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菜なれ花なれ第一話感想
MyGOの監督である柿本広大が本気出して挑む作品らしいのでそれなりに期待しての視聴
納得のいく出来で少し長めに感想書きたいからnoteにつけておこう
1)柿本監督について
柿本監督について最初に意識したのは「刀使の巫女」
第一話観た時は、決して高い評価では無かった
丁寧だけど淡々とした描写はリアル的
それなのにゲーム設定をそのままアニメに落とし込んだ様な描写もあり全体的に雑な印象で好ましく感じなかった
けど、その丁寧な描写は人間の描き方では徹底していて、どうしても登場人物の動向が気にかかる
そのまま観ているうちに、最初の設定から来る雑な描写はなりをひそめ、気がついたら世界観全てが好きになっていた
これと似た様なことがもう一度起こる
それはバンドリシリーズにおいて
バンドリの第一期は期待外れだった
主人公の魅力がまるで描かれてないと感じた
そして第二期もゲームと同じ沢山のキャラが出るMV的な作品で、キャラの魅力は伝わるもののアニメの物語としては食い足りない印象
後半は一転してポピパのシリアスな描写になり、その丁寧な描写はそれなりに見応えはあったが一期の描写不足を引き摺り消化不良だった
この二期から柿本監督が参加していたのだけど、当時は意識もしてなかった
そしてポピパ第三期
RASをメインにした物語となった途端、やっと満足のいく作品になり、自分の中でもバンドリシリーズの株が大きく上がった
そしてそして、MyGO
完全新規シリーズとも言えるこの作品については「傑作」だと思っている
柿本監督の印象は、
どんな座組の作品でもまずは全て受け入れる
しかし、丁寧な人間描写をメインとしつつ、世界観の描写も丁寧で、一見淡々としつつも演出としは卒が無く、その積み重ねで爆発力のあるところまで持っていく
基本的な演出技術が高く、物語世界の構築力が包容力があり、粘り強く、控えめの様でいて大胆な面を持ち合わせる監督
今迄の作品を受け取った経験から、こんな風に感じている
2)期待と不安
とは言え、この「なれなれ」については、両手を挙げて期待していた訳ではない
柿本監督がここまで自由に作品作りが出来る環境はもしかしたら初めてではないか
クリエーターが自由を手に入れた時、何故か失速するのを今までに何回も見てきているので、その不安を感じてた
題材も女の子を描くチア
女の子を描くには適していて、今までも何回か取り上げられている題材だけれども、それ故かそれだけに終始して、物語としての爆発力に欠ける作品が多い印象だ
柿本監督には大いに期待すると共に、結構不安も大きかった
3)納得
冒頭、2分近くのチア描写
あ、これは大丈夫かもと思った
チアに対する理解度とそれをやっているキャラの心境に届く様な、けど行き過ぎでは無い描写
最初から何が起きたのか全て描かないのも良い
しかしそれが一話の最後でほぼ回収されるテンポ感も良い
キャラがポンポンと出てきて、悪く言えば所謂「美少女動物園」状態になるのだけど、キャラ同士に微妙な繋がりがあったり無かったり、良い出会いがあったり悪かったりと、分かりやすくも飽きさせない展開が続く
実際のところ、決して目新しさは無い
今の時代、何かキャッチーなものが無いと話題にされ難く、話題にならないと無いも同然の様に軽くみられる
なので、この作品が一般的に評価されるかは全くの未知数の様に思う
しかし、これはとても良い作品だと思う
少なくとも自分は凄く好きだ
4)柿本監督とP.A.WORKS
この作品を見て思ったんだけど、この柿本監督とP.A.WORKS の両者はかなり良い組み合わせの様に思う
共に丁寧な作品作りに定評がありオリジナル作品を手がけてる
ただPAのオリジナルは物語作りの最後の一歩で「届かない」作品が多い様に思う
その丁寧な作品世界の物語の最後の一歩を作り出す能力を持つのが柿本監督だとしたら、P.A.WORKSの高いポテンシャルがもっと世に届く様になるのでは無いか
P.A.WORKSの持つ沢山の魅力的だったオリジナル作品の続編とかを柿本監督に預けてみたらどうなるだろう、とか夢想してしまったよ
ともあれ、まずはこの「なれなれ」が良い作品になることを期待して見守っていきたい