見出し画像

創業112年!桔梗が原メルローの生みの親「五一ワイン」の歴史に触れる【五一ワインインタビュー①】

皆さんは長野県にある五一ワインさんをご存じですか?

創業112年、日本ワイン好きなら知らない人はいない有名ワイナリーさんで、
日本ワインコンクール2023で金賞受賞を果たしている実力を持っていらっしゃいます。


創業者の林五一さんは長野県塩尻市・桔梗が原で日本初のメルローを栽培し始めました。

現在では桔梗が原メルローは“桔梗が原”という名前が付くだけでワインの金額が何万円にも跳ね上がるほど、高品質なメルローの産地として知られ、世界的にも高く評価されています。


五一ワインさんで栽培されているメルロー品種

実は五一ワインさんは、私たちCrritの事業に全面的にご協力いただいています。

そこで今回は皆さんが知らない五一ワインさんの歴史や魅力について現社長の「林修一」さんにインタビューさせていただきました。

現社長の林修一さん

112年の歴史を持つ五一ワイン

五一ワインさんの始まりは1911年。

創業者「林五一」さんが長野県塩尻の桔梗が原という土地に目をつけ、ワインの製造を始めたいと思ったのがきっかけです。

長野県塩尻市の五一ワインさん醸造所

塩尻の桔梗ヶ原は北アルプスに囲まれた冷涼で雨が少なく、乾燥した地域で、ぶどうやももの栽培に非常に適した土地だったそうです。

そこで、五一さんはぶどうやももの果樹栽培と合わせてブドウ加工品であるワインの醸造を始めました。


五一ワインさん醸造施設

当時の日本ではワイン醸造は全く浸透しておらず、非常に珍しかったそうなのですが、
日本人にも自国で作られた良質なワインを飲んでほしいという思いからワイン醸造を始めたそうです。

作り続けたワインがブームに

林五一さんがワイン製造を始めてしばらくはワイン文化の浸透は見られなかったのですが、1964年の東京オリンピックを境目に1970年代に日本は第一次ワインブームを迎えました。

欧米の食文化の浸透や外国ワインの輸入が自由化されたことが背景にあります。

その流れを踏まえて、五一わいんさんは徐々に果樹園よりもワインの醸造に力を入れるようになり、「五一わいん」の商標でワインの販売を開始しました。

世界にはたくさんのワインがあるのですが、世界的にみても、個人の名前が付けられたワインは非常に少ないそうです。

桔梗が原メルローが世界的な地位を確立

一般家庭にワインブームが到来しても、料理人の日本ワインへの目は厳しかったそうで、「海外のワインでなければワインとは呼べない」という声を頂いたこともあったそうです。

そんな流れを変えたのが、1989年(平成元)に「シャトー・メルシャン信州桔梗ヶ原メルロー1985」が国際ワインコンクールで大金賞を受賞したことでした。

桔梗が原で育てられたメルローの品質が世界的にも高く評価された歴史的な瞬間です。

このワインが世界的な賞を受賞したことにより、林五一さんが日本で初めて栽培を始めた“桔梗が原メルロー”というブドウの地位が世界的に確立されました。

五一ワインさんでももちろん桔梗が原産のメルローが作られており、五一ワインを代表するワインの一つになっています。

五一ワインと貴腐ワインの奇跡の出会い


五一ワインさんでは栽培が非常に難しく、プレミアムなワインで知られている貴腐ワインの製造にも挑戦されています。

貴腐ワインはぶどうの周りに貴腐菌というカビが大量に発生する自然現象が起こった時にできるワインです。

非常に糖度が高いことが有名ですが、その発生には温度や湿度の細かい条件が揃わないと起きないそうで、いまだに人工的に栽培することができていません。

五一わいんさんでは1993年に初めて自然現象でぶどうの貴腐化が起きたそうです。

当時栽培を担当してた林さんは、初めて貴腐化したブドウを見たときとても驚いたようです。
というのもワイン用のぶどうを育てるために、日々腐らせないように気をつけていたのにも関わらず、2~3日で大事なぶどうにカビ(貴腐菌)が広がっていって食べられないような見た目のブドウになって行ってしまったからです。

五一ワインで栽培されている貴腐ぶどう

そこで廃棄しようか悩んでいたところ、貴腐化したブドウを見たことがある山梨の研究家がたまたまお手伝いに来ており、数日寝かせてワインを醸造してみようということになりました。

普通のぶどうと違うのでなかなか醸造にうまくいかず、1年半もの長い歳月をかけて初めて貴腐ワインが誕生しました。

今でも貴腐ワインの栽培は難しく、10年に1度出逢えるかどうかだそうです。

未来に続く五一ワイン

五一ワインさんは栽培を始めた1911年から112年もの歴史を刻んできましたが、いまだ成長を続けているそうです。

2021年には国税庁に「GI長野」、「GI長野プレミアム」の認定をいただき、一流のワインであることを認められました。
また今年2023年の日本ワインコンクールでもサントリーなどの大手のワイナリーが賞を受賞する中、五一ワインさんの「エステートゴイチシラー」が金賞を授賞しました。
また、他6点のワインも入賞を果たしています。

また、ワインファンの生の声を聴きたいとの思いから、
農園を解放し、農園見学や直売所をオープンするなどしてファンとの距離を縮め、
より多くの方にワインの魅力を知っていただく活動をなさっているそうです。

Crritとも今後ワイン製造お手伝いツアー五一ワインを使ったワインペアリングコースを計画しており、五一ワインさんと繋がるイベントや企画をたくさん提供していく予定です。

日本ワインの歴史の担い手「五一ワイン」

1911年に初めて長野県塩尻・桔梗が原の土地でメルローを栽培してから、ずっと日本ワインの先駆者として走り続けている「五一ワイン」さん。

今回取材させていただいた社長の林修一さんは栽培に30年以上携わっていらっしゃって、ワインに対して非常に強い思いを持った造り手さんでした。

今回取材を行う中で、いろいろな歴史や社会の変化、人や偶然との出会いからワイナリーとして発展されてきたことが伝わりました。

今回インタビューで強く印象に残っているのが農園の見学をさせていただいた時です。

農園では20種以上のぶどうを栽培しているそうで、一歩進むごとにブドウの香りが変わる不思議な経験をしました。

皆さんもぜひ長野・塩尻の「五一ワイン」さんに足を運んで、ワイン用ブドウが生み出すコンチェルトを楽しんで見てください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?