い方や他の楽器との組み合わせが秀逸で極端な打ち込みっぽさは感じさせなかった。今聴くとさすがに軽さは否めないが、それよりメロディの良さとヴォーカルの方が際立って感じる。

 先進的なミュージシャンほど新しい奏法や新しい機材に敏感で、80年代のスティーヴィーにしてみればデジタルシンセやドラムマシンを使うのはもう当然だったのだろう。70年代ほどの革新性はないかも知れないが、思ったよりアグレッシヴだと思う。考えてみればまだ30代半ばという若さでありながら、11歳からやっているベテランであるという両面がちゃんと出ているのではないか。

 ただこの人は、“Overjoyed”のような真っ直ぐな言葉をときどき使うので面食らうときがある。歌詞の内容は恋愛だけではない抽象性があるのだが、「大喜びした」というタイトルで、サビで「大喜びした」と繰り返すのは私の感覚ではちょっと想像出来ない。そういえば“I Just Call To Say I Love You”とか照れ臭くないんだろうか?


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