De La Soul / 3 Feet High And Rising 音源備忘録50
ヒップホップはあまり得意ではない。知識はそれほどないし、英語力も心許ない。だから、トラックの面白さ、格好良さ、リリックならライム(韻)の気持ち良さなどサウンド中心の聴き方になる。例えばパブリック・エネミーなら(ハードロック的な)音の強度や“Fight the power!”という言葉の強度が好きで聴いていた。
デ・ラ・ソウルのこのデビューアルバムはそれまでに聴いたことがないほどサンプリングの面白さが満載だった。レコードをサンプリングするという知識はあっても、ここまでの量とバリエーションで曲の方向性を作ってしまったり、歌のフレーズをリリックの一部にしてしまうのには仰天した。“Say No Go”で使ったホール&オーツの“I Can't Go For That”はニヤケが止まらなかった。
これだけサンプリングを多用すると許諾を得るのが大変なのは当然で、そのおかげでアルバムの発売がずれ込むこともあったし、ストリーミングも昨年(2023年)ようやく解禁になったそうだ。私の場合はデ・ラ・ソウルのCDを何枚も持っていたのでデジタル解禁の遅れはさほど気にならなかったが、ヒップホップ音痴の私としては珍しいアーティストかも。
このデビュー盤のジャケットでまだ10代の可愛い表情を見せているメンバーも今や50代半ば。昨年残念ながらトゥルーゴイが54歳で亡くなったそうだが今後が気になる。今のトレンドとは乖離があるかも知れないが続けて欲しいというのは単なる私の我が儘か。