Teenage Fanclub / Grand Prix 音源備忘録61
ティーンエイジ・ファンクラブの5枚目。リリースされた1995年はレディオヘッド、ビョーク、ポール・ウェラー、パルプ、フー・ファイターズ、スマッシング・パンプキンズ、ベックなどのアルバムが次々とリリースされたのだが、おそらく一番聴いたのがオアシス『Morning Glory』、ブラー『Great Escape』、そしてTFCのこの『Grand Prix』。
ブリット・ポップ全盛だったからTFCは比較的地味な存在だった気がする(あくまで「比較的」であって、派手ではないが売れてはいた)。リアム・ギャラガーやデーモン・アルバーンのようなキャラクターの強いヴォーカルではないし、ソングライター&ヴォーカリストが3人いたことも一定のイメージを想起しづらい。既にキャリアもそこそこあったこともあるだろう。それでもメロディやハーモニー、そしてギターサウンドが私は大好きなのだが、それだけではない。
ひとつ例を挙げると『Grand Prix』の1曲目“About You”。コーラス(サビ)が8小節なのだが、2回しになるときは1回し目を1小節カットしていて、聴いていると「うっ?」となる。構成もコード進行もシンプルなのに、微妙な引っ掛かりがあって病みつきになる。
どの曲にもそういう仕掛けがあるわけではないが、一筋縄では行かない感が通底していて、それはメロディーだったりアレンジだったり色々。だからそれぞれの曲がキャッチーだったりキレイだったりしても、それだけではないというか、雑な言い方ではあるがとてもイギリス的と言えるかも知れない。
ソングライターの1人、ジェラード・ラヴが2018年に抜けてしまったのだが、それでも未だに続けていて作品もリリースもしている。90年代と比べると多少穏やかになったかな、年齢かな、と思ったりもするが、聴いている方も同様に年取っているわけで、問題ない。