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吉村知事のうがい薬発言は、もしかしたら炎上覚悟のコロナ対策かもしれない

昨日、吉村知事が「嘘みたいな本当の話」と前置きして、「ポビドンヨード」を含むうがい薬が新型コロナウイルスに効果が期待できると記者会見で発表した。
私も、その会見を丁度ミヤネ屋で見ていて、思わず椅子から転げ落ちかけた。確かに、新型コロナウィルスは、口腔内・咽頭・鼻腔内で増殖することが医学的にも認められており、PCR検査も唾液を検体として使用しているぐらいだから、うがいによる増殖抑制効果は理論的にはあるだろう。少し調べてみたが、海外でも7月にうがいによる新型コロナ治療に関する論文が発表されているようだ(詳細は未確認)。考えてみれば、単純な話だが、だからこそ厚労省も分科会も気が付かなかったのだろう。私も、これは盲点だったと思わず感心してしまった。

さて、案の定、放送終了を待たず、ドラッグストアに人が殺到し、イソジンなどに代表されるポビドンヨードを含んだうがい薬が一瞬で売り切れた。その後、高額転売も発生しており、相変わらずの日本人の流されやすさに私は苦笑してしまった。
会見放送後、ネットではうがい薬の話題で持ちきりとなり、twitterのトレンドキーワードにもランクインしていた。私も、会見を見ながら、これは炎上するだろうなと思っていた。予想通り、本日の朝のワイドショー番組は、この話題で持ちきりだ。医学的治験に乏しい、ヨードアレルギー問題、妊婦や授乳中は悪影響など、効能に対する疑問とうがい薬を多用することによる危険性を喧伝する内容が多かったが、全体的にはコメンテーターも、この事態に困惑しているように見えた。

当然、吉村知事がこのような会見を行うことで、うがい薬の買い占めと転売が発生したことに対して、配慮が足りない、こうなることを事前に考えなかったのか、という意見が多かったが、私は、吉村知事はこの炎上騒動自体が想定内で、むしろ炎上することで、市民に広く周知されることを望んでいたのではないかと考えている。
先週から毎日200人前後で高止まりしている大阪府の陽性者数を考えると、現在のようなお願いベースの対策では、効果が薄いことは明白だ。居酒屋にインタビューに行くまでもなく、1日2万のはした金で10時以降の休業要請を受け入れられる店舗は少ないだろうし、市民のマインドも、1~2週間程度であれば抑制効果はあるだろうが、その後は元の木阿弥となることは想像に難くない。特措法の改正もせず、10兆円の予算も配分しない無能な政府のおかげで、有効な手立てを阻まれた吉村知事は、起死回生の一手を恐らくずっと前から考えていたのだと思う。それが、今回のうがい薬炎上事件だ。

ワイドショーに出演していた臨床医からも、うがいによってある程度の感染を抑える効果はあるだろうという意見が出ていた。主要感染経路は、唾液由来の飛沫やエアロゾルなわけだから、うがい薬によって口腔内のウィルスが減少すれば、人に感染させるリスクは低下するというのは論理的にも正しい。特に、直近の1週間で増加している家庭内感染を防止するためには、うがいは一定の効果が望めるだろう。
だから、吉村知事は、あえて新しい治療薬を発表するといって記者会見を開き、あのような発言をしたのだろう。このままでは、感染は止められず、お盆を前にして、益々高齢者に感染拡大する可能性があるこのタイミングで、センセーショナルに発表することで、市民に周知し、うがいによって感染が縮小することに賭けたのだ。twitterでも発言しているように、これは「感染拡大防止への挑戦」なのだ。

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昨日18時過ぎの会見で、この一件は、政府も了承済みと吉村知事は発言していたが、その後の西村大臣の会見では「承知していない」と、ハトが豆鉄砲を食らったような顔で答えていた。恐らくその通りなのだろう。こんな話を、事前に政府に相談していれば、止められることは必至で、そんなことを吉村知事がやるはずがない。彼は、とにかく感染が拡大する現状を何とかしたいわけで、そのためには手段を選ばず、炎上という現代社会では最も効果的な手法を使ったのだ。
更に、記者会見後の炎上状況を見極めた上で行ったのが、18時過ぎの会見だ。うがい薬が一時的に品薄になるだろうが医薬品メーカーに増産をお願いしている、政府にもこれを支援するよう要請していると話すことで、この一件を既成事実化し、政府の承認を得ているかのような発言をすることで、逆に政府にプレッシャーをかけたのだ。西村大臣は、強烈な奇襲攻撃を受け、会見では「専門家の意見を聞いて判断したい」と答えるしかなかった。確かに、うがいによる治療効果は怪しいが、感染拡大防止の一助となることは間違いなく、吉村知事も「感染拡大防止への挑戦」と発言している通り、治療効果よりも明らかに感染拡大防止を狙っている。恐らく、分科会の専門家も、同じ答えを出すしかないだろう。

私は、2週間後の新規陽性者数に注目したい。昨日、8月中旬には東京の感染者数は1日1,000を超えるだろうという予測を書いたが、今回の炎上騒動で、一時的にせよ新規陽性者数が減る可能性がある。
吉村知事の会見で、うがい薬は一瞬で売り切れた。話題になり、品薄になれば、更に人はそれを求める。買えば、使うわけだから、うがいをする人が増えることは最早明白だ。何の罰則規定もなく、お願いベースだけで、殆どの人が今でもマスクを着け続けているほど、同調圧力に弱い日本人にとって、今回の炎上商法(?)は、今のところ吉村知事の思惑通りに進んでいる。
これで、本当に陽性者数が減少すれば、ある意味画期的な出来事になるだろう。うがいという、こんな単純なことで感染拡大が防げるのであれば、マスク以上に励行するべきだ。ヨード由来の様々なリスクはあるかもしれないが、やらない理由を見つけてやらないよりも、やれる人からやっていった方が良いのは、PCR検査と同様だ。

それにしても、炎上事件を起こすことで、政府にも奇襲攻撃をかけ、現状を追認させようというこのやり方、橋下徹氏の言う通り、吉村知事はやっぱり腹黒い。

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