FM PiPi たじみふるさとWalker [ 5 ]

[ 2020.04.21放送 ]第三週 1/2 - Powered by Vrew
地方創生カレッジの紹介 ①

たじみふるさとWalker

「今月のゲストは、東海クロスメディア株式会社 代表取締役 公益財団法人日本生産性本部 地方創生カレッジ総括プロデューサー 三輪知生さんです。今日もよろしくお願いいたします。」

「お願いします。」

「さて、三輪さんの現在のお仕事は、地方創生ということを伺っておりますが、ごめんなさい。地方創生という言葉、大変よく聞くんですが、具体的にどういうことかって言われると、言葉に詰まる部分があるのですが…。」

「そうだと思います。もう5年経つんです。これ実は、国の事業として地方創生って。安倍総理が言い出してから5年。まぁ今話題になるのは、大臣の答弁とかね、なんかちょっと、残念なことが多いんですけれども。ちゃんとご説明したいと思います。これは逆に言うと、ちゃんと知らしめていないってことなんですよね。これをご案内しますと、地方創生って何でも頑張る元気な経営者もすべて地方創生って言えますけれども、一般呼称としての地方創生ですけども国の予算事業としての地方創生っていうのはですね、三本の柱があります。はい。これは、一つには「情報」による支援。結局、国の予算で地方創生のためにやる施策が三つある。「情報」っていうのがまず一つあります。それはですね、地域経済がどうなっているかっていう、その統計データが、どこに人口分布があるとか、色々なね。売り上げがどういうところに起きているとかいうことを、データで地図とかグラフも使って読めるような、これはですね「RESAS」っていうんですけれどもね。「地域経済分析システム」っていうのが、インターネット上で検索すると多治見の人口推計とか、そういうのが見れるようなデータベースがあるんですよ。これをドンドン、ドンドン、リニューアルしながら公開しているっていうのが一つの地方創生の事業です。国の予算を掛けてその統計データのマップ上の分析ができるようになっているっていう所にお金を掛けている。というのは実態が分からないと地方創生どうしていいかわからないですからね。それが一つ、「情報」による地方への支援。二つ目は「資金」による支援。これが、まぁ根幹になってきますけれども。地方創生に関して国(内閣府)の予算として、「地方創生推進交付金」というのが一つあります。それぞれの地域の行政単位の人、市町村ですね。が、こういうことをやって、例えば、人口減少を止めたいとか、東京へ行ってしまう人々を戻したいとかあと、少子高齢化に対応させたいっていうことに、事業をそれぞれがオリジナルで考えたことに対して、予算を付けますよっていうのが、「地方創生推進交付金」ですね。もう一つは、これに対して「地方創生拠点整備交付金」っていうもの。これは箱モノとしてこういうものがないと、例えば、今はここにありますけれども、こういう起業支援センターみたいなものの箱を作りたい。そこにはコミュニティゾーンもいるし、こういう元々の防災無線のようなFM局も欲しいとか。そういうようなことを、作りたいっていう行政の依頼がある場合は、多治見にはありますけれどもね。そういう時には、「地方創生拠点整備交付金」というのがある。これは、お金による支援ですね。もう一つは、私も今関わっている、人による支援、「人的」な支援があります。」

「はい。」

「一番目が「情報」。二番目が「財政」。そして「人的」な支援が三番目ですね。」

「はい。」

「これはですね、まず一つは、自治体の市長さんとか町長さんの右腕となるですね、人材を国のお役所から派遣してくるというですね、「地方創生人材支援制度」というのがあります。はい。これはやっぱり、国からいい予算をちゃんと持ってきて地方創生に役立てる。市長さん・村長さんは結構たくさん意思決定しなきゃいけないから国の予算立てに対して詳しい人が来て、これで使ってやっていったらいいよっていうことを支援する。そしてもう一つは、「プロフェッショナル人材事業」といってこれは民間の、都市部にいる企業の経営経験のあるOB人材を、転職先として地域に貼り付けましょう。再就職?これは、岐阜県の県庁の横にあるシンクタンク庁舎で要は、県が請けてやっています。それと、もう一つが我々がやっている「地方創生カレッジ」っていう事業です。これは、e-ラーニングなんですけれども、地方創生、例えば街興しとか、観光による人の呼び込み、いわゆるインバウンド対応とか、いろいろやりたいけれども、どうしていいか分からないっていうことが多いので、それに対して、大学の先生が喋ったり、実績がある人が説明したり、商店主が商店街の復興について経験話をしたりっていうのは、eラーニングの講座としてあるんですね。ホームページから、メールアドレスを登録するだけで、無料でそういう講座が170もですね、実はあって。それを学んで戴けるようにする。これが人による支援としての地方創生の三本の柱であります。」

