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アニメ「ガールズバンドクライ」第八話感想

正面突破だったな
正に王道
何の捻りもないからこそ、今そこにある感情が全て乗る展開だった
今まで溜まった全ての鬱積を打ち払うこのシリーズの山ともいえる回だったんじゃないかな

1)喧嘩と成功

仁菜と桃香は真正面から喧嘩する
それは正に仁菜の言葉が桃香に刺さっているからであり、皆が推測していたとおり、桃香が自分の音楽に自信を持てないからなのだろうと思わせる

そして、喧嘩の後にすばるから今のトゲトゲが上手くいっているという事を聞かされて驚く

いやちょっと待て
最初に五人でセッションした時に出した音を信じられなかったのか
そもそも最初から二万のフォロワーを持つ紅生姜に誘われたという幸運を仁菜から聞かされているのでは無いか
元プロを志していたのなら、今のトゲトゲの成功はある程度想定できるのでは無いか

桃香はやはり一度自らの意思でバンドを降りた事でとことん自分の音楽に自信が持てなくなっているのだろう
仁菜があれだけ凄いライブをやったのに、それに付き合っている桃香自身はその後に辞めることしか考えてなかったのだから

結局、桃香のモラトリアムは、純粋に桃香自身のヘタレた心によるものである事が明らかになっていく

何も語らず、ただ態度が変節する様子から他に何か理由があるのではというモヤモヤは少しずつ無くなり、仁菜の感情のぶつける先が桃香に集約していく

2)イジメとライブ

とは言え疑問点が全て払拭された訳では無い
ここに来てまた新たな謎も出てきている

桃香は自分の思いを仁菜に伝えるため、今のダイダスのライブを見せる
関係者しか入れないであろう場所に誘い仁菜にダイダスのライブを見せる桃香

いや経験者とは言え、流石に今は部外者となっている者がそこに入るにはそれなりの関門があるだろう
それこそ桃香は脱退して今の事務所から石もて追われる様な存在でもあるはずだ
仁菜を連れて行く事を想定しているのなら、尚更何らかの伝手があり入れる確約があったのか
桃香は今もダイダス事務所と繋がりがあるのかは気になるところだ

そしてヒナにも新たな謎が
仁菜を直接虐めていたのは、少なくとも暴力沙汰になった直接的な相手はヒナでは無かった

ヒナと仁菜の関係はどのようなものか
仁菜のかつての友達で、今は絶交している
虐められている仁菜を責める様子もある

ダイダスを自分のテーマと言い、校内放送で「空の箱」を流した仁菜と、今はダイダスのメンバーとなっているヒナ
やはりヒナは仁菜の友達だった当時は仁菜と同じようにダイダスのファンであり、しかし仁菜が自分勝手にダイダスの曲を使った事に怒り、心が離れたのかもしれない

少なくとも仁菜とヒナの関係は修復の余地がありそうで、これはトゲトゲとダイダスの未来の関係にも影響しそうだ

3)ダイダスとの邂逅

桃香は語る
自分の挫折と仁菜の歌について
プロの世界では自分の歌が歌えなかった
そして仁菜の歌はかつての自分の歌だった
だからその歌でプロの世界に行って欲しく無い
意訳するとこんな感じだろう

今迄、何度も仁菜の歌を聴いてきたのに、自身の挫折によって、その歌を信じきれてなかった桃香

そんな桃香の態度に対し、仁菜は遂に手を出す
桃香にビンタを張る

あの最悪なイジメ相手と握手させられるという場面ですら我慢していた事を、ここではやってしまう

あのイジメ現場での自分を支えてくれた歌を作った人が、仁菜の歌を自分の歌だとまで認めてくれながら、それでもその歌を信じきれていない
自分を貫き通す事のみを良しとして互いを認め合ったはずなのに、それが出来ていない

仁菜だけは、そんな桃香を殴る権利があるだろう

そんな様子を駆けつけたダイダスに見られ、更に仁菜を置いて軽トラで逃げようとする桃香
そんな情けない桃香も桃香だが、それを許さず軽トラの前に飛び出す仁菜はもっとヤバい
情けなくてヤバい桃香と尖り過ぎてヤバい仁菜の激突
感情の高まりがピークに達する展開だった

4)桃香、陥落

桃香は仁菜に止められた事により、ダイダスから声をかけられる
ダイダスは桃香の心情を分かりながらもそれでも自分達の道を行くと

桃香は仁菜によって自身の過去を鼻先に突きつけられ、決断せざるを得なくなる
それを受けてしまえば桃香も後には引けない

桃香がそれでも少し曖昧に、カッコつけてダイダスを煽ったセリフを仁菜が明確に言い直す
「宣戦布告です」

仁菜は最後の最後まで桃香に詰め寄る
帰りの軽トラで桃香に言う
「告白です」

「空の箱」が爆音で流れる軽トラの中、桃香は号泣する

5)桃香の物語

ガールズバンドクライという物語は仁菜の物語だ
けど今回は思った以上に桃香の物語となっていた

仁菜がどのような境遇に陥ればどう反応するか
桃香は最も大きな壁であり、その壁がより大きければ仁菜の反応もより大きく物語も面白くなる
そう考えると桃香は物語の狂言回し的にその立場を変えていかざるを得ない
そして、物語はどうなるかもわからない余地を沢山残していて、前回までにそのモヤモヤが頂点に達していた

しかし今回は桃香を物語の主役としてその挫折と復活をしっかりと描き、仁菜との深い結びつきも描いた
これはガールズバンドクライという世界にとってとても嬉しい事だ

この二人がバンドの中心として今後気兼ねなく上を目指して行く展開を思うとワクワクするな

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