谷口吉生建築の特徴〜トンネル空間について〜
谷口吉生さんの建築の特徴の一つであるトンネル空間。
この空間は一体何のために設けられたものなんでしょうか?
私なりにお伝えしますと、この空間は都市をつなぐ装置として設けられていたり、建築物の前後空間をつなぐ装置として設けられていたりします。
このトンネル空間があることで建築は街とのつながりがつくられて街との一体感が生まれます。
クリスタルビューという建築
例えば葛西臨海公園にあるクリスタルビューという建築。
最近補修が完了し美しくなりました。
駅の改札を出ると一本道が海へと延びています。
その道を塞がないように建築にはトンネルが設けられています。
誘われるようにトンネルに近づいていき、そのトンネルをくぐり抜けると美しい海の景色が広がっています。
とても素敵な演出ですね!
これと同じ手法を用いてつくられた建築が広島にもあります。
広島市環境局中工場
この建築にもトンネル空間が設けられています。
普通につくれば道路を塞ぐようにつくる建築も谷口さんの手にかかれば街とのつながりがうまれます。
それだけでなくトンネル空間によって圧迫感も軽減されます。
そして何より印象的なのがこのトンネル空間が清掃工場の展示スペースになっているところです。
このトンネル空間を通ると清掃工場の仕組みについて見学することができます。
街とのつながりだけでなく、そこにもう一つ違う役割のある空間をつくりだすなんてとても素晴らしいですね!
GINZA SIX
東京を代表する大都会「銀座」。
この街にも谷口吉生さんの建築があります。
GINZASIXという建築にもトンネル空間があります。
このトンネル空間は道路としての役割も担っています。
車も人も通り抜けることができる斬新な空間が印象的です。
普通なら床面積をかせぐために全て建築にしてしまうところですが、建築のしかもど真ん中に道路を通すところが素敵ですね!
片山津温泉総湯
こちらの建築にもトンネル空間があります。
このトンネル空間は通り抜けできるだけでなく、建築の前後にある空間をつなぐ役割も担ってくれています。
トンネルをくぐり抜けるとこの先には美しい柴山潟の風景が広がります。
なんとも素敵な空間体験!
意図的に考えられたことが伝わってくるトンネル空間を通り抜けると感動を覚えます。
丸亀市猪熊弦一郎美術館
こちらはトンネル空間といっても今まで紹介したトンネル空間とは一味違う空間です。
建物の左側には庇の下に階段があります。
この階段を登るとガラス張りのブリッジがかけられていたり、天井から光が落ちてきたりと美術館らしい非日常的な空間体験をすることができます。
階段を登りきって最後に辿り着くのは天井のない壁に囲まれた空間です。
このトンネル空間は訪れた人と目に見えない何か超越的なものをつないでくれているようです。
必ずしも通り抜けるだけではなく、建築と人をどのようにつないでいくかを考えているところが何より素敵です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?