だから僕は、Jpnを降りた。

この記事を見てくださった全ての皆さんに感謝します。名古屋でタクシー運転手をしておりますごーやと申します。

昨日は華金の夜での営業でした。リザルトは送客32回、総営収は税抜5万円。非常に濃い内容の、充実した勤務にする事が出来ました。

その中で色々と思うことがあり、納金後管理者に「Jpnを降りたい」と申し出ました。ここから先はタクシーとしては古典的なクラウンセダンでの営業になります。

今回は、Jpnに乗っていた僕が何故そのような決断をしたのか、理由についてお話させて頂きたいと思います。

最後までお読みいただけると幸いです。

1.端緒

私は転籍して今の会社でタクシーに乗り始めて、暫くはクラウンセダン(以下、セダン)で乗務しておりました。

しかし時は車内空間にゆとりがあるJpnタクシー全盛の時代。従来のセダン型車両での営業はかなり不利になっていました。流しをすれば自分の番で手は上がらず、後続のJpnに乗ってかれる。長距離の無線配車は基本Jpnが最優先で振られる……。

そんな環境で中々営収を上げれず、私はとうとう管理者に「Jpn乗せてくれ!」と頼み込みました。そして何とかその願いは果たされる運びとなりました。

その後の私は水を得た魚のように数字を伸ばし、セダン時代とは比較にならないほどの月間売上を上げるようになりました。この時天狗になってなかったと言えば、嘘になります。

そうです。ここで気を引き締めておけば良かったのです。

先月度の中盤、私は乗務中に物損事故を起こしてしまいました。事故の内容は割愛させて頂きますが、幸い怪我人は出ませんでした。

それから私は、降格処分として再びセダン乗務が決まりました。降格して最初の1週間、私は仕事に対するモチベがマイナスを振り切り、営収も最低限すらやれない日々が続きました。

しかしながらその失意の日々の中で、必死に足掻き、何かを掴もうとしている自分がいたのもまた事実です。セダンにはセダンのやり方がある。それを見つけようと、私は営業の様々なやり方を試しました。

そして、今になってようやく、そのやり方を見い出せた気がしたのです。


2.フォルムチェンジ!

Jpnに乗っていた頃、私はひたすら長距離の乗客、即ち大物ばかりを乗せようとしていました。正直な話、かなりセコい事もしていました。当時の私は、客単価とか総営収とか、とにかく金額のことしか考えていなかったのです。

実際、Jpnに乗っていれば大物はいずれ釣れました。長い距離を乗る乗客の大半は、Jpnを選びます。だから大物を狙った営業は、Jpnに乗れるならあながち間違いでは無いと思います。

しかしセダンでは、そもそも大物が乗ってくれる確率は低いです。言い換えれば、大物狙いの土俵にすら立てないケースが多いのです。そこで私は考えました。

大物が釣れないなら、小魚を釣りまくって物量でゴリ押せばいい。

近距離の乗客を嫌うタクシー運転手は多いです。かく言う私もそうでしたから。しかしながら、特にセダンでは選り好みしている余裕はありません。ワンメーターだろうと何だろうと、兎に角乗せ続けるしかないのです。要するに、回数での勝負です。

大物狙いの一発屋から、数の暴力という脳筋戦法へのフォルムチェンジ

プレースタイルを大幅に変えた私は、微量ながら営収を伸ばし、復活へ向けて前向きに動き始めることが出来たのです。


3.Jpn復帰

新しいスタイルが身に染み付きつつあったさ中、管理者よりJpnに復帰出来る旨を伝えられました。

良かった、これで少しは楽になれる。

胸を撫で下ろし、私は今月度の勤務に入りました。でもだからと言って、再び大物狙いの従来のやり方に戻ることはありませんでした。

気が付けば短距離を積み重ね、たまーに、たまたま大物を意図せず釣り上げ、また短距離を積み重ねて……。

そんな日を2日ほど経験しました。確かに営収はセダンの時よりも上がりました。ただ、乗っている車はJpnでも、知らずしらずのうちにセダンに乗っているつもりで私は走っていたのです。

気がつけば、金額ではなく回数を追いかけ始めている自分がいました。乗客に言われた目的地が近場でも、「まぁ普通そうだよな」と思い、黙々と仕事をするようになっていました。


4.コレジャナイフライデー

Jpnに舞い戻り、復活の狼煙をあげ始めた中で迎えた昨日の金曜日。周囲は皆、営収を一気に稼ぐ勝負所と意気込んでいました。そんな中私は何をしていたのかと言うと……。

今日は30件倒してくるわ!

などと、管理者にブチ上げていました。完全に、回数を追う楽しみにのめり込んでいました。

そして実際に、32回も倒してきました。見事な有言実行です。

今までなら「何でこんだけ回数こなしてんのにジャスト5万しかやれねぇんじゃゴラァ!」などと言ってキレ散らかしる所ですが、今回は久々に営業所に戻ってきて、達成感を味わいました。

でも、何か違うんです。そうじゃないんです。鈴木雅之なんです。


5.やりたい事が見つかった

営業所までの帰り道、私は一日の営業を振り返っていました。確かに回数をこなし、納得のいく華金にはなった。でも、これって何か違うんだよな。

金曜日ということもあって、錦には大物狙いのタクシーが殺到していました。そしてそれらの多くは大物を釣り上げ、颯爽と走り去っていきました。そんな中で私は相変わらず、短距離を粛々と載せ続けていたのです。

でも、それならJpnじゃなくても良くないか?Jpnならあの中に混じって大物を釣り上げる事くらい、造作もないはず。もっとアグレッシブに営業しても良かったのでは?

感じていた違和感。それは今の自分のやり方に、Jpnは本当に必要不可欠なのかという疑問でした。セダンは大物に差別される。だからコツコツと小魚を積み上げるしかない。今の自分はJpnに乗っているはずなのに、まるでセダンに乗っていた時のような、いい意味で卑屈な営業をやっている。

このことに気付いてから、迷いはありませんでした。勿論、また最低限の金額すら出来なくなるのではという不安はあります。ただ、それも含めてやり方を追求していくのが楽しいんじゃん。

そう考えた私は、自分から再びのセダン降格を申し出たのです。管理者は困惑した顔をしていましたが、今の自分のプレースタイルには必要ないこと、かつての自分のように営収が伸び悩み、乗り換えを渇望している人を乗せてあげて欲しい旨を伝え、車両変更を手配して頂ける運びとなりました。

数字を追って事故をやった運転手が、それをきっかけに営業のやり方を追求する楽しみを知ったのです。怪我の功名という言葉は美辞麗句になってしまいますが、今の会社で確かに私はやりたい事を見つけたのです。


6.おわりに:

つまらない話を長々とお読み頂いてありがとうございました。

次回の投稿では、そんな私がこれからどういう営業をやろうとしているのか、その計画を少しだけお話させて頂こうと思います。

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