「MyGO!!!!!外伝 RiRICO's STORY」プロダクションノート(という名の本編)
構想5分、作業時間一ヶ月
劇場版の前編を観て思い付き、書いている内にどんどん長くなってしまった
この外伝の内容は、実は元々小説として考えていたモノでは無い
TVの様々なシーンの裏で起こっていたことを常々考察していたのだが、それらが劇場版を観た時に一つのストーリーとして繋がってしまい、気がついたら文を書き殴っていた
そのままにしておくのも勿体無いので、一応小説の体裁を整えて公開したもの
恥ずかしいけど、後悔はしてない
このプロダクションノートは、小説の内容が元々考察なので、それがどの様に小説に置き換わったかを書き残しておくものであり、ある意味この小説の本旨とも言える
・立希のバイト
立希はMyGO!!!!!メンバーの中で唯一楽器を始めた経緯が不明なキャラで、考察の余地がある
中学三年生の時点で祥子から見込まれるほどドラムの実力がある
姉真希は吹奏楽の実力者で、姉に強いコンプレックスを抱いている
何故か学力の低い花咲川女子学園に転校している
高校になってすぐにRiNGでバイトをしている
この程度しか情報が無い
姉への強いコンプレックスは憧れの裏返しと考えられるので、中学に入学した際は吹奏楽部に入ったのでは無いか?
姉はトランペットで実力者になったが、立希はパーカッションのドラム担当となり、それで追いつこうと頑張ったのでは無いか?
しかし姉に追い付けないと思い、三年生当時は既にコンプレックスが現れている
花咲川に転校したのは姉の影響から逃れる為もあるだろうが、学力的に低い高校への転校の理由としては弱い。CRYCHIC解散で更に荒れたり、更にドラムや作曲にのめり込んで不登校気味になっていた可能性はある
バイトを始めたのは、高校では吹奏楽を辞め、親からの支援も難しい中でドラム練習をするため?
こんな流れが想像できる
少なくとも立希の家は都会の狭小住宅であり、家でのドラム練習は出来ないように思える
中学時代は吹奏楽部で練習できたかもしれないが、それもCRYCHIC加入時期には姉への反発もあり部に行ってなかった可能性は高い
となるとスタジオ練しかないが、親が一般的な収入だと中学生の小遣いでは費用的にギリギリではないかと思える
RiNGが開店しスタジオ練をしたのと高校生になりバイトを始めた時期のどちらが早いかは定かでは無いが、凛々子が立希の熱心さに感心して従業員優遇でドラムを叩かせて貰う様子が想像できた
開店したばかりでバイトが足りず、バイトを集めるために好条件で鞍替えさせた、などという想像も出来る
その辺りから立希の設定に少し創作要素が増えている
・ライブに誘った動機と引け目
これは考察するまでも無いかもしれない
凛々子にとって立希と楽奈は知り合いなので、凛々子自身が早く立希達をライブデビューさせたかった、という動機はすぐに分かる
しかし、劇場版を観て凛々子が楽奈とかなり親密な関係性があったという事が分かると、その動機がより強いモノだったと分かってくる
凛々子にとって、楽奈は子供の頃から気にかけている子であり、RiNGに勤めることなってから楽奈が2年間もギターを弾かなかった事を知り、すぐにギターを弾ける場所としてRiNGを紹介した経緯がある
当然、楽奈にすぐにでも活躍して欲しいと思っていただろう
そんな凛々子の動機が強く感じられた事により、その結果としての引け目も生まれるはずであり、後の展開もより鮮明に想像する事ができた
この動機によってこの外伝が生まれたと言っても良いだろう
・凛々子の立ち回り
真次凛々子はRiNGの従業員となっている
実はこの小説を公開した当初、「オーナー」と表記してしまい修正した経緯がある
しかし、この誤認識についてはそれ程大きな錯誤とは思っていない
というのも、凛々子のRiNGでの立ち居振る舞いは、雇われ店長かそれ以上の存在と思えるから
あらゆる現場で働いている
あらゆる現場で他のスタッフから頼られている
ミーティングのリーダーをしている
カウンターのかなり特殊な判断を独断即決してる
カフェの人事権を完全に握っている
RiNGは少数の正社員と多数のアルバイトで回していると思われるが、その少数の正社員の中でも、凛々子はリーダー的な存在と思われ、実質的には店長的な立ち位置にいると思われるのだ
・従業員、真次凛々子
