DUSTCELL TOUR 2024「光」東京公演 ライブレポ
10月10日(木)Zepp Haneda.
ALLT STUDIO(KAMITSUBAKI STUDIOから派生)所属、コンポーザーMisumiとボーカルEMAによる2人組ユニットDUSTCELLのワンマンライブに行ってきました。7月にリリースされた3rdフルアルバム『光』を引っ提げてのツアー、ファイナル公演ですね。会場チケット完売につき、ライブ2日前には急遽YouTubeでの全編無料配信を決定する程の大盛況ぶりでした。
DUSTCELLを見るのは、昨年の神椿フェスぶりなんですが、ワンマン参加は初めてで、やっぱり特別だなと思えたライブでした。圧巻の美しさを何度も目の当たりにして色んな感動を味わう事ができました。その感動の憶えている範囲でレポートを書いていきます。
定刻通り暗転すると「GAUZE」と共にOP映像が流れ、ノイジーなイントロ直後の"ピー"でライブキービジュアルが全面的にバーン!と映し出された後、そのままライブ開幕。ステージには、EMAとMisumi、バンドメンバーが立っていました。始まり方センスありすぎやろ…。目の前の光景に圧倒されている間に、「火焔」⇒「Nighthawk」も続け様に投下。「火焔」の文字通り燃え盛るステージ、それに呼応する様に真っ赤に染まるペンライト。照明と連動しながら色鮮やかに差し込まれるリリックモーション映像。身体の奥まで伝わる重低音と、EMAの伸びやかな歌声。観客のコーレスで生まれる更なる一体感。序盤から畳み掛けられて、一気に引き込まれたましたね。
3曲披露した後には、EMAが「まだライブ始まったばかりだけど寂しい」と、ファイナル公演が終わって欲しくない気持ちを素直に言葉にしており、彼女の言葉に観客の心も重なったはずだし、今この瞬間が特別なものだと実感させてくれるモノでした。そんな心を一つにして「蜜蜂」でライブ再開。絶対に聴きたい曲の一つだったので嬉しかったですね。イントロが流れた瞬間に一気に黄色のペンライトで染まって壮観でしたし、広い音域を駆使してリズミカルに歌いこなすEMAの姿も印象的で。身体をゆらゆらと揺らしながら繊細に歌い上げた「FRAGILE」、エモーショナルな歌声を遠くまで響き渡った「PAIN」、重低音と共に空気を変えて、物凄い盛り上がりを魅せた「帰りの会」と、怒涛の勢いで駆け抜けた序盤。DUSTCELLの多彩さと独特な世界観を味わう事ができました。
ここでバンドメンバーとは一度お別れし、MusumiとEMAの2人になると、「堕落生活」⇒「DERO」を続け、ダークで攻撃的なパートへ突入していきました。観客も重低音に負けないクラップや、シンガロングが一斉に巻き起こり最高潮の盛り上がり。"DERO! DERO!"と一緒に叫ぶのは勿論、「堕落生活」がこんなにもシンガロング曲でライブで化けるとは思わず驚きましたね。DUSTCELLのファンの愛の深さを体感するには十分すぎる声量でした。熱を帯びたフロアを少しずつ冷ます様に、「可笑しな生き物」⇒「無垢」を披露してしっとりパートへ。「可笑しな生き物」は、ステージ奥からのレーザーが色んな角度で透過LEDと紗幕を貫いて、そこに波紋状に映像を残していく、組み合わせ演出が本当に綺麗で、記憶が鮮明に残っています。
雨の音などアンビエント要素が際立つ「無垢」もライブだとより雰囲気がリアルに拡がり、そこに溶け込むメロディと歌声も沁み入りましたね。雨粒が頬を伝う様に観客の心にそっと降り注いだ時間でした。MCでも制作秘話を語ってくれて。アルバムリリース時のインタビューでも話されていましたが、最後の最後にできた曲だと。「メンタルブレイクしていた時期にその時の気持ちを吐き出して良くも悪くも1日にできた曲で、Misumiさんにも良い曲だねって言われて、今日皆んなに見守られながら歌えて良かった」と、当時の辛さが嬉しさに変わった様な感覚を共有してくれました。
ここで再びバンドメンバーを呼び入れ、そのまま紹介を(ベース:雲丹亀卓人、ドラム:camacho、ギター&バンマス:伊藤翔磨、シンセ:Takayasu Nagai、キーボード:及川創介)して、流れる様に「Void」と「izqnqi」を披露。絶対に聴きたかった曲パート2「Void」がやっぱ好きすぎる。アングラ感溢れるAメロ、クラップ必至のBメロ、泣きのサビと、怒涛の展開で隙が無いんですよね。そして「izqnqi」辺りから音楽と視覚演出が完璧に融合し、徐々に異空間が出来上がっていく様は圧巻でした。続けて披露された「透明度」と「雨の植物園」は忘れもしない光景で、ステージ全体が水槽の中に浮かんでいるみたいに非現実的で幻想的。「雨の植物園」の、EMAを覆う様にステージ両脇と奥からも緑が生い茂って広がっていく光景は、楽曲の世界観を完全再現してましたね(以下ポストの右下)。
