東京で地面に建物を埋める選択をした素敵な建築
東京のような場所では地下に可能性を求めるのは当然のことかもしれません。
地下と聞くと湿っぽい、暗い、危ないなどのイメージがありますが、つくり方を工夫すれば地上と変わらないですし、とても有効で快適な空間にすることもできます。
また地下階は法規的に容積率の緩和というものが使えるので、大きな建物をつくることも可能になります。
注意点としては、例えば地上3階の建物に地下階を計画すると竪穴区画のような規制がかかってくるので建築設計者は注意が必要です!
ここでは地下に建物を埋める選択をした名建築を過去に訪れてみましたので、その素晴らしさを紹介したいと思います。
表参道ヒルズ
表参道にある表参道ヒルズです。
求められた建物は盛り沢山のプログラムでしたので、普通につくるとかなりの高層の建物になります。
前面にある歩道に植えられた樹木の高さを超えないよう地下に建物を埋めることで、高さを抑えています。
内部空間にはスロープが建物中央に設けられていて、スロープを歩きながら買い物ができるようになっています。
ちょうど建物の目の前にある道路も傾斜があるので、その傾斜を取り込んでいるようで面白い空間となっていました。
吹抜けと上部にあるトップライトのおかげで内部は明るく開放的な空間となっていました。
杉並区大宮前体育館
杉並区荻窪にある体育館です。
敷地を見ると元々は小学校が建っていた敷地のようでして、その当時からある樹木が立派に残っています。
周りは低層の住宅が多く、正直このような場所に体育館のような巨大な建築を建てるのはどうだろうかと心配していました。
ですがこの体育館は地下に潜っているので、地上に出てくるのは地上2階建くらいの高さだけです。
おまけに建物上部には庭園があって、地上部分とつながりがあるようにも感じられます。
圧迫感も全く感じず、街のスケール感に溶け込む素敵な建築でした。
早稲田アリーナ
早稲田大学戸山キャンパス内にある体育館です。
体育館はそもそもボリュームが大きいので、普通に地上に建ててしまうととても巨大な建物になり、周りに圧迫感を与えてしまいます。
ここでも地下に建物を一部埋めることでその問題を解決しています。
屋上は立派な庭園となっていて、地上から平面的につながっているところが素敵です。
東京大学情報学環・福武ホール
東京大学本郷キャンパス内にある福武ホールです。
横に長い建物で、地上からは建物高さが2階建に抑えられています。
近づいてみると建物前面には大きなドライエリアがあります。
ドライエリアは立体的な空間となっていて、建物が地下2階まであることがわかります。
地上に普通に建てれば4階建ての建物になり、敷地内の木の高さを超えてしまいますが、地下に埋めることで建物高さが抑えられて周りにとても馴染んでいるのが伝わってきます。
このドライエリアのおかげで地下階は明るく快適な空間となっていました。
杉並区中央図書館
杉並区にある図書館です。
公園に併設されていて、公園内に馴染むよう一部地下に図書館が埋められています。
巨大なドライエリアがあるおかげで地下階が快適な空間となっています。
やはりドライエリアは効果的で、ほぼ地上と変わらない空間を実現しています。
東京工業大学hisao&hiroko taki plaza
目黒区の東京工業大学大岡山キャンパス内にある大学の建物ですが、地上に出ているのはほぼこのテラス部分だけ。
こちらも大きなドライエリアのおかげで地下階は快適な空間となっていました。
大岡山は低層住宅の広がる穏やかな雰囲気の街なので、そんな街の雰囲気にふさわしい建物となっていました。
21_21 DESIGN SIGHT
六本木ミッドタウンのすぐ近くにある建築です。
安藤忠雄さんが設計されていて、地上部分に出ているのはエントランス部分だけです。
ミッドタウンガーデン内にあるので、遠くから見るとオブジェのようにも感じられます。
内部にはエントランスから地下へと降りていくようになっていますが、ドライエリアと呼ばれる空堀に面してガラスが施工されているので、とても明るい空間となっています。
地下室はこのドライエリアを賢く計画することで、地上のような快適な空間となるんですね!
まとめ
建物を地上にぽんと建てるのではなく、一部地下に埋めることで周りと調和した建築とすることができます。
今までただの設備置場だった屋上を庭園とすることで失った自然を還元し、また高さが低層になることで屋上空間が身近になるのでアクセスもしやすくなります。
これからは自然と共存することが求められる時代。
このような素敵な建築が増えていくと嬉しいです。
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