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バンドリアニメMyGO感想6 CRYCHIC結成の経緯について

この文は拙文「バンドリアニメMyGO感想5 豊川祥子を考察する」の補足的な内容が多く含まれる

この考察の後半、祥子の親世代のバンドの存在の可能性について二次創作のレベルで語っているが、それに思い至った経緯をかなり端折っているので、一応ここで書き残しておきたい
そしてそれはCRYCHICが結成に至る経緯にも繋がっている

1)祥子の部屋の違和感

月ノ森女子学園に通うお嬢様、豊川祥子がバンド「CRYCHIC」を結成し、しかし突然自ら脱退してバンドも解散するところから「BanG Dream! It's MyGO!!!!!」の物語は始まる

祥子は大豪邸に住むお嬢様で、ピアノと作曲に関してもかなりの才能がある様だ
その祥子が主人公高松燈を自宅の大豪邸に招く
その際に燈が通された部屋を観て、どこか違和感を持ったところからこの考察は始まっている

祥子が燈を招き入れピアノを弾いた部屋は、グランドピアノの他にビリヤード台があり、所謂プレイルームであることが分かる
確かにお金持ちらしい部屋であり、一見なんの引っ掛かりも無いように思える
しかし祥子は燈をこの部屋に招く前、燈の部屋に招かれている
そのお返しでもあるのに、来賓用となるべきプレイルームに招くだろうか?

いや、ピアノを弾いて聴かせたいからピアノが有るプレイルームに居るのだろう
しかし、そうとしても不思議だ
祥子が燈を自宅に迎え入れたのは、これから始める自分達のバンド活動の為だ
燈の歌詞は燈の私的なモノだし、その作曲も燈と祥子二人の私的なもの
であるならば、当然その作曲は自分が普段から練習で使っているピアノを使うのでは無いだろうか

単に、この時の祥子がより良い音の出るプレイルームのグランドピアノを使っただけなのかもしれない
しかし、燈に対して親身に接し、すぐに人の懐に入る様な祥子の性格を考えると、他所行きの場所では無く、自分の普段の場所に招き入れるのでは無いかと思え、このピアノを使っている様子に違和感を覚えるのだ

しかし、祥子はプレイルームのピアノを使った
その意味は、ピアノと作曲の才能のあるお金持ちのお嬢様である祥子が、あの大豪邸の自宅に自分用のピアノを持たず、普段からプレイルームにあるグランドピアノで練習しているということにはならないか?

それはかなり奇妙だ
まるで家からピアノ練習の支援を得ずに、ただプレイルームにインテリア用として置かれていたピアノでなんとか練習を続けていた、みたいな状態になってしまう

グランドピアノ

2)豊川家の事情を推理する

このプレイルームには、ピアノの他にもう一つの違和感がある

それは祥子が幼少の頃から大切にしていたと思われる人形が飾られていること

この二つの違和感から、豊川家の事情を推理してみよう

・プレイルームに人形があるのは、ここが普段からあまり使われてなくて、祥子がほぼ占有しているからでは無いか?
・となると、祥子の両親はかなり高齢で現役から退いているか、なんらかの理由で居ないのか?
・祥子自身が養子の可能性はないか?
・祥子はピアノの才能があり思い入れもあるのに家族からの支援が無いのは祥子自身が遠慮しているか、家族から反対されているからか?
・家族が否定的な理由は、ピアノの目的がバンド活動であり、そこに家族からの理解を得られていないからではないか?
・祥子にピアノの才能があり思い入れもあるのは母親の影響で、祥子の母親はかつてバンドでピアノを弾いていたのではないか?

この部屋から感じる祥子の状況は、自由にさせて貰っているけど、才能のあるピアノについては家族から祝福されているわけでは無く、まるで籠の中の鳥の様に思える
その印象から、祥子はバンドでピアノをやっていた母親からその才能と想いを引き継いでいるが、今の家族との繋がりが薄いのではとも思え、祥子が養子である可能性を感じさせる

実を言えば、祥子がバンドに憧れた理由を母親にするのは、ここまでの根拠ではかなり薄い
祥子自身がMorfonicaに憧れたと言っており、普段から練習している曲もクラッシックだからだ

しかし、CRYCHICのもう一人のキーマンである若葉睦の事を併せて考えた時、その方向性が生まれてくる

豊川家

3)睦と祥子の特殊な関係

睦は祥子の幼馴染だと言う
しかしその関係性はかなり特殊と思える
睦が自我を表に出すことは稀だ
同じCRYCHICメンバーからも、喋ったり笑ったりすることすら珍しいと感じるほどだった
祥子は睦に対し「伝書鳩になってはいけませんわ」と嗜めるが、実際の祥子と睦の間では常日頃から睦が祥子に従ってしまう事からその様に警告したと思える

つまり、睦は自分の自我を祥子に預けている様な関係性では無いかと思われる

祥子が新バンドの春日影を聴いてその場から逃げ出した時、隣に居る睦には頼らず初華に助けを求めたのも、祥子にとっては自我を持たない睦に頼れなかったからだろう
勿論、睦の方もそれは承知していて、自分は頼られてないから祥子の事を追いかけなかったと思われる

祥子が豊川家の人形だとすれば、睦は祥子の人形も同然なのかもしれない

物語の冒頭、祥子がCRYCHICからの脱退宣言をした際、睦は何を考えて、次の発言をしたのだろう
「バンドやってて楽しいと思った事一度も無い」

それは一人で抜けようとする祥子を援護する為に、同調を装い言ってしまった言葉なのかもしれない
しかし、それは同時に睦の本心だったかもしれない
何故なら睦にとって祥子は絶対であり、バンドの中心にいるべき人だから
それなのにCRYCHICの中心にいるのは燈であり、それは睦が望んでいたバンドでは無かったのかも知れない

