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web3はどんどん既存ビジネスとなっていく

  10月になっても暗号資産の市場は低調に推移しています。暗号資産関連のメディアを見ても、技術的な記事や新しいサービスなどの話題は少なく、相場の見立てや政治的な動きや企業が何か始めた、などがほとんどです。
 とはいえ、これはある程度予想できたことなのかもしれません。ビジネス的なインセンティブが働かなければプロパガンダが先細る。AIの技術開発がメディアを賑わすのは、もうけるために企業が積極的に宣伝するからです。ところが、ブロックチェーンは特定の集団が儲からない仕組みが基本です。それをビジネスにしようとすると、結局、web2的なビジネスをブロックチェーン上でデジタル化しただけ、になってしまいます。それでもマーケティング的には新規性を見せたいので、web3という新しい領域にいる感を出すという目くらましが続いています。なのでどうしてもよく見るとweb2的な話が多くなってしまう、という感じがしています。
 かつて、ブロックチェーンが技術オタクの遊び場だったころは、公式なメディアと言うよりSNS上のグループでの盛り上がりがメインストリームでした。そういう盛り上がりが今は余り見られません。となるとメディアもどちらかというと企業ベースの発表記事が中心になり、ビジネス主体の内容になっているようです。そして、web3なるweb2的動きが目立っています。

 web3なのにweb2的な話だな、と思ったのが以下の出来事です。

 これは、ビットフライヤーが取り扱っているトークンが運営会社の買収によって取り扱い継続に不確定要素が加わった、という話です。純粋に分散化された仕組みで動いているのであれば、こんな話にはならない。ビットコインもイーサリアムも、その上で発行されたトークンなら、運営会社が無くなってもトークンとしては本来存在し続けられるはずです。もちろん新規発行はなくなるかもしれないし、トークンに価値を持たせている運営が無くなれば価値はゼロになるかも知れませんが、ブロックチェーン上に存在しているのであればトークンそのものはバーンしない限り存在するはずだし、流動性はなくなるかもしれませんが取引そのものは出来るはずです。
 そもそも、運営会社の存在の有無でトークンの価値が上下するということ自体がweb2的で今までのビジネスと何ら変わってないという時点でweb3なのか?というところに疑問を抱かざるを得ないのですが。そもそもweb3といっているものがなんなのか、よく分からなくなってきているので、言葉はもはやどうでもいいかもしれません。

 今後、この手の話が増えていくような気がします。web3でビジネスになりそうなのはゲートウェイ的なビジネスくらいで、それ以外はほとんどweb2がブロックチェーン上で動いているだけだと思っています。ゲートウェイ的なビジネスというのは具体的には取引所とステーブルコインの発行です。それ以外の金融取引はすべてプログラマブルに出来るはずなので運営主体は必要無く、まあ、オープンソースで開発者がいた方がいいよね、というくらいだと思います。
 法定通貨とのブリッジは法定通貨が存在する以上、必要でしょう。それが取引所とステーブルコインの発行で、それ以外はすべてプロトコルさえあれば動いてしまいます。もちろん、ブロックチェーン上でweb2ビジネスをやるのはアリで、それこそがweb3本来の構造といえます。ブロックチェーン上でweb2ビジネスをやるメリットはインフラに対するコスト削減です。特定の企業のプラットフォームに頼るより安上がりで運営できるはず(?)です。そこにはメリットがある。
 ブロックチェーン上で動いているものの、所詮は既存のビジネスなので、うまくいかなければ倒産もすれば価値もゼロになる。一方、価値をちゃんと生むことが出来れば既存ビジネスなので勝者総取りで利益は運営者に還元されます。要するに普通のビジネスということです。
 
 このあたりのweb3と言ってるけど、それ本当にweb3なの?という曖昧なものがしばらくは続くかなと思っています。
 それより、暗号資産の取り扱いがもっと簡単確実になるアプリとかサービスが出てくればいいなと思っているのですが。あんなわかりにくい送金先アドレスじゃなく、メールアドレスのようなわかりやすい宛先で送金できるとか、ID/パスワードを登録しなくても使えるサービスとか出て来てほしいものです。ただ、儲からないとやる気が出ないでしょうから、しばらくはしょうがないのかもしれませんね。今はじっくり待つフェーズなのかもしれません。

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