更にいうと、公式で従業員とされているが、それすらも本当なのか疑っている
実は、凛々子はやはりオーナーである可能性があると思っている
理由は二つ
・2年間の謎のブランクがあり、改めてRiNGで働き始めた
・RiNG=凛≒凛々子
凛々子は都築詩船オーナーに心酔し、献身的にSPACEに勤めていたので、実は資産家の娘だったとかの設定を作る事は可能だ
SPACEが閉じた後に自身の資産でライブハウスを経営しようと思い立ち準備に一年以上かけたと設定する事はできる
尊敬する詩船オーナーの志しを繋げたいと思い立ったとすれば、そんな事もあり得るかもしれない
詩船オーナーに倣って雑用までこなし、全く偉そうに見えないので誰もが単なる従業員だと思っているし、凛々子自身も隠してるが、実はオーナーだったみたいな事を妄想している
更にいうと、この大ガールズバンド時代を率いている謎の存在として、CiRCLEのオーナーが気にかかっている
表に立っているのは雇われ店長らしき月島まりなだが、実質的に気前良く金銭面で色々と融通を利かせているこのオーナーが居るからこそ、このバンドリ世界の物語が動いていると言っても過言ではない
何がこのオーナーを動かしているのかと考えた時、やはりSPACEの理念を引き継ぐ者だからではないかと思え、それは都築詩船オーナーの最も近くにいた人物では無いかと考えてしまう
SPACEが閉店した後、それを直ぐに引き継ぐ形で友人の月島まりなを店長に据えてCiRCLEを開店したが、それでは満足しておらず、自身の望む理想のライブハウスとして時間をかけて作ったのが2号店のRiNGであり、そこに満を持してオーナー社長として収まったのが、実は真次凛々子では無いか、などと妄想している
RiNGの名称は、一号店の月島まりなから強引に提案されたモノで、凛々子の名前から付けられているとか
そもそも、メタ的な設定として「真次」とは「真に引きつぐ者」という意味で、「都築=つづき」の名とも繋がり、バンドの夢の意志を継ぐという、物語の象徴的な存在と思える
正に、バンドリ世界の女神的な位置付けに思え、そんな彼女が資産家であるなどという設定は容易に納得してしまうのだ
従業員=業に従事する人とは、オーナー店長であろうともその範疇に入ると言えなくも無いよね
・即決のソロライブ
TVの物語の中でかなり強引な展開と思えるのが、燈のソロライブが即断で決まったこと
この凛々子の決断の速さには何か理由が欲しかった
それは凛々子にとって大切な楽奈がいて、そのお気に入りの燈であるという流れがあり、凛々子自身も燈のライブに興味を持っていたことを隠す為というのが理由になりそうと思っていた
なので、先に述べた動機が強化された事により、その引け目がより強くなったことと繋がっている
また、凛々子の独断が冴え渡るという意味では凛々子のオーナー店長説をより強化するシーンでもある
・ミーティング
ミーティング描写は完全にオリジナルシーン
このシーンのイメージは凛々子が立希をライブに推挙するシーンと同じものだが、この時は当然立希は居ない
常々、燈のソロライブの裏でRiNGのスタッフがどう感じてどう動いたかを考えていたので、正に最も描きたかったシーンでもあり、同時に、オリジナルなので小説にするのに最も困難だったシーンでもある
ここで気になったのが、スタッフは燈のパフォーマンスを朗読と知っていたか?という事
実は知らなかったのでは無いか?と思える描写があったため、そちらを採用して物語を展開している
また、ライブ当日、燈は制服でRiNGにやってきて、私服に着替えてステージ立っている
平日の定期公演と思われ、高校生は学校が終わった後なので時間が無く、リハは前日まででなければ出来ない状況が作られていて、突如決まった燈のパフォーマンスについては、実際のステージまでスタッフ側もチェック出来なかったという事にも出来る
ただ、そうなるとアカペラの歌と思っていたと解釈されるので、それをアニメ1期の香澄のキラキラ星とかけた展開にもしている
・燈のステージ
まず手ぶらで登壇しているのが面白い
普段はノートを手に持っている事が多いのだが、この日は余程の覚悟を決めたのか、手ぶらで登場する
実際にはポケットの中にしまっていて、今日はこの一文だけを読むと決めているのか、ノートから切り離して持ってきている
