国税庁・暗号資産の税務調査、インターネット関係の税務調査(所得税・令和2~4事務年度)
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所得税の税務調査の状況(令和2~4事務年度)
令和2~4事務年度における暗号資産の税務調査、インターネット関係の税務調査(所得税)の状況を、実地調査、簡易な接触、調査等合計に分けて分析し、調査件数、申告漏れ所得金額、追徴税額の変遷と傾向を示します。
調査手法ごとの状況
実地調査(高額・悪質な事案を対象)
調査件数は令和2事務年度の24,000件から令和4事務年度には46,000件へ倍増。これは新型コロナウイルス感染症の影響が緩和し、調査活動が正常化した結果であると考えます。申告漏れ所得金額: 2,992億円(令和2年度)から5,594億円(令和4年度)へ増加(約87%増)
追徴税額: 533億円(令和2年度)から1,015億円(令和4年度)へ増加
簡易な接触(電話や文書で是正を促す手法)
調査件数は478,000件(令和2年度)から592,000件(令和4年度)へ増加申告漏れ所得金額: 2,586億円から3,448億円へ増加
追徴税額: 199億円(令和2年度)から353億円(令和4年度)へ増加
調査全体の傾向
調査件数は502,000件(令和2年度)から638,000件(令和4年度)に増加し、申告漏れ所得金額は62%、追徴税額は87%増加しました。コロナ禍からの回復により、効率的かつ積極的な調査が進められています。
暗号資産(仮想通貨)等取引を行っている個人に対する調査状況
令和4年度における暗号資産を対象とした所得税の税務調査では、615件の実地調査が実施されました。
1件当たりの申告漏れ所得金額: 3,077万円(前年度3,659万円)
申告漏れ所得金額の総額: 189億円(前年度162億円)
1件当たりの追徴税額: 1,036万円(前年度1,194万円)
追徴税額の総額: 64億円(前年度53億円)
国税庁の暗号資産取引への調査能力は発展途上ですが、国内外の取引所やブロックチェーン解析による情報を活用し、今後調査が高度化する可能性があります。
シェアリングエコノミーなど新分野の経済活動に対する税務調査の状況
国税庁は、インターネットプラットフォームを利用したシェアリングエコノミーや暗号資産取引など、新しい経済活動を行う個人に対し、資料情報の収集や分析を通じて積極的に調査を実施しています。
令和4事務年度の調査結果を見ると、次のようになっています。
実地調査件数:1,324件(前年度比+485件)
1件あたりの申告漏れ所得金額:1,508万円(前年1,382万円)
申告漏れ所得金額の総額:200億円(前年116億円)
1件あたりの追徴税額:320万円(前年266万円)
追徴税額の総額:42億円(前年22億円)
対象となるシェアリングエコノミー等の新分野経済活動は、次のような事例を含みます。
シェアリングビジネスやサービス(例:民泊、配車サービス)
ネット広告(アフィリエイト等)
デジタルコンテンツの販売や制作
ネット通販やネットオークション
これらの分野では、プラットフォーム経由での取引が普及しており、税務調査において申告漏れや追徴税額が高い割合で確認されています。コロナ禍からの回復により、令和4事務年度では、実地調査の件数が大幅に増加し、申告漏れ所得や追徴税額が前年比で顕著に増えた点が特徴的です。
適正な申告の重要性
暗号資産取引の適正な申告が確認されれば、税務調査を恐れる必要はありません。そのために必要なポイントは以下の通りです:
トークン(暗号資産・NFTなど)の損益を正確に計算すること
税法に基づき正確に税額を算出し、適切に処理すること
これには、暗号資産やブロックチェーン技術に関する基本的知識、取引記録の管理、損益計算の技術、税法の理解が不可欠です。
さらに詳しい内容は、拙著『事例でわかる!NFT・暗号資産の税務』をご覧ください。
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