長瀬有花 LIVE TOUR 2024"effect" ライブレポ
10月12日(土)横浜ベイホール.
音楽事務所RIOT MUSICのサブレーベル「汽元象レコード」所属、長瀬有花のワンマンライブに行ってきました。ワンマンは3月の"放電"は行けなかったので昨年の8年ぶり。ライブ自体は今年8月にSuchさんとのツーマンも見ていたので久々ではないんですが、彼女の世界観を堪能できるのはワンマンだけなので参加は絶対でした。
昨年のワンマンライブ会場からキャパも少し大きくなり、ライブ当日ギリギリまで、本人が宣伝ポストを頻繫にしていたので少し客入りが心配ではありました。が、フロアに入るとほぼ満員で安心しましたね。横浜ベイホールが思いのほか辺境地だったのは否めないですが、その苦労が吹っ飛ぶくらいには大満足のライブでした。感動が濃縮されすぎて、記憶が曖昧な部分も多いんですが、ハイライトだけでも書いていきます。
定刻通り暗転し、紗幕越しにバンドメンバーと長瀬有花が登場。1年前はバーチャル長瀬で開幕でしたが、今回は全編リアルパフォーマンスとなりました。椅子に腰かけると本を抱えて「fake news」を読み上げ、歌い始める長瀬。歌い終わって勢い良く紗幕が落ちると、アルバム『a look front』と同様に「駆ける、止まる」を続けて披露し、本格的にライブ開幕。序盤は焦らずゆっくりと浮遊感に満ちた独自の世界を構築していく流れで、そのまま『Launchvox』から「砂漠の水」「近くて、遠くて」「アフターユ」を連続投下。情報量も多く前衛的なアプローチでカオスさを増してはいくんですが、バンドアレンジによってオリジナルよりも一貫性があった気がしますね。特に「近くて、遠くて」のアレンジは音源化して欲しい位には良かったです。会場全体を包み込んでくる一音一音を聞き逃してはならないと、本能的にそう思わせるパワーがありました。
特にMC時間はなく、序盤には「思うままに揺れたり踊ったりして、楽しんで」と一言掛けるのみで、中盤以降も淡々とリラックスした様子でパフォーマンスを続けていきました。世界観を崩してはならない、音楽に身を委ねている楽しい時間を途切らせたくない、そんな想いすら感じましたね。
楽曲の披露後には毎度しっかり温かい拍手も贈られる中、雰囲気がまた少し変わったのは「異世界うぇあ」⇒「微熱煙」辺りだったかなと。間違いなく会場の温度が上がった感覚もありました。クラップが起きたり、一際カッコイイパフォーマンスがあると自然と歓声が上がったり。壮大で叙情的なバンドサウンドと共鳴し合う様に、長瀬の歌声も序盤とは異なる感情と熱を帯びていて、「微熱煙」では"綺麗に逝かせて"でシャウト気味に歌い上げてる場面も鮮明に覚えています。ガチで震える程にカッコよかった。カッコイイ長瀬はまだ終わらず、しれっと新曲「hikari」でギターを弾きながら歌ってくれました。配信ではお馴染みのギタースタイルですが、衣装も相まって別人みたいでしたね。続けて「宙でおやすみ」では照明演出に加えて青いレーザーもステージに差し込まれ、浮遊感とまた少し違った溶ける感覚が最高で。そして、「白昼避行」⇒「ライカ」は今回も完璧だった。1stと同様なのでこの2曲は繋ぎ含めてもうハッピーセットです。終始アレンジ全開でパワフルなグルーヴを生み出し続けて、途中「踊れ~!」と煽る長瀬も自ら率先して腕振って踊っていたし、最高に楽しい時間でした。
ライブ折り返し辺りで、いよいよゲストのmekakusheさんをステージに呼び入れ、初のコラボ曲である「さみしい惑星」を披露。ファンタジックな雰囲気に包まれながら、儚さと優しさが同居したメロディを思う存分嚙みしめられました。ここでコラボ曲第2弾の告知をして、それが先行披露されるかと思いきや、mekakushe × 笹川真生による「宇宙遊泳」をデュエット。2人の歌声が調和する瞬間が多々あり、相性の良さを改めて実感できましたね。物語の様に流れる時間、オリジナル以上のエネルギーがステージから発せられ不思議な感覚が加速していたと思います。因みに、2人のMCでは手を握り合ってる瞬間もあって微笑ましい限りでした。仲良し嬉しい。