これにより、スタッフも朗読であると気が付き辛いことになるのだが
そして、朗読が始まり暫くしてからスポットライトが付く
この不自然なライトの遅れこそが、スタッフが燈のパフォーマンスを朗読だと思って無かったのでは無いかと推測する理由
手にメモを持っていて、アカペラの歌に移行するのを待っていたらそのまま朗読だった!と慌ててスポットライトを付けた様に見える
・楽奈登壇
バンドリ世界と言えば山吹ベーカリーのチョココロネ
楽奈が登壇する予定の無かったこの日に何故都合よく抹茶コロネだったのか?は、やはりそれを策略した人間が居るだろうと思える
そして、おもしれー女の子センサーが発動した時、楽奈の持っていた荷物は12話ステージ前の時と同じものであり、それを持って階段を急いで上がるのが出来ないことは後に描写されている
階段を最初から諦めて階段下の廊下で荷を解いている可能性はあるが、ギター弾きが大切な機材をその様に無造作に扱う事は無いと思える
となると、やはり楽奈登壇を手助けしたスタッフが見えないところに居たと推測出来る
また、楽奈の立った場所にピッタリとスポットライトが当たるが、通常それは事前に立ち位置を決めないと難しいので、そこにもサポートが入っていると想像している
ギターアンプについては、次のバンドの為のレンタル機材が予め置かれていて、転換時間を圧縮しようとしていたのが偶然役に立った…
という名目で、実は凛々子が楽奈がやってくるのを期待して保険をかけておいたのが役立った、と推測している
なので、ベテランのPAは薄々凛々子の思惑に気が付いていて、驚くほどでは無かったというイメージだ
これらの全てに凛々子が指示を出していたとすることから、凛々子はステージ脇に居て、無線で指示していたという設定になった
実際には、無線指示は少し大規模的過ぎて現実味が薄いと思ったが、身振り手振りよりもスマートで分かりやすいので小説の便宜上の設定として採用した面がある
まあ、バンドリ世界なのでその位のことはあるだろうw
・燈の朗読
自分がMyGO!!!!!の物語で一番好きなシーンは、実は10話の中でも、冒頭で燈が脳内で言葉を紡ぎ続けるシーン
それまでの物語で、燈という存在が周りから叩かれ続けたその結果、例えるなら、打たれた鉄から刀が生まれる様に、まるで抜き身の刀の様な強い言葉を無意識に振り回している主人公が描かれていて、観ていてゾクゾクする
その凄みを小説に少しでも反映したかったので、燈の朗読の解説を少し多めにしている
また、燈の朗読の強さを明確にしないと、その後の物語の拡大に説得力が生まれないので、天才という強い言葉を使っている
・楽奈の天才性
これはほぼ劇場版の内容を元にしている
少し面白いのが、楽奈は小学生の頃エレキギターを禁止されていたのに、そのままアコースティックでギターの才能を見出される事はなく、中学生になって初めてエレキギターを弾いて、皆に一目置かれる様になったらしいということ
つまり、楽奈にとってギターとはエレキギターであってアコースティックギターは眼中に無かったという設定じゃないと、劇場版の展開は辻褄が合わないと思われる
なので、その設定を流用し、それを凛々子が認識する場面を創作している
・燈と楽奈
この二人の関係性は、MyGO!!!!!の中でも最もデリケートな部分だろうと思っている
この二人は恐らく物事に執着する性質としては似通っているが、執着するが故に粘り強さをみせる燈と、サバサバと他者を切り捨てる楽奈との性格は全く違い、友人として心を通わす様な関係性はほぼ無い
何処か互いに牽制している雰囲気すらある
恐らく、楽奈の方が燈の才能と精神の強さに強い興味を持っていて、更に燈の歌と心に共感を覚え、それがこのソロライブを通じてより強まっていると思われる
対して、燈は他者が持つ才能についてはほぼ無頓着だけどその能力を尊敬する所はあり、ただ自身の歌に共感してくれる同じ心の持ち主は誰であろうとも掬い取ろうとする
楽奈は技術と心で歩み寄りたいけど、燈は心のみで歩み寄りたく、しかし、燈の心の強さの方が音楽の力として大きいので楽奈は燈に遠慮があり、燈は楽奈の求めるものが理解できずギター技術の凄さから遠慮があり、互いに歩み寄れない
この形の違う天才が少し距離を置きながらも互いに認め合っている様子が尊く、その関係性を凛々子という外からの視点で表現したかった
・プロデュース
