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『さらば、わが愛/覇王別姫』つぶやきまとめ
1993 年のカンヌ国際映画祭で中国映画として初のパルム・ドールを獲得し、翌 1994 年、日本でも大ヒットとなった『さらば、わが愛/覇王別姫』が、今回、公開 30 周年を記念して 4K レストアされ、日本では 2023 年 7 月 28 日から劇場で公開されています。
この記事ではこの傑作に関するつぶやきをまとめています。
今日は『さらば、わが愛 覇王別姫』4Kレストア特別上映を観てきたのだけど(初見)、何というか「凄いものを持った映画」だな、という軽く異物感すら覚える巨大な作品だった。とんでもないもの作ってんな、という。ちょっともう少し消化に時間が要りそうな感じです。 https://t.co/y2agsGSKdI
— タロー @ Crush On Cinema (@CrushOnCinemaLL) August 7, 2023
『さらば、我が愛/覇王別姫』4Kレストア特別上映おかわりしてしまった。やっぱりとんでもない作品だなぁ、ということで35mmフィルム上映も観ておこうかな、という気分。
— タロー @ Crush On Cinema (@CrushOnCinemaLL) August 12, 2023
『さらば、我が愛/覇王別姫』35mmフィルム上映鑑賞。4Kレストアしか観たことがない立場で観ると初っ端から、「この色味なの?」みたいなのがあって面白い。時代的にやっぱりフィルムのキズとか凄いんだけど、すぐ作品に呑まれるんであっという間に「恐ろしいほど気にならなくなる」のがもっと凄い。
— タロー @ Crush On Cinema (@CrushOnCinemaLL) August 13, 2023
先週から立て続けに3回目なんでかなり解像度上がってきた気がするんだけど、掘れば掘るほど、みたいなところがあって、ちょっと歴史の勉強しないとな、というのと、その流れで何となく『ラストエンペラー』も観直すべきなのでは、みたいなのも出てきてキリがない。そういうの楽しいよね。
— タロー @ Crush On Cinema (@CrushOnCinemaLL) August 13, 2023
あと色味の関係で「血」の表現は正直、フィルム版の方が綺麗というか、濃い。あとこの作品、同じシーンが間を空けて2回出てくるんだけどフィルム版は2回目の色味が違うと気がする(レストア版はほぼ同じだったような記憶)。こういうの制作意図だったりするかも、と思ってしまうんだけど、どうなんだろ。
— タロー @ Crush On Cinema (@CrushOnCinemaLL) August 13, 2023
まぁそういうのはありつつも、比べてみるとレストア版の仕事は凄い、と思う。気の遠くなるような作業をやってるとしか思えないんだけど、とりあえずレストア版、今回わざわざ作られたのは新たにソフト化されるから、だったら、発売され次第入手の構え。そのくらい傑作。
— タロー @ Crush On Cinema (@CrushOnCinemaLL) August 13, 2023
109シネマズプレミアムでやってる『さらば、我が愛/覇王別姫』、3回観たんだけど(1回は35mmフィルム上映)、特典のポストカード、1回目は1つの袋に2枚入ってて、2回目は1枚だけ、3回目は2つの袋に1枚ずつ、と毎回違ってて何だかカオス。そして金属の盃を鳴らす程蝶衣が3枚。 pic.twitter.com/BdeS6eV1vG
— タロー @ Crush On Cinema (@CrushOnCinemaLL) August 13, 2023
『さらば、我が愛/覇王別姫』は中国での原題が『霸王别姬』で、国際的には同じタイトルである劇中の京劇タイトルの定訳、『Farewell My Concubine』でリリースされている。邦題はある意味、両者のハイブリッドみたいな感じはあるんだけど、この英題って結構微妙だな、と思っていて。 pic.twitter.com/lk5owZTizQ
— タロー @ Crush On Cinema (@CrushOnCinemaLL) August 14, 2023
"Concubine"、辞書を引くと「a woman who lives with a man but has lower status than his wife or wives.」とあって、語源的にも「Con + Cubare」で「床を共にする人」なんだよね。もちろん虞姫は項羽の愛妾であってConcubineは誤訳ではないんだけど、原題で「姫」と言っているニュアンスは消える。
