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『マルコと銀河竜』感想

 どうもです。

 今回は、2020年2月28日にTOKYOTOONより発売された『マルコと銀河竜』の感想になります。"ノラとと"こと『ノラと皇女と野良猫ハート』シリーズのスタッフによる、全年齢向け美少女アドベンチャーゲームです。

 OP曲「飢餓と宝玉」は中毒性高い。作中でもここぞ!って時に流れてくれたので、好きな曲になりました。そんでムービー見てもらえれば分かる通り、カートゥーンアニメーションが作中で使われています。ノベルゲームとしては新しいアプローチでこれまた楽しめました。元々、パワーパフガールズが好きだったので、抵抗感とかは全くなかったですね。
 プレイのキッカケですが、昨年、『ノラと皇女と野良猫ハート』『Monkeys!¡ モンキーズ』をプレイして、ライターの"はと"先生と相性イイかもしれないと感じたからです。好きしかないんですよね…。

 とゆーことで、早速感想書いていきます。ストーリーは一本道でしたので受け取ったメッセージと、キャラの印象を軽く書けたらなと思います。こっからネタバレ全開なんで自己責任でお願いいたします。



1.受け取ったメッセージ

 今作が一番伝えたかった事としては、以下のマルコとアルコの台詞に集約されるのかなと思っています。

「恋ではなく、愛でもなく、なんだろうね。この温かい気持ち」
「家族でもない。友情かな」
「きっとそれは、なんでもないよ」
「言葉になってもいない。まだ生まれてきていない感情だよ」
「この銀河は生物がたくさんいる」
「そこで感じる気持ちこそが、宝なんだ……」
「それを失ったらダメだ」

マルコ・アルコー『マルコ銀河竜』

 終盤、アスタロトを倒した後の会話ですね。ザックリ言ってしまえば、今作はマルコが"あたしだけの宝"を探す話だった訳で、その宝は何なのか、その答えが述べられた以上はコレがメッセージの核になるのかなと。

 マルコもアルコも"宝"="気持ち"を探し当てる事ができました。気持ちと云っても表現できない位に沢山あって。そんな気持ちを探し当てて欲しい。そんなメッセージを自分は感じました。
 気持ちはやっぱり喜怒哀楽みたいな、それまでに定義されてきた色に収まらない時もあるもので。その新しい気持ちがどんな色であろうと、大事にして欲しいとも感じました。ラッカが以下の台詞を言っていましたね。

「幸せだけを享受した生物には成り果てたりしない」

ラッカ-『マルコと銀河竜』

「喜怒哀楽。ちゃんと4色もってる人がうらやましいよ」

ラッカ-『マルコと銀河竜』

 ラヴやアスタロトとの戦いを通して、幸せだけでもダメだし、悲しみだけでもダメだと云う事は強く感じられたんじゃないかと思います。どれも決して無かった事にはしちゃいけなくて、できる事なら色んな気持ちがあった方が良いと。そうして、気持ちの数だけ自分の感情が色づいていく。その先で、銀河で唯一の輝きを放つ様になった気持ちが自分だけの宝になるんじゃないかと思います。そして、その宝はその人の中でこそ本当の輝きを放つモノだとアルコが言っていました。

キミは教えることができるんだ
盗んでばかりじゃない。人に与えることもできるんだよ
それって最強じゃないか
相反するものが二つ一緒に、キミの心にあるんだ
決して、なくしちゃいけないよ
その宝物は、キミの頭の中にあるべきなんだ
母親との記憶も、キミの頭の中にあるべきなんだ

光のないところじゃダイヤもただの石ころさ

アルコ-『マルコと銀河竜』

 自分だけ宝は、自分の頭の中にあるべき。そこでこそ輝きを放つから。逆に、その宝は自分を確かなモノにしてくれるモノでもある気がします。群れの中で唯一の輝きを放っていれば、その輝きからその人だと解る様に。
 そして、それを与える側の存在にもなるのがきっとベストなのでしょう。与えると言っても、少し違くて。自分が”宝”=”気持ち”探し当てるまでの道で出逢ってきた気持ちと同じ様に、今度は自分が輝きを放つ事で誰かの気持ちに影響を与える側になる。それはきっと素敵な事です。

 最終的に銀河中の全ての生物が宝ものを持っている事になったら凄いですよね。確かめる術はないかもしれないけれど、最終的にそうなったらいいなと願う事はできる。その気持ちを今作では"希望"と言っていたのかもしれません。マルコは銀河中のすべてが宝ものに見える瞬間があると言ってもいましたし、黒崎は希望を灯しましょう。と言っていました。

