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科学者たちのポール・ヴァレリー

ポール・ヴァレリーはフランスの詩人であり小説家、批評家。宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」で詩が引用されたのも記憶に新しい。「風立ちぬ」という言葉は、ポール・ヴァレリーの詩「海辺の墓地」に出てくる言葉。「風は立ち、消え去る。そのように人は生き続けなければならない」。

ヴァレリーは個人的なことを公にすることを嫌っており、公表された作品の前の思索を「カイエ」(自分のためのノート)を書いていた。批評家としても活躍した小林秀雄は若いころ、自分の批評の言葉を作るときにヴァレリーをとても参考と言われている。本書はこの「カイエ」にしたためられていた数学、科学、哲学などの思索について、20世紀後半の科学者の視点からその意義を評価するシンポジウムの論文集。表紙の絵は、朝早く起き、コーヒーを飲み、タバコをくゆらしながら思索に耽り、「カイエ」を紡ぐ、彼自身にとって最も重要な時間、早朝のひとときを表している。なかなかのセンスがあるものとなっている。


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