— タロー @ Crush On Cinema (@CrushOnCinemaLL) August 14, 2023
実際の劇中で虞姫も、夫に忠を尽くす貴人として描かれているんだけど、Concubineって言う言葉からそれは匂ってこない。まぁこの辺は「翻訳」というものの本質的な難しさであって、既に定着している英題に文句をつけたいというわけではなく、本題はその「文化をまたぐ」ことの難しさの話なんだけど。
— タロー @ Crush On Cinema (@CrushOnCinemaLL) August 14, 2023
個人的に、この『さらば、我が愛/覇王別姫』という作品を「文化をまたいで」鑑賞する我々の幸運を強く意識するわけです。あの作品で描かれている激動の時代を実際に生きたり、自分の歴史として持っている中国本土の人たちは別としても、この作品を味わう上で、やっぱり我々は有利だと思うんですよ。
— タロー @ Crush On Cinema (@CrushOnCinemaLL) August 14, 2023
「覇王別姫」という言葉から感じ取れるニュアンス、あるいは虞美人とか四面楚歌とか、そういうささやかな基礎知識、「女形」という存在への理解の解像度、そしてもちろん、加害者の立場としての同じ歴史の別側面からの認識だったり(青木三郎のくだりは、むしろ観ていて後ろめたくすらある)。
— タロー @ Crush On Cinema (@CrushOnCinemaLL) August 14, 2023
この作品は初演以降、中国本土で上映禁止になって文革部分の描写を変更した大陸版、京劇部分を20分カットしたアメリカ版、人物描写を単純化したヨーロッパ版など色々あって、そもそもオリジナル版を観られる国が少なくて、さらに作品に込められたものをどれだけ汲み取れるかというところも合わせると→
— タロー @ Crush On Cinema (@CrushOnCinemaLL) August 14, 2023
→我々日本人が、今、日本国内で、オリジナル版nの4Kリストアを、劇場で観れてしまう、というのは本当に幸運というか「一大事」と言っていい重要なことだと思うんだよね。で、だからこそ、この作品の背景に滔々と流れる途方もない大河のような歴史と文化に少しでも近づくことがまた重要じゃないかと。
— タロー @ Crush On Cinema (@CrushOnCinemaLL) August 14, 2023
二千年にわたり様々な民族の様々な王朝が興亡を繰り返す中で醸されてきた中国の民衆の「国というものへの意識」とか、中国古来の「夢とうつつ」のモチーフとか、主役陣に投影されている様々な像に透けて見える「中国的人間性なるものへの複雑な思い」とか、当時の動乱が現代に何を残したか、とか。
— タロー @ Crush On Cinema (@CrushOnCinemaLL) August 14, 2023
もちろん、レスリー・チャン演じる程蝶衣のセクシャリティにまつわる部分も大きな要素なんだけど、この作品はそれも含め、全体として巨大な質量を持っていて、かつ、その大質量を構成する要素が密に絡み合いすぎていて、一つのトピックを選んで語ることが憚られる、圧倒的な風格があると思うわけです。
— タロー @ Crush On Cinema (@CrushOnCinemaLL) August 14, 2023
というわけで、ここまで長いスレッドを最後まで読んでくれる人がどれだけいるか分かりませんが、とにかく今、劇場で観れる内に、ぜひこの途方もない作品を観に行きましょう。#覇王別姫 #4K pic.twitter.com/amGsZgLi8d
— タロー @ Crush On Cinema (@CrushOnCinemaLL) August 14, 2023
今更思ったけど『さらば、我が愛/覇王別姫』って、邦題だけは、前半と後半で主客が逆転で解釈できるな。Farewell My concubineだと「さらば、我が愛妾」だからやっぱり「覇王が愛人と別れる」形だけど、劇中の別れの主体は蝶衣なわけで、これはちょっとレイヤーを重ねるいい邦題かもしれない。
— タロー @ Crush On Cinema (@CrushOnCinemaLL) August 14, 2023
ちょっと心配になって調べてみたんですが、今回の『さらば、わが愛/覇王別姫』の4Kレストアは、アメリカでも9月22日に劇場公開予定で、そっちのニュースによればBDリリースも今年後半に発表予定とのこと。でもさらに掘ると、そのBD、2K収録っぽいデータも出てきてやっぱり不安。
— タロー @ Crush On Cinema (@CrushOnCinemaLL) August 14, 2023