生み出した湿った空気感と幻想的な世界観を活かす様に、「足りない」⇒「Caffeine」とキラーチューンを披露して、EMAも力強い歌唱へと変わっていきました。もう終盤に差し掛かっているのにも関わらず、繊細さを欠かす事なくパフォーマンス強度は上がっていて、更に感情が溢れ出していたと思います。ここで改めて説明したいんですが、DUSTCELLのステージセット。何層にも分かれた奥行きある構造が本当に凄くて。大まかに一番手前から、①クソデカ紗幕、②檻の様な仕切り(兼 透過型LED)、③実際に演者がいるステージ、④バックスクリーン(複数)といった感じ。これを駆使した演出の数々にも最後まで感動してばかりでした。以下は昨年のライブ映像ですが、透過型LEDだけはどんな感じか伝わるかと思います。
MCでは微笑ましい観客との交流を楽しみつつ、初のアニメタイアップ(TVアニメ「君は冥土様。」EDテーマ)を獲得した「表情差分」を披露。DUSTCELLの中では比較的明るいトーンで耳に残るサビが魅力的な1曲でした。そしてギターリフが印象的な「フラッシュバック」を皮切りに、ラストスパートのエモーショナルな雰囲気を作り上げていきました。これまでも終盤に披露されてきた「命の行方」⇒「独白」の流れは最高でしたね。ポエトリーなフローが映える様にリリック映像も映し出され、EMAのシルエットと胸を打つ情感豊かな歌声にフォーカスした泣き演出のこだわりが垣間見えました。「音楽が唯一の救いだった」、「強く 強く 今を生きて」と、直接この言葉を聴くことができて本当に良かったです。本編ラストは「STIGMA」でお互い全てを出し切る様に真っ赤に染まっていく会場。EMAの心の底から叫ぶ様に言葉を残していく魂を込めた歌唱と、その感情に応える掛け声とシンガロング。中盤で魅せたステージ上の世界観と客席の境界線を取っ払い、とてつもない一体感を魅せ付けた渾身の1曲でした。震える程にガチでカッコ良かったです(昨年のラスト映像からも伝わってくると思うので是非)。
熱烈なアンコールに応えると、アンコール映像が流れた後に「CULT」でライブ再スタート。すぐさま歓声が上がって、本編同様、それ以上の熱気をあっという間に取り戻していく盛り上がりでした。続いたのは「優しい人でありたい」。ファン一人一人に語り掛ける様な優しい歌声で、メッセージを残していく姿が印象に残っています。歌い終わった後には、皆に伝えたい事があるとコメントし、流れた映像がこちら。
祝!武道館!!動画からも伝わると思いますが、もの凄い歓声と拍手で、やっぱりサプライズ発表時の沸き方は現地ならではの感動がありますね。涙を流しているファンも見かけられましたし、それだけ念願だった大舞台。私もこの喜びを共に分かち合えて良かったです。
この発表に際して、MCでは想いを色々と語ってくれました(ニュアンス憶えてる限りで書きます)。EMAさんは「神椿スタジオからデビューする時、PIEDPIPERさんに絶対に売れます、絶対に大きな舞台に立ちますって言って。当時なんでそんな事を言ったのか解らないけど、報われた気がする」と、ずっと涙を拭いながら話してくれて。また、「私は体力も無くて、でもMisumiさんの曲を歌うのに言い訳はしたくなくて、歌える様に色々と努力をしてきた。今迄で一番真っ直ぐ歌えたと思う。皆んなに見守られて、歌って貰って、ペンライト降って貰って、心強かった」と、肩の荷が降りた様な安堵感や、やり切った満足感など心境を真っ直ぐに伝えてくれました。
Misumiさんも「今迄本当に色々あったけど、辞めずに、諦めずに、続けてきて良かった。続けてきたら報われるんだなって実感できたから、皆んなもやりたい事とかあったら諦めないで欲しい」と喜びと共に、ファンへ熱いエールを贈っていました。
涙を拭い「死ぬまで一生DUSTCELLを続けていきたい」とEMAはこの日も決意表明をして、ラストはアルバム&ツアータイトルである「光」を披露。DUSTCELL史上最もエモーショナルなナンバーで、これ以上ない壮大なフィナーレを創り上げてくれました。ステージから伝わってくる優しいエネルギーが観客の心を浄化していく様で、ミラーボールも相まって差し込んでくる温かな光と共に訪れるカタルシス。ずっと感動しながら聴き入っていたし、ライブに来れて良かった、また来れる様に生きていこう、そんな想いが湧き上がってきましたね。会場全体が温かさに満ち溢れ、万雷の拍手に包まれる中、終幕となりました。
約2時間の公演でしたが、時間以上の濃度と感動があって、あっという間でした…。繰り返しになりますが、DUSTCELLのワンマンだから創り出せる演出は本当に魅力的なモノばかりで。上下左右から飛び交う照明やレーザーと云ったライティングは数の暴力と言わんばかりのスケール感で会場を包み込むかの様だったし、ファンのペンライトも無線制御と勘違いするレベルで完璧にシンクロしていて、一体となっていく光景が素晴らしかったです。大迫力で奥行きあるステージは非現実的な美しさを魅せながらも、間違いなくファンと地続きで繋がっていて、伝わってくる音楽と感情には確かな優しい温もりがありました。改めて、沢山の感動を貰えて感謝の気持ちで一杯です。ありがとうございました!次は武道館で逢いましょう!