この辺りはこの小説のオリジナルだが、TVシリーズを観て、物語の裏でこの様な事が行われていたのでは無いかと考察=妄想していたものではある
その考察の根拠として、最も確実なのは詩超絆を歌った公演の時間が深かったことが挙げられる
夏至を超えたばかりの頃なのに夜になっているので、恐らくトリに近い時間帯と思われ、この物語ではトリにしている
公演は当然場が盛り上がる深い方が人気があるはずで、ある程度早く決まる筈
この枠に燈の公演を入れるのは早い段階でなければならず、更に燈の性格ではそこを最初から希望できないだろうと思われる
となれば、早い段階からここに燈の公演を入れたいと思う存在がいた筈であり、それは凛々子以外には居ないと思っていた
つまり凛々子は燈の朗読を一度聴いただけで燈をプロデュースするつもりになったと考えられるのだ
この発想と、先に語った劇場版で感じた凛々子の動機の二点が結びついて、この物語が生まれたと言って良い
その上で、燈ソロライブのバズが一気に高まったのは、やはりRiNGの宣伝があったからだろうと思い、ライブハウスあげてのプロデュースに凛々子が持ち込んだ形にしている
・楽奈の不在
物語の中で一つ不可解だったのが、この燈のライブに楽奈が時々しか居ないという発言があること
凛々子が「楽奈は面白い事が大好き」と言っている様に、楽奈であれば嬉々として参加していた筈だ
猫の様な気まぐれさも、自分の楽しみを優先するからこそであり、気分にムラがあるタイプでは無いと思っている
ならば、何故「時々」と言われたのか
恐らく早い段階で参加しなかった回があったからでは無いかと考えた
そして何故参加しなかったのかと考えた時、思いついたのが「燈に対する恐れ」が理由になるのでは無いか?ということ
これは、劇場版を観たから思いついた事で、楽奈は子供の頃からギターを演奏していたことから、音楽の面ではかなり達観した人間と思っていたのだが、実際には2年間ものブランクがあり、心を通わす存在がまるで居なかったことが劇場版で明らかになった
つまり、楽奈にとって燈という存在は、生まれて初めて共に音楽を奏でたいと思った存在である事が分かってくる
楽奈は音楽を通じた世界しか興味が無い位の世界観を持っている様なので、この燈という存在は、生まれて初めて音楽で対等に対話できる世界の窓口そのものと言え、楽奈にとってもの凄く大きな価値を感じているだろう
そんな存在に生まれて初めて出会ったら、自分の存在そのものが変わる様な「恐れ」を感じてもおかしくは無い
そんな自分にとって初めての存在を品定めする様な行動を取ったのでは無いかと思い、意図的に参加しなかったという設定にしている
この燈に対する感じ方は、何処か立希にも通じる所があり、それがガルパの「美味い空気」を手に入れる共犯関係に繋がっていると思うと、あながち間違いでは無いのではと思っている
・日付特定
別記事参照
・ラップアップ
オリジナル要素としてはこの程度だろうか
以降の流れはTVをそのままなぞった凛々子視点であり、創作はほぼ無い
あくまで詩超絆という曲に至る物語として書いているので、この後も無い
ただ、実を言うと12話のライブについても、少し妄想設定がある
このライブの日は明らかに休日であり、恐らく定期公演では無い
このライブの想定としては、RiNGが主催で月一程度開催してる対バンライブでは無いかと思われ、かなり本格的なバンドが入る為、本来であればポッと出の燈が最初から予約する状況は無かったと思える
勿論これも凛々子の策略によって、追加の参加を軽い口調で燈に打診していたと思われ、燈は反射的にOKを出しているので忘れている、と言う状況が想定出来る
そのシーンも描きたかったのだが、そうなると話の終わりに締まりが無くなるのでカットしている
かなり精密な設定があると思える物語なので、この様な考察の元、様々な裏設定を考えてみた
自分の好みから、かなり強引とも言える深い設定も与えたいという気持ちがあったのだけれども、実際に物語にしてみると、想定してなかった部分でも様々な事柄が繋がってきて、自分でも驚いている
まだ何か新たな発見があるかもしれないので、それを見つけたらどんどん加筆していくつもり
この小説は小説である以前に考察なので、正しいと思われる部分が見つかったら修正していきたいので
なので、この文はここで終わるが、文の作成は継続する
終わり