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【特別寄稿】 岐阜発 地方創生の将来へ [ 4 ]-中部経済新聞

【特別寄稿】 岐阜発 地方創生の将来へ [ 4 ]

中部経済新聞 20.03.30 掲載

日本生産性本部 地方創生カレッジ総括プロデューサー
三輪知生

真の地方創生を実現するためには、経済合理性の原則を無視することはできない。

「お役所仕事」という慣用表現があるが、決して肯定的に用いられることなく「形式主義に流れ、不親切で非能率的な役所の仕事振りを非難していう語。」と大辞林にも記述がある。さらに付加するならば、「表層的な建前論に終始し、手続き至上主義であり、結果に無責任である」と記述できよう。

先日、知人から「地方創生の本質とは何か」と問われたが、この「お役所仕事」の意味が肯定的に用いられる語句に変わることではないかと今では考えるようになっている。

「新たな価値創出」めざせ
若い担い手の活躍がカギ

筆者の経験から言及すれば、国の事業を実施する受託機関は、OB人材とその意向に忠実な職員らが漫然と過去の実績を踏襲する。登用される民間人も主に企業を退職したOB人材がその職を担い、過去の経験から物事を判断する。実績の評価は「件数」至上主義となり、案件の累計が自己目的化する。その過程では、悪しき慣習(不正な出張報告等)が一部の不誠実な担当者によって実行され、一件の相談を複数に分割して水増しするなど、本末転倒な事象が横行するケースも。また、それらの問題点を指摘しても組織として改善されることはなかった。

6年間にわたる産業経済振興と2年間の地方創生事業で、筆者は岐阜県内の地方公共団体や公的支援機関と関わりを持ち、上述の通り経営コンサルタントの視点として大いに違和感を感じる地方自治の実態に直面した。その一方で、真の地方創生の実践に求められる先進的で優れた取り組みにも接することができた。その詳細については、この度「岐阜発イノベーション前夜-小さな会社を『収益体質に変える』事業のつくり方」(生産性出版)と題する書籍を本年2月に出版し、10件の先進成功事例を取りまとめているので、是非ともご参照戴きたい。

明るい地域づくり

現在も多治見市や恵那市において筆者は、若い新規事業者の活躍の場の創出(たじみビジネスプランコンテスト)、既存事業者の経営革新の奨励(多治見ビジネス・イノベーション大賞)、新商品・サービスの創出(ジバスクラム恵那-地域商社)、中小事業者の経営相談(恵那ビジネスサポートセンター)など産業振興事業に関わっている。それらの事業は従来の枠組みに囚われることなく、積極果敢に新しい付加価値を創出しようとする画期的なものと評価できる。そうした取り組みが規範となって、真の地方創生が実現することを期待してやまない。

地方創生の将来へ、岐阜から発信すべき最も重要なメッセージは、「将来を担う若い人々の活躍、新たな価値の創出がなければ、真の地方創生はない。」ということだ。筆者を含めた社会経験を積み重ねた人々は、若い人材を育成し、そこに立ちはだかる障害を取り除き(自らが障害となることなく)、若い担い手の活躍の場を切り拓くことに注力すべきである。多くの市町村において、若い首長が誕生していることに明るい兆しが見出せよう。

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