再び雰囲気とガラッと変えてきたのはシティポップっぽいテイストもある「Sleeper's Store」でしたね。続けて披露された「ブランクルームは夢の中」も原曲以上に流麗に転がっていくサウンドが心地良すぎて…。バンドメンバーさんは終盤になっても、多彩でテクニカルな引き出しを次々と魅せてくれましたね。2曲目の新曲「われらスプートニク」 もここで披露されたらしんですが、大変申し訳ない、記憶がない…。
記憶がなくなった原因の一つは間違いなくラストスパート。お馴染み「今日とまだバイバイしたくないの」がその合図でしょう。「最後まで楽しみ尽くしましょう」と長瀬も声を掛けると、特大シンガロングも起こり、そこにエモーショナルの重ね掛けで「オレンジスケール」も投下。今夜も聴けて幸せでした。毎回その時だけの感情を抱かせてくれるし、何度でも言いますが一番好きな曲。バイバイしたくない我々の気持ちに応える様にキラーチューン「プラネタリネア」もやはりこのタイミングで披露。各々で楽しんでいるのに途轍もない一体感を生む1曲で、ヘドバンへ接近する勢いの縦ノリグルーヴも堪らなく好き。原曲ならば終わるはずなのに、全然終わらずに盛り上がり続けるアウトロも最強&最高。そして、3度目の新曲「遠くはなれる思考の書き取り」がこの日一番のハイライトだったかもしれません。展開てんこ盛りで、その中でシャープな変拍子と自由に暴れまわる楽器達が本当に楽しい1曲でした。リリースが待ち遠しい…。
正確なタイミングを記憶していないんですが、この終盤どこかでバンドメンバーを紹介(Bass:角田隆太、Guitar:磯貝一樹、Keyboard:宮脇翔平、Drums:大津惇、Sax, Manipulator:Shoubun)してましたね。紹介の度に歓声も上がるし、ノリノリでエアギター弾いたりしてる長瀬も可愛いかった。
「今日は来てくださってありがとうございました、次の曲で最後です」と告げると、いよいよラスト「ほんの感想」を披露。これも待ってました!言わんばかりの大歓声と盛り上がり。ギアチェンジからの加速感、騒々しくも心地良い音の連なりに笑顔が止まりません。更に、リアル長瀬から分裂したかの様にステージ上のモニター4つを縦横無尽に駆け回る沢山のバーチャル長瀬が出現していて、これまた笑顔が止まりません。全てを出し切った彼らを称える様な大歓声と盛大な拍手もしばらく鳴り止まなかったですね。出演者全員横一列になったお辞儀をしてお礼を伝えるところまで。最後はファンに手を振ってステージを後にし、約2時間の公演は終幕となりました。
改めて、昨年より更にパワーアップした内容に驚かされたライブでした。ほぼノンストップで駆け抜けた体力もさることながら、目の前の光景、浴びせられる音、次第に馴染んで心を離さない歌声、全てを純粋に楽しめる空間に仕上がっていました。フロアの雰囲気がとっても自由で居心地が良いし、前回同様に新曲が初披露されても楽しめるのも、その証拠の一つでしょう。長瀬有花が歌うだけで瞬く間に彼女の曲として感じられるし、自然と繋がりや一体感を生み出すパワーもあって。直感的に“なんか凄い!”って思わせる天才だなと思います。楽曲達は多くの人を歓迎できる幅広さもありますし。
更に凄い!って思わせてくれたバンドアレンジですが、原曲よりシューゲイザー・プログレ・ポストロック辺りの音楽性が強く打ち出されるズルいなと。長瀬ちゃんに限らず、良い意味で音源とは別モノとしてライブ体験を提供してくれるのは嬉しい限りです。よりテクニカルになり、提供したい音楽への強いこだわりが垣間見えた気がします。ライブを終えて会場から出た後の、別世界から戻ってきた様な感覚と、やり切ったからこその心地良い脱力感を味わえて最高でした。ありがとうございました!また次のライブも楽しみにしています。