祥子と睦

4)睦の超絶技巧ギターの謎

ともあれ、そんな睦が何故かギターに関しては毎日練習を欠かさず、バンドリキャラ最強と思われる程の超絶技巧ギター弾きになっている

その理由も当然祥子に言われたからとすれば納得が行く
勿論、睦自身にもギターを弾く理由があるだろうし、そうでなければ祥子もやらせはしないだろう
つまり、睦には幼少の頃からギターを弾く理由があり、祥子にもピアノを弾く理由ががあり、二人にとって同じ方向性の目的があるから二人で子供の頃から頑張ってきたと思えてしまう

そんな二人の目標とは一体なんだろうと考えれば、当然、ギターとピアノが含まれるバンドを目標にしていたと考えられる

そして、それぞれが別の楽器を目標としているのも、自分達の親がそれぞれその楽器を担当していたとすればその理由に説明がつく

更に、血筋の確かそうな豊川家の娘と、芸能人の成り上がりであろう若葉家の娘の、家柄としては水と油の様な関係性の二人が幼馴染としての付き合いが深いのも、親同士、それも母親同士がバンド仲間の幼馴染であれば、より納得がいくだろう

ちなみに、この二人の母親がバンドを組んでいたとしたら、その親世代のバンドの他のメンバーはどの様な人物だろうと考えた時に、そのメンバーの中に祥子のクソ親父も入っていたら、祥子の家庭の問題の根本もそこにあり、祥子の真の救済ができるのでは無いかと思い至った
感想5で書いたその他の親世代バンドのメンバーは、よりドラマチックになる人物を当てこんでいるだけなので、推理でもなんでも無い
ただ初華と祥子が島で出会った偶然には何か理由があるのではと思い、設定を付け足している(完全な二次創作)
もう一人は名言してないが、メタ的な理由もあって決めている

5)メンバー集め

祥子と睦には共に母親の影響でバンドをやる理由があったとして、それを隠している理由についても想像出来る
祥子の母親は亡くなっており、睦の母親は森みなみだ
言えば同情や興味をひくことになる理由をプライドの高い祥子が言うはずがない
勿論、睦も最初から言わないだろう

月ノ森女子学園においてバンド活動をすることはハードルが高いことらしい
しかし高校の先輩Morfonicaが慣例を壊してバンドを始め、それを契機として祥子もバンドメンバー探しを始めていたのだとすれば、伝えたくない元々の根拠を言わず、Morfonicaのことだけを語るに違いない

CRYCHICの他のメンバーを選択した経緯も考えてみる

その際、立希の姉の存在はかなり大きそうだ
立希の姉は月ノ森女子学園卒の吹奏楽の名士として知られているらしく、祥子とは社交パーティ的なところで会っているのだろう

祥子は立希の姉と会い、バンドメンバー募集で協力して欲しいと申し出ているのだろう
恐らく立希の情報だけでは無く、吹奏楽に所属しているそよの情報も伝えていた可能性は高い
そよは吹奏楽部の中でもバスの実力が確かなだけで無く、人からの頼みを断れない性格をしていたと思われ、紹介する人物としては適任だっただろう

立希については、ドラムを始めた経緯が語られてない
恐らく彼女も姉と同じく吹奏楽部に所属していてパーカッションの一部としてドラムをしていたと思われる
しかし立希の性格からも、吹奏楽部での集団活動は長続きしなかっただろう

いや、もしかしたら姉に続ける様に吹奏楽部に所属したのに、花形のトランペットでは無くパーカッションを当てがわれたのかもしれない
そして、そんな立希を姉と比較して揶揄する部員が居て吹奏楽部を辞めてしまい、エリートのレールから外れてしまった事でより姉が苦手になったのかもしれない

その姉は、妹の立希の事を腕は確かなのにどこにも所属してないドラマーとして祥子に紹介し、どうにか更生の切っ掛けにして欲しいと思っていたかも知れない
しかし、その結果としてはバンドは解散、その影響からか、立希は進学校羽丘の中学からそのまま上にあがることすら出来ないことになるのだが

6)CRYCHIC結成

そして、最後のメンバー、燈の採用は完全に偶然だったのだろう

祥子と燈の出会いから時を置かずに結成に至った事からも、祥子は燈と出会う前からメンバー集めをしていたと思われる
後もう一人のメンバーは、もしかしてらAve Mujicaと同じギターボーカルを想定していて、その実現不能な候補としては、既にアイドルとして活躍していた初華が頭にあったのかも知れない
後に祥子が精神的に追い込まれた時、そのなりふり構わない救いの先として、即座に初華に連絡をとった事からも、当初からAve Mujicaと同じ構成のバンドを考えていた可能性はある

しかし、祥子は燈と出会い、その天才性を見抜き、燈の歌詞を、彼女をセンターに据えて彼女に歌わせる事をCRYCHICの目的とした

CRYCHICの結成については、第三話で燈の視点から丁寧に描かれているのでそれが全ての様に感じてしまいそうだが、実際にはそれだけでは無い
祥子と燈の出会いは、その天才同士の出会いと言う特別なものであり、それまでの祥子の計画が全て変わる様な出来事だったのだろう

そしてそれは、この後、このバンドリ世界の大ガールズバンド時代を大きく揺るがす様な出会いであったのかも知れない

出会い

おわり

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