ライドシェアに関する愚考

おはようございます。
本日はタクシー業界を揺るがす大問題、ライドシェア解禁について私なりの考えを述べていきたいと思います。


前提:何故ライドシェアをやるのか?

今年の4月よりライドシェア解禁が正式に発表されています。巷では賛否両論飛び交っていると思いますが、中にはかなり的はずれな意見も多々見受けられます。

その的はずれな意見を述べる方々に言いたい。

ライドシェアは、タクシーを駆逐する為のものではありません。

「早くライドシェア解禁して、悪質なタクシー運転手を追いやって欲しい」

「タクシーは危ない運転沢山するし、早くライドシェア解禁して欲しい」

こんな意見が、X(旧Twitter)でよく見受けられます。

ちょっと待って下さい。政府がなぜライドシェアを推し進めるのか。それはコロナ禍で大量離職が相次ぎ、需要が回復した今タクシーの供給が運転手不足で追いついていないからではないのですか。

いつの間にライドシェアは、貴方達の嫌いなタクシードライバーを淘汰する好材料へと変貌したのですか。

確かに悪質な運転手に嫌な思いをさせられ、ライドシェアに希望的観測を抱きたくなる気持ちは分かります。ただライドシェア自体の目的を、感情に任せて履き違えるようでは、まともな議論など出来そうもありません。

本題に移る前に一点、これだけが気になっていました。ライドシェア推進派の皆さん。ライドシェアを礼賛するのは勝手ですが、それは決してタクシー運転手を追放するものではありません。

このことをしっかりと、ご承知下さい。


私の意見

ここからが本題です。

私が言いたいことは一つ。

行灯を背負わぬ者の責任を負うべきではない。

これだけです。どういうことか説明します。

そもそもライドシェアとは第二種普通自動車免許を持たない一般ドライバーが、自家用車を用いて有料で送迎を行うサービスです。

そして政府が示した日本型ライドシェア案は、そのライドシェアドライバーの運行管理をタクシー会社が行うというものでした。

私はこの部分がどうしても引っかかります。

例えばタクシーのドライバーが乗客とクレーム沙汰になった時、会社及び運行管理者はその責任を負い、乗客に対し謝罪する義務があります。

タクシーのドライバーは会社の行灯(看板)を背負い仕事をし、賃金を貰う訳ですから、それ相応の罰則を受けなければいけません。


一方ライドシェアのドライバーはどうでしょうか。例え話をしましょう。


ある日貴方はライドシェアの車を配車しようとしました。手配されたのはパッと見何処にでもいるごく普通の車。ドライバーは制服なんてものはなく私服。いざ乗ってみると、ここは俺の車だ城だと言わんばかりの横柄な態度。


調べてみたら当該ドライバーは、○○タクシー株式会社に管理されている人間でした。当然、貴方はクレームを入れようとしますよね。

私もタクシー会社で運行管理業務に就いていたことがありますが、何処の馬の骨とも知れないドライバーの苦情対応をし、何故頭を下げなければならないのか。と思うのが正直なところです。

勿論運行管理者も人間です。タクシードライバーの苦情対応をする時も、「俺のせいじゃないのに…」と思うことはあります。ただそれは会社の看板を背負った人間の失態だからこそ、渋々頭を下げられるのです。

会社の行灯もつけていない。制服も着ていない。無線番号も車番も付いていない。そんな奴の責任を、何故タクシー会社が背負わねばならないのでしょう。

ライドシェアとタクシーは表向きの共存関係を以て続いていくでしょう。しかし、ライドシェアがタクシーの顧客を一定数奪うことになるのは事実です。誰が好き好んで競合相手の苦情や事故処理なんてやりたいと思えるのでしょうか。


ライドシェア解禁が正式に決まり、その要綱が発表された時、私は憤りを感じました。なんで我々がライドシェアの責任を負わねばならないのか、と。

私はただのいちタクシードライバーですが、もし業界を牽引する、それなりの地位に就いていたとしたら、こう言うでしょう。

「は?我々はそんなんやりませんよ?貴方達の愚策になんでこっちが巻き込まれないといけないの」

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