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Freddy King / Let's Hide Away and Dance Away 音源備忘録63

 ジョン・メイオール&ザ・ブルース・ブレイカーズ(1966年)やジェフ・ヒーリー(1988年)もカヴァーしている“Hideaway”の原曲を聴こうとこのレコードを買った。このアルバムでの表記は“Hide Away”。

 “Hideaway”はオリジナルとは言うものの、さらにWikipediaで調べると元はハウンドドッグ・テイラーがやっていた“Taylor's Boogie”という曲をシェイキー・ジェイク・ハリスとマジック・サムがバンドのテーマ曲として使って、さらにそれをフレディ・キングが使ったものらしい。ハリスは「stole(盗んだ)」という言葉を使っている。これらの登場人物が出ていたのが「Hide Away」というシカゴのブルース・クラブだそうだ。

 このアルバムは“Hide Away”を含むインストゥルメンタル集で、「Dance Away」とあるようにダンサブルな曲が並ぶ。ギター・サウンドはフィンガー・ピックを使っていて立ち上がりが強く、クリーン・トーンのはっきりしたフレーズが多い。ブルースやロックの常套句を生み出し、特にロックギターに与えた影響は大きいが、今聴くとこのアルバム自体がかなりロック的だとも言えると思う。曲としては“San-Ho-Zay”や“Sen-Sa-Shun”などが割と知られているが、個人的には“Heads Up”が好きで、ベンチャーズあたりへの影響も感じられる。

 後年の作品では、R&Bやファンク、ロックに寄っていったり、スローな曲はさらにブルージーになるなどスタイルが微妙に変遷していく。1969年の『Freddie King Is A Blues Master』に入っている“Hideaway”のリメイクなどが典型的。その意味でこのアルバムは、歌がないこともあって非常にシンプルでプレーンなフレディを聴けるし、コンポーザーとしての能力がとてもわかりやすい。

 余談だが、フレディ・キングはこのアルバムのジャケットのようにギターのストラップを右肩にかける。アルバート・コリンズなんかもそうだ。ごく稀にこういうやり方をする人がいるが、どんなメリットがあるのか謎。なで肩だと落ちちゃう。

(左)フレディ・キング、(右)アルバート・コリンズ。
ストラップを(たすき掛けではなく)右肩にかける。



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