Tuk Smith & The Restless Hearts / Ballad Of A Misspent Youth 音源備忘録10
真っ当なギターロック、と言うべきか。いかにもなアメリカンロックだったり、パワーポップ的だったり、ちょっとブリティッシュ風味があったり、実に楽しい。何年か前までのアメリカはギターロック、というかロックそのものが希少種になりつつあったから、最近はロックがまた復権しつつあるみたいで嬉しい。
しかし実はこのアルバム、何が引っかかって聴いたかというと、今時珍しい「邦題」である。タイトルからして『しくじった青春のバラッド』。そしてタイトルトラック含め11曲中、原題をカタカナにしたのが2曲のみ(うち1曲はカバー)。あとはご丁寧にすべて日本語のタイトルが付いている。担当者おみごと。「臆病者はお呼びじゃない」「路上の影」「つれない彼女」など、音からは全く想像がつかないものばかり。
昔はこういう邦題が珍しくなかったが、それが「ダサい」と思っていた。今では滅多にないからこそ良いと思えるところはあるし、自分が年を重ねて許容できるようになった部分もある。「ダサい」ことが必ずしも悪でもない。いずれにせよ自分がこうやって聴いて、しかもこんな文章まで書いているのだから成功と言っていいのだろう。
アルバム通して好きなんだが、やはり1曲目「Ballad Of A Misspent Youth / しくじった青春のバラッド」のイントロだ。ギターのサウンドがとかフレーズがとかではなく、イントロがカタマリでこの1枚を象徴している。適切かどうかはわからないけど、『マシン・ヘッド』における「ハイウェイ・スター」のような。