「この銀河には、色んな生き物がいてさ」
「滅茶苦茶な価値観が、つねに形を変えて漂って、生まれては消えて、生まれては消えてを繰り返してる」
「しゅばばーって、まぶしいんだ。驚くんだ。新しいものに会うと」
「だから、好きなんだぁ」
「銀河中のすべてが宝ものに見える瞬間があって」
「あんとき、諦めんで良かったなって思う」

マルコ-『マルコ銀河竜』

「愛が増えるのならば」
「その分、希望を灯しましょう」

黒崎鷹緒-『マルコと銀河竜』

 "宝"="気持ち"を探し当てる為の、"希望"をこの銀河から絶やさない事。どこかに"宝"は必ずあると、"希望"で満腹になる事を願い、"希望"が決して消えない事を、今作は強く願っていた様に思います。受け取ったメッセージとしては以上になります。自分としても、マルコがまたアルコと一緒に笑顔でいる事を願ってやみません。

「もし記憶が消えても、気持ちは決して消えたりしない」

マルコ-『マルコと銀河竜』

 以上、何か少しでも感じ取って頂けたり、考えのヒントになっていたりしたら幸いです。改めて、笑いあり、涙あり、激アツ展開ありで色んな気持ちが味わえる作風を得意とする、"はと"先生だからこそ説得力のあるメッセージだったとも思います。



2.キャラの印象

 どのキャラもむっちゃ可愛かった…。登場頻度は異なるけど、印象を書ける位には十分でした。各キャラ軽く書いていこうと思います。

・マルコ
 孤独な気持ちを含む、核心をあまり見せないと云うか、普段から少しサバサバとした雰囲気(余裕感)があるので、ここぞ!って時に魅せる感情がより映える娘でした。負けず嫌いで行動力もあるし。ふとした時にポエむのも彼女にピッタリです。あとは、誰かが喜ぶのを喜べる彼女が素敵だなと。井澤詩織さんも凄いハマり役だったと思います。


・アルコ
 彼女も彼女で核心を見せない娘でした。愛嬌の裏に強さも弱さも抱えている感じ。ずっとのけものにされて孤独でありながらも、平気だからと平然を装って。マルコとの出逢いが本当に全てを変えたんだなぁと。マルコの事が大好きなのがずっと伝わってきてたから、マルコとの別れのシーンにはむっちゃ泣かされました。あとは、"ぱたぱたぱたぱた"がツボ。


・ヨルムンガンド・ハクア
 無感情な感じはあるけど、表に出てないだけの可愛い娘。その純粋さから、染まり切ってない受け皿の広い白い心を持ってるのがよく伝わってきました。ずっと友達が欲しかった、マルコが弾くピアノの音色が彼女を繋ぎ止めていたのが良かったです。イジメられる側の気持ちを誰よりも解ってるからこそ、マルコをイジメた後の言葉に乗った感情は沁みるものがあった。


・ガルグイユ・シーラ
 憎しみを抱え、一族の願いを叶える為に奮闘していたけれど、段々と周りのペースに飲まれていく感じが良かったです。脳筋でちょっと馬鹿なのも良き。「砂が目に入った」とか女の子が出るトコも抑えてる。「信じてほしくば行動で示せ。必ずだ」は、彼女なりのハクアへの信頼の表れの様でカッコよかったです。あだ名はガッちゃんもいいけど発声豊さんも好き(笑)


・恩田桜子
 いつも冷静沈着だからこそ、ブチ切れると乱暴で怖くて。でも見た目に寄らず、凄いしっかり者で頼りになる娘でした。あとは相手や状況に合わせて言葉を選ぶのが上手。きっと思い遣りの強い娘のはずです。じゃないと瑠璃の面倒見ないだろうし、マルコへかける言葉の数々も丸子だと確信っぽいのがあって良かったわ。あと微笑んだ立ち絵が好きすぎる…。


・恩田游子
 
お姉さん枠。ちょっと天然でフワッとしてて。でも、見てない処でちゃんと妹達を見てくれているんだなと感じられたのが良かったです。あの喫茶店もピアノが置いてある様に、家族がいつでも帰ってこれる場所をずっと守っていたんだろうなと思います。そんでまさかの長い太刀を携えた姿のギャップで完全にやられた…好き…。


・瑠璃
 いっつも楽しそうで朗らかで、一緒にいるだけで気分がアガる娘。こーゆー娘って、既に仲が良いグループとかに飛び込んでいけるから、マルコとアルコを支える存在として良かったと思います。どちらかが挫けそうになった時、2人を客観的に見てあげられる娘がすぐ傍にいてくれて良かったです。バカなのか、ヤバいのか、掴み処がない感じも好印象。


