データは無料で使えなきゃ駄目なのか
あまりAPIについては詳しくないのですが、ツイッターがAPI使うのにはお金を払ってくださいと言い出したみたいです。
この記事に限らず、他の媒体やコメントでも、おそらく、有料にするなんてとんでもない、ネット上の傾向の研究を阻害するという論調なのでしょう。ツイッターの親玉がイーロンだということも関係して、往々にして批判的です。
しかし、もともと個人データ含めてデータが無料というのは誰が決めた話なのでしょう。最近ではグーグルやメタなどの企業に対して個人データを提供することについての考え方が再考されていると思います。その中でツイッターのデータを使った研究は無償で出来るべきだ、というのは少し矛盾を感じます。
もっとも金額が妥当かは別の話ですが、価格を決めるのは市場なので、高すぎると思えば誰も使わなくて、安ければ使うという適正価格に落ち着くのが普通です。とりあえず、最初の価格として月額最高590万というのが出て来たといったところでしょう。
ツイッターが金額を徴収したとして、その元はツイートです。ツイートは個人が提供したつぶやきです。さて、ツイッターが独り占めして良いものでしょうか。このあたり、まだまだデータ市場についてはこれから整理されるべき分野なのでしょう。個人が提供するもの、それに対する対価はなに?SNSサービスプロバイダーが提供するものは何?、それに対する対価はどのくらいの価格であるべきなのか。またそのサービスプロバイダーが提供するAPIの使用料はいくらであるべきなのか?
web3が本格的に立ち上がった時に、個人データは個人の所有物という扱いがより明確になります。そのときに、個人が提供したデータがどのくらいの価値を持つのか?ということについて、今のところ明確な指標はありません。これからこういったことが少しずつ市場で明らかになっていくのでしょう。ツイッターの使用料はその第一歩というか、一石を投じたという事だと思います。
上記でリンクを張った記事はいわゆる暗号資産メディアの記事なのですが、その記事の論調がツイッターのAPIを使うのに使用料を取るなんて今後に悪影響を及ぼすという風に受け止められるのは少し残念ではあります。まあツイッターも所詮中央集権組織なので、収益の独り占めはとんでもないという話であればいかにもクリプト的ではありますが、そこまで掘り下げている感じはないですね。
データ使用料の領域はまだ混沌としていて、このあたりのビジネスモデルや使用料がいくらであるべきか、などについては今後整理されていくのでしょう。個人がつぶやいたツイートに対して価値を感じたときに痛みを感じない程度にコインを投げる、いわゆる投げ銭的な行為が気軽に出来る様になるとなんとなく感覚的に実感がわくようになるかもしれません。今は機能として出来ますが、「気軽に」というところにハードルがありそうです。「いいね」がコイン化すればいいのかもしれません。