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鎖技術者の本人確認法
先日から始まっている Monascript のクラウドファンディングについて、お問い合わせがありました。
このメールアドレスは、無職業者BOT のものですか?
なるほど確かに怪しい。怪しいですよ。うむ怪しい。無職業者 BOT のものではないかもしれない。このページは、彼以外の詐欺師が作ったのかもしれない。(彼が詐欺師ではないとは言っていない)
しかしこういうとき、メールで確認しても無駄ですよね。無職業者 BOT だったとしても、別の詐欺師だったとしても、「そうです」って返すはずですから。
実際のところ本人が戸籍/国籍的に誰なのかは、法的手段を駆使しない限り確認することは困難ですし、証明することも困難です。
しかしながら、誰かを指してその人が何をしている人なのかを暗号学的な確かさを伴って調べることは可能ですし、その手がかりを提示することもできます。(後ろ暗いものを隠していない限り、ふつうは提示するでしょう)
本件 "note ではなくQiitaに書け" 案件な気もしますが、ご時世として "IT ハンコ大臣" が登場したり、香港のデモで匿名メッセージングサービスが活躍したりと、トラストレスな本人確認がホットな話題である気もします。割とエンジニアでなくても知るべき雑知識な気もするので、記しておきます。
ガチ鎖技術者は大抵 Keybase に登録している
日本で一般生活を普通に生きている方々は、LINE とか FB Messenger 辺りでセミクローズドな情報交換をしているかと思います。ちょっと草コインを拗らせると Discord とか Telegram とか。開発系だと Slack とか。
これらに比べると圧倒的に知名度は低いのですが、Keybase という SNS が存在しています。
Keybase は徹底的な暗号化原理主義に基づいています。ご想像に難くないと思うのですが、初期導入が極めて面倒です。しかし、メッセージングの秘匿化に関しては Telegram の比ではありません。また、オープンソースで全て公開されているのも魅力的。
つまり、サイファーパンクを拗らせてしまっているタイプのガチなブロックチェーン・エンジニアの御用達なサービスとなっています。
検索すれば名のしれたクリプトコイナーらが多数見つかるでしょう。たとえば、日本在住のビットコイン技術者として知られている木下ジョナさん、世界の Koji 氏、"珠美ちゃんかわいい" 脇山P 氏、などなど。
さて本題に戻りまして。クラウドファンディングのページを最後まで読むと、開発者の Keybase アカウントの情報があります。
リンクをたどってみましょう。
このアカウントと紐付いた web サービスが表示されます。
これらのリンクは、リンク先のどこかに電子署名を埋め込むことで、信頼できるリンクと判断されます。Keybase と web サービスの両方を乗っ取らない限り偽のリンクを埋め込むことはできません。
リンクが信用できると見做して、GitHub に飛んでみます。
所属している Organization に Monacoin Project と Monaparty が含まれています。Keybase の cryptcoinjunkey アカウントおよび GitHub の cryptcoin-junkey アカウントは、彼のものであると、ほぼ断定できるでしょう。
さらに、クラウドファンディングのスポンサー一覧があるページのコミットログを見てみます。
GitHub アカウント cryptcoin-junkey が commit した履歴がありました。
よって、クラウドファンディングに彼が関わっていることは明らかです。
Gmail アドレスが彼のものかどうかは、この段になっても不明ではあります。しかし、Gmail アドレスだけ詐称する理由もなさそうなので、彼のものと見て間違いなさそうと、ほぼ断定できるでしょう。
確認したい相手が技術者ではない場合
今回は技術者だったので、GitHub を参照しました。
では、技術者ではない場合。それでも Twitter、Reddit、Mastodon のいずれかは使っているでしょうから、それらのページに飛んで、どんなアカウントからフォローされているか、どんなツイートを過去にしているかで確認が取れます。
このような手順で調べ上げても、巧妙に仕組まれて騙される可能性はゼロではありません。トラストレス。しかし、物理的な顔が見えない相手に直接尋ねるよりも、確度は高くなるでしょう。
まとめ
このようにして「誰なのかは突き止められないが、何をしてきた人なのかは高い確度で保証できる」という本人確認ができます。
先に紹介したとおり Keybase は諸々面倒なのですが、トラストレスな本人確認基盤としては便利です。ガチ鎖技術者でなくても登録しておいて損はないと、なかのひと思います。