Govtech関連のサービスを複数リリースしたスタートアップUI/UXデザイナーが思うこと~あなたが作ったそのデザイン、おいくらですか?~
前書き
こんにちは、自称スタートアップ企業のWEBデザイナー、UI/UXデザイナーのカンタツです。(年齢:36歳、得意料理は中華全般。特に四川麻婆豆腐)
クラウドシエンの様々な関連サービスのWEBデザイン、UI/UX、画像作成、デザイン関係であればほぼほぼ担当している。
この度、自治体案件と企業を結ぶ「ローカルハブ」というサービスをリリースしたので、えー、まあ、私なりに粗削りではあるがここまでの経緯を力を存分に抜いて振り返ってみたいと思う。
ローカルハブについて真面目に知りたい方は、他メンバーがローカルハブのコンセプトや背景、情熱などを熱く語っているのでそちらを見ていただきたい。
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前もって伝えておくが、私には大手企業でのWEB開発経験もなければ、シリコンバレー最前線でデザイナーとして活躍してます!など、そんな輝かしい経歴があるわけではない。(シリコンバレーに行ったことはあるが大手企業の前で写真撮影しただけ)
先述したが、イケイケの模範解答を探しに来ている方は、遠慮なく「戻る」ボタンをクリックしてほしい。
きっかけはD
地方のしがないWEB屋だった当社は、2018年ひょんなことから、助成金・補助金の支援サービス「クラウドシエン」というサービスを開始し、大手金融機関や通信企業から協業のオファーが舞い込んだり、投資家の目に留まるなど、意外にも好感触なスタートを切ったと同時に、リソース不足をはじめ、様々な課題を抱えながら日々突っ走っていた。
そんな中(2021年2月くらい)、うちの代表Sと元県庁脱サラ起業家Dとの出会いがすべての発端となり、「自治体営業」の話が進んでいく。
話はさらに派生し、官民連携とこれまで聞いたことのないようなジャンルに進出することとなり、『ローカルハブ-ワクワクする仕事を、行政と』リリースの足掛けとなった。
かなりざっくりだが、経緯はそこまで重要ではない。まあ世の中、きっかけなんてそんなもんだろう。
暗黒社畜時代
クラウドシエンのサービスは、公式サイトの公的支援サポートサービス以外にも、オウンドメディア、DX、BtoGなど多岐にわたる。
それに伴い、マーケチームや営業チーム、CSチームといろいろ存在するが、デザイナーは、私一人だった。
大事なことなのでもう一度言うが、デザイナーは、私一人だった。
サイトの改修(全ての関連サイト)、画像作成、バナー作成、マーケ補助、資料作成などデザインに関連するものは私が基本的には請け負い、それに加えて営業もしている期間もあった。
忙しかったといえば忙しかったのだろう。
スタートアップだからだと言い訳しているのではない。褒められたいわけでもなく同情してほしいわけでもない。
ただ、成功を信じてひたむきにまっすぐ動いていた記憶はある。
とりあえず前を向いて生きよう。
明日死ねるのは今日生き延びた奴だけだ。
自治体アラートからLocalHubへ
最初に案がでていたのは、
「全国の自治体情報検索エンジン 自治体アラート」だ。
助成金や補助金に加え、自治体案件などの情報が他サイトを挟まず検索できるものだ。だったと思う。。。
検索エンジンなので、デザインはシンプルで私の出る幕はあまりないかなと。
ちょうど、クラウドシエンのCSツールをエンジニアTさんと励んでおり業務には追われていたので、その時は「また何か新しいサービスを作るのかな」くらいにしか意識していなかった。
そうこうしていると、代表SとDはさらにヒートアップしたようで、本格的に官民連携サービス「LocalHub ~行政と仕事するなら~」のリリースを表明する。
ここで正式にLocalHubのワイヤーフレームとラフデザインが私に依頼された。ほい、来た、そらそうなるわな。
正直この初期段階の記憶はほとんどない。よほど他の業務に追われていたのだろう。
一抹の不安
LocalHubのラフデザインが完成した。今振り返ると、怖いほど血の気が通っていない、ナンセンスなサイトだ。UI/UXデザイナー失格の、リアルに2点くらいだろう。
それもそのはず、数人のアイデアを雑に寄せ集めた、いわば他社模倣サイトだった。コアコンピタンスのかけらもない。
まあ、事実、当時はこれで満足するくらいの熱量だったのだろうが。。。
2021年秋に差し掛かるころ、エンジニアTの都合が合わず、タスクを振れない状況にあった。
さらに、エンジニア畑出身の代表Sもその他の業務で圧迫され困窮。slackのレスも深夜にしかもらえないような状態だった。
ここで一抹の不安が脳裏をよぎる。
この時、私の右側頭部からは7本ほど白髪がのぞいていた。
実際に白髪が増えているわけではないが、それは問題ではない。
メシア(救世主)登場
企画から1年以上たったであろうか、いやそれ以上か。
第1弾ができてからもう数か月が経過したように思う。
年をまたぎ、2022年の1、2月。ここでLocalHubチームにある変化が訪れる。
毎週木曜日、LocalHub開発メンバーで定例ミーティング(MTG)が行われているのだが、そこに学生インターンFとエンジニアNがアサインされた。
礼儀正しい純真無垢そうな学生インターンF、少しぼそっと話すその裏に出馬経験ありという異形な経歴を持ち合わせたエンジニアN(オーラが完全にエンジニア気質)。
コーディングとシステムに関してはこの2人に一任された。
いつも通りに「よろしくお願いします」と私。
麻婆豆腐でいう、ラー油と炸醤(ザージャン:挽肉)が追加された感覚だ。
LocalHubの成長過程
LocalHub改良第2弾ができた。
