棗いつき Birthday LIVE 2025「Winter Gift」夜公演 ライブレポ
1月18日(土)KT Zepp Yokohama.
一二三(Hifumi,inc.)所属、リアルとバーチャルを行き来するインターネット発のシンガーである棗いつきのバースデーワンマンライブ(夜公演)に行ってきました。急遽、ライブに行けなくなってしまった友人のチケットを譲り受け、以前から興味が全く無い訳ではなかった事もあり、参加を決めた次第です。楽曲に関しては、とある数曲を除いてサラッと聴いた位でちゃんとは予習していないのですが、敢えて新鮮な気持ちで行きましたね。それでも十分に楽しめたし、色々と発見があるライブでした。
1.ロックシンガーさながらの歌声とパフォーマンス
今回のセトリは、アップテンポなロックナンバーや音ゲーコア的なノリの楽曲が中心だったので、自然とパフォーマンスもパワフルさが際立ってましたね。観客を煽り、声出しを促し、時にはお立ち台に立ってフロア全体を見渡す姿は、まさにロックシンガーそのものだったなと。彼女にはその才があるなと強く感じました。
歌声も音源以上に響きが良く、声量の豊かさが素晴らしかったです。マイク越しではなく、直接耳に届いてもきっと綺麗だろうなと想像できる程。ロックナンバーだと、キレがありつつ、歌い終わりに掛けてアクセントが増して個性が出てくるのも特徴的で。よう伸びるな~感じてから、更にもうひと伸びできる力強さも本当に良い。ステージ上で動きながらでも、この歌唱力をキープしていて、スタミナやパワーも凄かったですね。
一方で、バラードやジャジーな曲では柔らかい歌声で、個人的には此方の方が好みではありました。息成分も多く含む様になり、感情の乗った繊細な表現力は、カッコイイだけではない魅力を感じさせてくれました。
あとは彼女の楽曲やパフォーマンス的にも生バンド必須だなと感じるライブだったので、今回生バンドで観れて大満足。バンドメンバーとの絆やチーム感を感じられる場面も多くて、微笑ましかったです。
2.特に印象に残っている楽曲
前半は、「ストラゴヴィゴス」と「愛のテロメア」が聴けて嬉しかったですね。イントロから良すぎる。序盤からアクセル全開で観客の心を掴むキレキレなパフォーマンスは見応え抜群で、会場の盛り上がりも熱かった。
予想外だったのは、聴けるとは全く思ってなかった「噓は真実を演じる」「プロパガンダ」。Imyのオタクなので嬉しかったですし、生バンドだとやっぱり映えますね。ギターリフカッコよすぎや…。
後半は、可愛いキービジュ衣装に着替えて披露された「デフラグ」。lapix曲がバンドアレンジになった事で印象も少し変わって、スタイリッシュなカッコよさが光りましたね。中々聴ける機会ないと思うので感謝…。
そして、忘れられないのは本編ラストに披露された「Son joyeux」でしょう。いつきさん自らのキーボード伴奏で始まり、スポットライトに照らされる中、最後まで情感豊かな歌声を響かせ続ける。その堂々たる輝きを放つパフォーマンスに、この日最も心を揺さぶられましたね。同人界隈のオタクならご存知の人も多いと思いますが、めらみぽっぷ×nayutaの『divergence ―ゆめみるふたり―』って曲が大好きで。それとかなり似た雰囲気を感じていたので、コレ絶対RDさんだ…良い曲や…と思いながら圧倒されていました。この手の壮大な曲は、流れやタイミング、演出も非常に大切になってきますが、それらもこれ以上ない程に完璧だったと思うので、感動を倍増させてくれました(終演後も聴きながら帰った)。
正直に言えば、堀江晶太楽曲オタクなので、「ストラゴヴィゴス」だけでなく「Chaotic Birth」、あと何よりも「天気雨の旅」がどうしても聴きたかった気持ちはあります…。いつきさんの楽曲でリリース当時からイチバン聴き込んでいたので。ただ前回のツアーテーマ曲として今回は外れてしまったのも頷けるので、もしまた機会があればライブに行きたいなと思います。
3.応援したくなる真摯で優しい姿勢
ライブ終盤のMCがとても印象に残っているので、触れさせてください。彼女が語ったのは、活動に懸ける想いについて。「今の活動を始めたのは、学芸会での上級生の演技を見たのがキッカケだったと思う」と云う話から始まり、自分の世界を表現したくなったと気持ちを語ってくれた記憶です。今回のライブ会場の大きさについても、「La prièreでZeppを埋めた時は私はまだ実力不足みたいに感じた処もあったけれど、今回は自分だけで埋めれて良かった」と喜びを嚙み締める一方で、「同時にもっと大きなステージに立ちたい、もっと素敵な景色が見たいと思ってしまった。これは嬉しい反面、慎重に扱わなきゃいけない気持ちだと思っていて。それは皆んなと一緒にその景色を見たいから」と、涙混じりに想いを言葉にしていました。
この一連のMCを聞いて、いつきさんは言葉をちゃんと丁寧に紡げる人なんだな…と知性的な一面も魅力的に感じましたね(小説書いたりしていたと言っていた気がする)。そして、手の届かない存在になっていく寂しい感覚や、ファンを置いていきたくないって気持ちも持ち併せていて、優しい方だなと。正直私自身は、良い意味で自己中に活動して欲しいと思うし、ファンは置いてっていいと思っているタイプなので。と云うのも、キリが無いし、ついて行きたいオタクは勝手について行くから。でもそうしないのが彼女なりのプロ意識であり、優しさなんだろうなと強く感じましたね。
ライブが終り、バンドメンバーがステージを捌けた後も、彼女だけが1人残り、客席に向かって端から端までほぼ全員に、丁寧に手を振り、「ありがとう~!」と感謝を伝えながらファンサを続けていて。ファン一人ひとりを大切にする想いが滲み出ていて、感心せざるを得ませんでしたし、根強いファンが多くいるのも頷けましたね。
「皆んなは私にとっての光です」と、先の真っ直ぐなメッセージも踏まえて披露された最新曲「光になれたら」も素晴らしかったです。
初めて参加したライブでしたが、来て良かったなと。圧倒的な歌唱力とパフォーマンス、心を揺さぶる楽曲の数々、そしてファンを大切に思う姿勢、彼女の魅力を存分に感じられました。改めて、お誕生日おめでとうございます。夏のワンマンツアーも発表されましたし、今後ともご活躍を祈っております!素晴らしいライブをありがとうございました!