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建築家・谷口吉生さんの建築〜つくばカピオ〜
谷口吉生さん設計の門型建築シリーズの一つである「つくばカピオ」です。
谷口吉生さんの作品には、丸亀市猪熊弦一郎美術館と法隆寺宝物館のように門型をした建築があります。
今回はその中の一つ、つくばカピオという建築についてです。
規模はかなり大きいです。
つくば市は街並みがきれいに区画されていて、整理整頓されています。
つくばカピオは街並みにふさわしい、きれいな形とデザインが特徴です。
建物正面に出迎えるのは門型庇の下の半外部空間。
この空間は独特な雰囲気を創り出しています。
半外部空間といえば日本建築では昔から存在する独特な空間でもあります。
内部と外部の境界をあいまいにして、ゆったりとつないでくれます。
私は子供の頃から雨を防ぐことができ、それでいて外にいられるこの空間が好きでした。
子供の頃は庇のある半外部空間で、魚などを飼っていたのを覚えています。
そして雨の日はよく庇の下で遊んでいました。
コロナ禍では換気の必要性が見直されました。
きっとこの半外部空間はコロナ禍以後、大活躍できると思います。
雨の日にここでダンスの練習をしていた人達がいました。
こういう使い方をされているのを見ていると、素敵だなぁと感じます。
これだけ大きな庇だと真っ暗になりそうですが、所々に開口が設けられていて、明るさが保たれています。
建物正面に設けられた階段を上がると目の前には建物の間に設けられた隙間が現れます。
天井にはトップライトが設けられているので、柔らかい光が降り注ぐ聖堂のコリドールのようです。
この隙間があることで明快な建築プランになっているだけでなく、圧迫感も和らげてくれています。
細くて天井が高いこの空間は、ビルとビルの間にある裏路地のようで面白いですね。
またコンクリートの壁の仕上がりもツルツルしていて綺麗です。
コンクリートはつくりやすいのですが、きちんと指示をしないと仕上がりに大きく影響するとても繊細な材料でもあります。
丸亀市の猪熊弦一郎美術館のコンクリートと同じくここまで美しいコンクリートに仕上がることができたのはきっと表に出てこない工夫がされていることでしょう。
よく同じ材料や同じ道具しか与えられていないのに、人によって仕上がりに大きな差が生まれることが起きます。
これはその人の工夫や努力、能力や考え方が影響してきます。
環境や条件に文句を言ったり言い訳にすることは簡単だけど、設計者として諦めたくないし、言い訳をしたくもありません。
私も限られた条件の中でも期待以上の素敵な建築が作れるように日々努力していきたいと思います。