配車センターはタクシーの学校
はじめまして。表のツイートではあまり言えなさそうなことを此処に書くことにしました。
駄文ではありますが、ご一読頂けると幸いです。
先ずは簡単に自己紹介をさせていただきます。
私は名古屋の某タクシー会社にコロナ真っ只中の2021年に入社しました。新卒社員の中では6期生にあたります。
入社した新卒社員たちは、先ずはグループどこかの営業所に乗務員として配属されるのですが、私は第二種普通自動車免許を取るための要件である、"第一種を取得して3年が経過"を満たしてなかったので、出向と言う形で無線配車センターに配属されました。
そうです。私は日頃ク○配車だのなんだの、表でよく愚痴っていますが、そのク○配車を飛ばす側の人間だったんです。
何だよ、じゃあお前特大ブーメランいつも飛ばしとるがや。
そう思われても仕方ないと思います。私も乗務員として迎車仕事をメインでやってて、因果応報だなと思うシチュエーションは幾度もありました。つけ場所、お客様との齟齬、などなど。
新人の頃こそ、古巣愛で割と積極的に自社無線は取っていましたが、今は嫌気がさしてアプリ配車メインに切り替えました。
話を一旦戻します。
今回は、私が配車センターで感じたこと、タクシードライバーという職業に興味を抱いたきっかけをお話させて頂きます。長くなるかと思われますが、宜しくお願いします。
さて、私が入社した時、私はタクシーという業界に1ミリも興味が無いどころか、寧ろ「底辺の仕事」と見下す側にいました。
コロナ禍の就職難で行きたかった業界は軒並み募集を停止。流れ着くような形で入社したのです。
そんな訳なので、当初の私はこの会社で何の仕事をやるにしてもモチベはマイナスでした。恐らくですが最初からドライバーやってたら、即座に事故して辞めていたと思います(笑)。
入社した直後の諸々の研修を終え、初めて配車センター職員として出勤。
まずはセンターに登録されている顧客情報や乗務員へ送る配車メッセージ(以下、CTI)を入力する練習。その合間に先輩職員の横に付いて実際にお客様と電話のやり取りをする様子を見学し、雰囲気を感じてもらう。
初期はひたすらこの流れの繰り返しでした。これがまー眠い(笑)。締め切った室内ということもあって、何度も微睡みました。
そして、1ヶ月くらい経ったら実際にお客様とのやり取り、CTI入力&配車の作業を本格的に行います。と言っても最初は先輩が横について手取り足取り指導をしてくれます。ドライバーでいう横乗りだと思って下さい。
お客様から電話がかかってくると、画面に名前・電話番号・住所・その他特記事項が表示させるのですが、まず一言。
この住所、何処やねん?!
守山区とばみ? 中村区よろずまち?
そもそも地名が読めない。泥江町も水主町も読めない。そんな状態で新人職員はスタートします。
読めない、何処にあるかも分からない。そんな場所に私たちは、次々と配車をかけていかねばなりませんでした。今にして思えば、こんな面々がク○無線をバンバン飛ばしてくるのです。そりゃあ乗務員の不満も溜まりますわ。
流石にそんな状態で長々とやる訳にもいかないので、業務の合間に先輩や管理職が地理研修を行っていました。と言っても、乗務員の研修センターでやるようなものではなく、ただの地名読み方クイズです。○○区のどの辺にあるのか、なんという通り沿いなのか、そんなのはやりません。とりあえず読めりゃ何でもいいのです。
後に乗務員として研修センターに行った際、「俺はその辺の素人と違って地理にそれなりに詳しい」と謎の自信がありましたが、これはとんでもない傲慢であったと自省しています。元ドライバーの職員や管理職を除いて、センター職員の地理なんてそんな程度なのです。
こんな感じで、私は同期たちと毎日あくせくと仕事をしていました。職場の雰囲気ですが、どちらかと言えばまだ和気藹々としていられました。
昼休憩では同期たちと会社への不満を愚痴あい、帰りは先輩と伏見の駅前で何時間も駄弁る…。そんな毎日でした。社会人とは言っても、まだギリギリ学生気分でいられる場所でした。
私は今回のタイトルを配車センターはタクシーの学校としましたが、その所以がここにあります。
確かに上司や先輩との上下関係はありましたが、ほとんどの人は最低限の礼儀さえ弁えとけば大丈夫とばかりに、割とフランクに接しさせてくれたと思います(一部そうはいかない方もいましたが)。
仲の良かった先輩も、1、2年前に同じく新卒として入社し、年代の近い人が多かったので、高校の部活動みたいな感覚で接することが出来ました。
ただ残念なことに、乗務員として配車が入るようになってから、ナビから聞こえてくる見知った声は日に日に減っていきました。
私を除き同期は4人配車センターにいました。今は全員辞めました。親しかった新卒の先輩も、オペ音声で声が聞けるのは僅かしかいません。連絡先は交換しなかったので、現在の状況は分かりません。
ともあれこんな毎日を過ごしながら私はセンターでタクシーのお仕事を学び、興味を抱くようになりました。それでも室内で電話番をしているだけでは、イメージできることに限りはありました。
…なのでとりあえず仕事終わりに実際に手を上げて乗ってみました。
広小路久屋の東向きで手を上げ、止まってくれたのは確か🐧のツートンだったと思います。近いのは申し訳なかったので、とりあえず自宅の方向にむかって2000円くらい付きそうな地名を指定しました。
道中、私は配車センター職員であることを明かし(本当はダメですが)、運転手さんとお互いに思ってることを話し合いました。当時は今の会社がGOに加盟したばかりだったので、「GOどうですか?」と聞いてみたりもしました。
感想?目的地まで金払って車で送ってもらうだけなのに、非常に楽しい時間を過ごせました。これがもしいつも通り満員の地下鉄に揺られてるだけだったら、確実にこうはいかなかったでしょう。
決済を終えて降車する際、運転手さんは「いやー非常に有意義な時間を過ごせました」と言って走り去っていきました。それはこちらも同じでした。
これが私とタクシードライバーという職業との、本当の出会いでした。そしてこの日以降、私はタクシードライバーになった自分の姿をイメージしながら仕事をするようになったのです。配車センターでの学びと、あの🐧の運転手さんの姿を重ねて。
長くなったので此処で締めます。最後までお読み頂き、ありがとうございました。
またこんな感じで過去の私の経験や仕事を通して感じたことをだらだらと自分語りしていきますので、これからも良かったら読んでいって下さい。
コロタク@名古屋