怖いほど血の気が通っていない、ナンセンスなサイトだ。UI/UXデザイナー失格の、リアルに9点くらいだろう。
この時期、LocalHubには、グラフィカルに見た人を驚かせたり感動させたりする要素はみじんも必要ない、あるのは案件情報のみ。そんな思考だった。
なんともオモシロ味のない仕事っぷり。
行政のサービスというバイアスが、私のデザイン脳にがっつりリミッターをかけていた。
から、事実上のフルリニューアル依頼があり第3弾ができた。
私もデザイナーのはしくれ、作るならやはりUIにはこだわりたい気持ちがあったので、少しばかりか罪悪感が緩和された。
がしかし、毎回のリニューアルで、少しづつは改良されているので印象は若干あがりつつも、それでも、何か原因不明のしこりが取れない。
これは、おそらく開発に携わるメンバー全員が感じていただろう。
いつもと違う定例MTG
今思えば、この日のMTGが全てを変えたようにも思う。
いつも通り、
エンジニアN「この部分はこういった仕様でいいですか?」
一同「・・・・・・」
一同「・・・そうですね、いいんじゃないですか?どうなんですかね・・」
代表S、D、私がランダムで鈍く答える。
ふわっとしか決まっていない仕様や時間浪費型の議論に痺れを切らしたのか、
一同「・・・・・」
LocalHubには明確なプロダクトリーダーがいなかった。
そう、麻婆豆腐でいう豆腐がなかったのだ。
この一言が、Dの瞳、奥底にいる眠れる獅子を呼び起こし、それに共鳴したように、私の脳に刺さってたリミッターが外れた。
ここからLocalHubが加速することとなる。
LocalHubからローカルハブへ
2022年4月中旬、私の鼻、My noseが花粉と激闘を繰り広げていた頃、
(勝者→花粉)
「LocalHub」から「ローカルハブ」へ変わった。
英記からカタカナに変わっただけだが、その役割や大きい。
コンセプトががっしり決まり、「ワクワクする仕事を、行政と」をキャッチに抱え、
と思わせるようなインパクト(魂)を細部に宿らせた。
補足でいうと、
この間に、コンセプトを昭和レトロに舵取りし、「あの頃の地域のワクワクを」にした。
結論から言うと、コレはうまくはまらなかったのでお蔵入りとなったが、この議論がなければ今に着地していなかったので、これはこれで必要な過程だったのであろう。
そして、行政案件の見せ方も重要な要素の1つだ。
結果、
案件ひとつひとつのサムネ画像に魂を込めることになるのだが、50件超えたあたりで鼻血がしたたり落ちた。
実際に鼻血はでてはいないが、鼻血が出た出ていないなどということは、やはりここでも問題ではない。
ここからリリースまではかなり早かったように思う。
中華は段取8割、調理2割とよくいったもので、その感覚に近かった。
ビジュアルを言葉にする
UI/UXで重要なことは、何だろう?
トレンドに沿った最新のCSSアニメーション?ボタンがクリッカブルになっているか?それともリードの導線設計?
先にも伝えたが模範解答を求めているなら、その期待には応えられないだろう。そんな難しい話をするつもりは毛頭ない。
さて、決して自惚れるつもりはないが、クラウドシエンの公式サイトはなかなか評判がいい。
助成金・補助金ジャンルは、難しそう、面倒、うさん臭いなど、第一印象としてはネガティブな印象を持っているユーザーが多い。
実際に、競合他社のムードボードを作っても、その印象を払拭してくれるようなサイトはなかなか見つからなかった。
そこに突破の可能性を見出して、クラウドシエンには、シンプルなレイアウトながらも、きれいなビジュアルとパッと見のわかりやすさを追求し、ユーザーに「信頼感」を与えた。
そんな印象を与えることがゴールだった。
ローカルハブでは、先述の通り、
ユーザーに与える印象、ビジュアルを言葉で定義することに苦戦したため、なかなかカタチになるのが遅かった。
あなたが今制作中、取り組んでいるサービスには、どんな表現がぴったりだろうか?
表現は無限大だ。
私たちが選んだのは、
ワクワクとはなんとも便利な言葉で、楽しさ、面白さ、期待感、可能性など様々な感情の集合体のようだ。
Dは、「面白い場所には人が集まる」と言っていた。
ローカルハブもそんな、人が集まる面白い場所になってほしい。
ココに来たらいつも何か発見がある、ワクワクをもらえる、
そんな体験や感動、心地よさを提供することが、永く使ってもらえる一歩につながると、私は思う。
さいごに
まとめる前に、メンバー全員に感謝の意を伝えたい。
特に、開発と並行して、もの(サービス)もないのに、自治体を口説いてくれた営業チームのメンバーには頭があがりません。
ありがとうございます。そして、待たせてすいません。
さて、デザイナー目線といっておいて何もデザインの事に触れていない記事にはなったが、
サービスプロダクトとして一番重要なこと、そして得た気づき、それは
「誰と作るか」だ。答えとしてはありきたりだが、ありきたり最高だ。
少なくともうちには、こてこてのヒエラルキーはなく、壁も敷居もなかったので、ざっくばらんにディスカッションができた。
最終的にプロダクトリーダーはいたが、縦ではなくて円になっていて、中心に近づけば近づくほど熱量は大きく、血が通い、いいサービスができた。そう思っている。
加えて段取8割、これに尽きる。
え?結局、私が作ったデザインはおいくらなのかって?
・・・さぁ?いくらなんでしょうね?
というか、本気で想いをのせて作ったデザインはお金じゃ測れませんね。(お前が言うな)
釣りタイトル?話が違うじゃないかって?
まあ、大人なんてみんな汚いもんですよ。では、また。
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