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自分とは異なる「正しさ」ー多様性の”次”の世界への扉③分離から統合へ

今回は標記のまとめと振り返りほかです。


1.意識の進化を色で表現する

ケン・ウィルバーは、自己中心主義→集団中心主義→世界中心主義→神聖中心主義とスパイラルで進んでいく意識の進化成長を以下のような色彩スペクトルで表現し紹介していることを紹介しました。

①インフラレッド(原始的世界観)
マジェンタ(呪術的世界観)
レッド(力の世界観・自己中心的)
アンバー(神話的な世界観・自集団中心的)
オレンジ(合理的な世界観・世界中心的)
グリーン(相対的な世界観・多世界中心的)
ティール(インテグラル・システムの世界観)
⑧ターコイズ(統合的・包括的な世界観)
⑨インディゴ(超統合的な世界観)

この辺、詳細はこちら👇

2.「正しさ」の基準軸は意識の進化段階で異なる

単に好みや価値観というものではなく…互いの意識の成長段階がどこの世界観にあるかで「正しさ」や「正義」の基準が異なるのがみえてきます。つまり、文化的な好みやテイストとは別のところに、それぞれの意識の成長段階に応じて「正しさ」なり「正義」のベース(基準軸)が存在するわけです。だから、そのベースとなるものの違いについての認識を抜きにしては、議論がかみ合わなくなるのは当然です。

すると、一言に「社会的正義(ソーシャル・ジャスティス)」といっても、特定の時代にそこに所属する社会の構成員の主流派がどの意識の進化段階にいるかで、「社会的正義」の中身が全く異なってくることになります。たとえグローバル化した同じ地球上の同時代でも、別の社会の主流派は別の意識の進化段階にいることも、当然ありえます。

現在でも、穏やかで揉め事を嫌がり平和的解決を求める社会もあれば人もいる一方、自己主張が強く戦闘的で血気盛んで戦うコミュニティや人もいることは、世界的なニュースをみても、日常周囲を見回しても実感できるでしょう。その辺りについて、

意識の進化のプロセスにおいて、それぞれの世界観が果たしてきた、そして、これからも果たすであろう重要な役割をここであらためて認識し、尊重する必要があることを忘れてはなりません。それぞれの世界観は、意識の発達のスパイラルの中で、それぞれの時代条件と環境条件の下で、すばらしく効率的に機能してきたので有り、また、これからも機能していくことになります。

考えてみてください。これまでに紹介してきた世界観の一つひとつは、人類文化の過去のある時点においては、先端をいく革命的なものであったのです。それは、輝かしい創造的な飛躍であったのです。

『インテグラル・ライフ・プラクティス』P191-192

ここで語られるように、どの段階の「正しさ」も、意識の進化には必要なプロセスといえます。だから「正しさ」や「正義」を絶対的な基準ととらえるのではなく、意識の成長段階という軸を入れることで相対的に捉えて、それぞれの段階に応じて皆が成長のプロセスにいるのだという視点で見守ることも、相互理解には必須であることがわかります。(※だからといって、一方側の「正しい」から生じた迷惑行為を理解を示して放置することはできないし、対応していく必要があるのは課題ですね。)

そうでないと、どんなに素晴らしい理念に基づいた「進歩的な正義」であっても、それ以外を排除することになってしまいます。自分の方がより優れてるから正しい、自分の方がより理論的にも整合性がある正義だ、自分のほうが素晴らしい理念であるという主張の展開となり、これは一種の「進歩的正義マウンティング」やコントロール、対立的な終わりなき「正義の戦い」になりかねません。

3.分離から統合への流れ…

ここで、様々な意識レベルの様々な考え方を戦わせずに包含するためには、外に表現された考え方に正誤・優劣や評価を下すのではなく、外を変えるのでもなく、判断する側の意識自体を分離から統合へ向かわせるしか方法はもはや残っていないのかもしれません。今までとは異なる意識から現実をとらえ直す的な…

その意識の進化成長段階でも、一見して多文化共生的で、寛容にもみえるグリーン(相対的な世界観・多世界中心的)までが分離の世界観。ティール(インテグラル・システムの世界観)からが統合の世界観に入ることをみてきました。詳細はこちらの記事から👇

そして、こんな記述もありました。

インテグラルな波は、進化の流れの中で自然と発生しました。

ティールのインテグラルな意識はすでに世界中の数百万人の人々の中で生まれています。そして、数千の人々がターコイズに、そして、その中の少数が、インディゴに向けて成長しています。

『インテグラル・ライフ・プラクティス』p193

こちらの著書の英語の初版は2008年で、現在それから15年以上経った2024年です。2008年時点で、数百万だと0.05%以下でしょうか。現在はどのくらいになっているでしょうか。また、どうやって、意識の段階における人数を正確に測定できるのか、というところもありますが…。これを比喩として受け止めたとしても、意識の進化人口は底上げされて増えることはあっても、減ることはないはずです。

意識の進化成長という観点から、自分の内側も外側にある他人や社会も見つめ直すと、新たな視点に立てそうです。ケン・ウィルバーの一連のインテグラル本も、そういう観点からみる手助けになりそうですね。今回は、自分的に印象的だったごくごく一部を抜粋しながら考察してみましたが、この少ない字数で1冊500頁もある書籍の細かいニュアンスまで正確に伝えるのは困難なので、詳細興味ある方は是非、和訳本を直接手に取られることをお勧めします。

4.分離から統合へのヒントは案外身近なところに?

最近はAIの進化が加速化しています。2022年11月にChatGPTが登場して話題になったと思ったら、2024年半ばには大学生が就職活動でAI面接官と面接をしていたり、中学高校の夏休みの宿題に生成AIの使用をどうするかということが現場で課題になっていたりするようになってきました。AIは、ビックデータを吸い上げて皆で活用していくという側面があるので、一歩間違うと監視管理コントロールにもつながりかねません。しかし、上手く活用できれば「ひとりが皆のために、皆がひとりのために」を実現できる、便利で統合的な社会へ向けての一助にもなりそうな予感がしています。

また、八百万の神のなかに自然も人間も様々な宗教の神々も含めてしまったり、多様なものを自分なりにアレンジしながら受け入れる風呂敷的な感性の日本文化の在り方も、実は、分離から統合へのヒントになりえるかもしれないと感じています。

ここまで書いてあまり、まとまらないのですが…。意識が分離から統合へ向かうのは必然だし、世界なのか宇宙なのかの大きな流れ。なので、いつかどこかのタイミングで個人としても社会としてもたどりつくのでしょうから焦る必要もないわけです。だから、個々人でできることとしては、身近なところをよく観察したり、良さを見直して実感してみたり、AIなど新しいデジタルな技術を体験したり、変化する世界をひとつひとつを丁寧に、日々を感性豊かに面白がって楽しんで過ごすことなのかもしれないですね。目指すなら、正しい毎日より、楽しい毎日を♪という感じでしょうか。〈完〉





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