・テラ・イセザキ
 一番好き。彼女からは"ノラとと"のアイリスをそこはかとなく感じてしまって(笑) 素のまま、なりふり構わず飛びこんでく感じとか特に。自信が無くとも自信がある様に振る舞えるのは素質であり、生徒会長として大勢を想うピュアな強さがそれを支えていたと思います。動物園でのユニコーンのくだりと、「立ち上がれ!!私がついてるわ!!」のシーンがむっちゃ好き。


・ラッカ・イセザキ
 テラみたいな姉を持ってると、しっかり者になるよな(笑) 頼れる娘でした。本心の見えづらい話し方で、ちょっと圧があるな…と思ってたら通りで。思いっきし血を浴びても平気な態度。本物の強さを感じた。また、10年間愛に抗った重みもあの姿から感じざるを得ませんでした。あと、パーカーにジャケットが似合うのは流石にズルい。


・黒崎鷹緒
 素直にカッコよかったです。淡々としていて、誰にも真摯に向き合って。普通に遠慮なしに強く当たるのもイイよなと。仕事をこなしていながら、家族の様に心配もしているし。伊勢崎のみんなが金髪で派手なので、漆黒のビジュアルが隣に並ぶとこれまたカッコ良かったです。


・パンタグラフ
 狂ってるけど、根はまともなのがよく分かる娘。あと金紐市への愛着もかなりありそうでしたね。てか、そもそも面倒見がいい(笑) 医者である以上、責任感とプライドが備わっているなと。マルコの治療は本当にお疲れ様でした。寝ずによくやったよ(笑) あとビジュアルと演技がマジで良い。


・市長
 やはり背伸び感が可愛い。自分の事を大人だと思ってる部分も含めて(笑) 手に負えなくなると、オドオドしてすぐ泣いて、ちゃんと子供で可愛かったわ。見せ場は無かった気がするけど、要所要所で出てくれて、今作で一番の癒しキャラだったかもしれません。


 キャラについては以上になります。他にも原とか非常食、モブキャラも勿論好き。やっぱりどの子も生き生きとしてるのが愛おしくなる。そして、これだけいると自然と賑やかになって楽しくて。それが本当に最高で大好きです。はと先生の描く物語の好きな処の一つだなと改めて思いました。



3.さいごに

 まとめになります。

 全てが本当に最高でした。大満足。マルコとアルコにしっかり焦点を当てつつ、賑やかに楽しく物語を描いてくださって、最後は"泣き"もバチッと決めて。駆け抜ける様にプレイしてしまった
 はと先生らしいノリと勢いを加速させる為に地の文は無くセリフのみ。それを支えるのは、カートゥーンアニメやCG1000枚超えで場面を視覚的に伝えようとする斬新なアプローチ。ノベルゲーム特有の面白さを追求しようと、できるだけユーザーが前のめりにプレイできる様、感情の起伏や没入感を意識したのは大成功なんじゃないかと思います。退屈に感じる不要な瞬間がなく、刺激を与え続けられる物語は早々無いと思う。尺的にもこれがベストかと。ユーザー自身で補完できる材料はあって。ハイテンポで勢いそのままにピークまで辿り着く事を優先させたこれ位が丁度良いなと。時間も忘れてプレイしていた深夜の5時間、本当に幸せな時間でした。

 イラストは『ノラとと』でもお馴染み、大空樹先生。どの子も可愛いらしく、特徴を押し出したパッと目を引く様なキャラデザばかりで流石だなと。色んなポーズ、表情を描いてくださって本当にありがとうございました。全年齢をもろともせず、お風呂シーンや水着シーンでは大分際どいギリギリを攻める姿勢に感服しました。桜子姉さんの水着が好きです。

 音楽は森リーモ慎之介さん、RE-Dさん、ぽみさん、斎藤優輝さん。こちらもお馴染みのメンツですね。70曲近く、ジャンルもサウンドもバリエーション豊かでどれも良かったです。キャラに合わせたり、シチュに合わせたり。特に「やさしい秘密」「港町」「心豊かなる少女へ」「Action」が好き。ボーカル曲は全部好き。「でんでらりゅうば」は流れる回数を経て泣ける曲に変わっていくの凄い良かったです。こーゆーの堪らん。

 とゆーことで、感想は以上になります。
2020年作品なのに何で発売当時やってなかったのか…自分を殴りたい(笑) ホント大好きな作品になりました。はと先生の描く物語がやっぱり好きだなと改めて心の底から思えたのも良かった。笑って泣いて熱くなってポエむ。今作でもいくつもの胸に刺さる言葉がありました。改めて制作に関わった皆さん、本当にありがとうございました。次回作も楽しみにしています!!

 ではまた!

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