「はい。地方創生、言葉はよく聞きますけれども、国からそんな情報、それからお金=交付金ですね。そして人材支援とそれだけ手厚い支援があるということは知りませんでした。でも、実際これだけのことを国から与えられているのにも拘らず、実際、地方創生すごくうまくいっているよって、全て自治体で、色々なことが上向きになったよ、というふうには聞かれないのですけれども地方創生がうまくいかない問題点っていうのは、一体何なんでしょうか?」

「実はですね、地方創生に取り組むにあたっては、地方版の総合戦略。国自身も、地方創生のために少子高齢化とか人口減少、東京圏への人口の過度の集中っていう課題に対して、国として総合戦略っていうのを立てるんですけれども。それに対して、それぞれの地域の行政単位で地方版総合戦略っていうのを立てるんですね。これを立てた上で、個別にプログラムを作ってその事業に対して、予算を申請する。それが、地方創生推進交付金であったりとか、拠点整備交付金があるわけですけれども。国から言われて、何かをするのではなく、自主的に何かを考えて、これだけお金が欲しいのでください、ということなんですね。それに対して付くのが、地方創生推進交付金ですね。これを立てるんですが、地方創生がうまくいっていないと言われる根源的な課題は、実はそこにあって、地方版の総合戦略を8割以上の自治体は、実は、外部に委託しているんです。多治見の場合は、自分で作っているんです、実は。」

「はい。」

「優れた自治体の一つなんです。」

「また褒められた。嬉しい。」

「でも、それは1割以下です、実態は。岐阜県内9割以上は、外部に出してる。外部に出していること自身は、そんなに悪くない。日本生産性本部も受託しているし。そんなこともあるんですけれども、それが結構、便宜的に作られてしまったりして、実態に即してないっていう意味ですね。実際、こういうことに困ってるんだけども…。結局、行政にはありがちで、手続き申請で揃えてしまうっていう、書類を。すると手続き上、論理に整合性があったりすると認可してしまうわけですね。そこは、信じているからですけれどもね。信頼関係。でも、実態はそういうことになっていて、外部に委託してしまうと、そこには大きく「三つの壁」があるって言うのは、私が長年関わってきた中で、見出してきた真理なんですね。」

「「三つの壁」ですか。はい。その「壁」というのは、一体、何なんでしょうか?」

「そうですね、そもそもちょっとこれ、公務員の方の特性、まぁ企業でもそうですけれどもね。早いと1年、2年~3年で部署が変わってしまいますから、今何が具体的な課題であって、どうしなきゃいけないかっていうことに対して理解が及ばない。要は、「知識」の壁があるんです。知らないから、分からないからできない。これ、実態としてあります。私自身も長年、専門家として関わっていますと、組み立てが、制度設計が、できるんです。産業振興であれば。でも、そういった知見は潜在的な能力としてあったとしても、部署が変わってしまうと分かりませんよね。あと対話しない。するとクレーム受けるから、なるべく対話したくないっていうのは、行政の人たちの本音ですよ。まぁ多治見の場合、結構全然違うんですけれどもね。それが一般的でありまして。そういう意味で、「知識」の壁があります。それと、やはり保守的な体質っていうか、良い悪いはさておき、そういう人たちが安定しているからといって、行政に就職しますよね。そういう意味では何か新しい事って言われても、じゃあそれで成果をあげたからっていって評価されるかっていうと、それもない。そういう意味では「意識」の壁があるんです。「意識」の壁があって、なかなか新しい取り組みに至らない。だから、どっかでやった事例があれば、それを真似したいってなってしまった。それが集団になると「組織」の壁になるんです。どうしても、責任もたらい回し。部署の間、何か来てもなんか投げ廻しちゃったりすることがある。そういうのが、「組織」の壁なんです。「知識」の壁・「意識」の壁・「組織」の壁があって、なかなか行政の判断として変化に対して、脆弱な体質。これは根源的に持っているんですね。ですから、そういうことに困っている自治体、問題意識を持っていれば、担当を長らくいてもらって、判断は出来る。誰よりも詳しくなってもらわないといけない。長い人だと7~8年同じ場所にいる。それは行政としては、異例ですけれども、通常的には、そうあって然るべき。私なんかは思いますね。私自身はもう産業振興8年やっていますけれども、そうすると見えてくるものがたくさんあります。そういったことがない、ということも一つの大きな課題だったりするんです。その壁があるので、どうしても地方創生がうまくいっていない。結構、国が悪いって言う人もいますけれども、国は国として実態はなかなか理解し得ない現状もある中で、地方というか、地域の行政の人達が、もっと現実に目を向ける必要があるってことですね。それを、なかなかもう限界が見えてきているんで、じゃあ、もう皆さん巻き込んでやりましょうっていうのが今回、私が地方創生カレッジの岐阜で展開した官民連携の講座だったりするんです。e-ラーニングを勉強しただけでは、地方創生って、そう(うまく)いくわけではない。知識があってもね、企業の経営もできませんけれども、地方創生もe-ランニング見ただけで、じゃあ、ながせ商店街に人が来るなようになりますかって、来ないですよね。そういうことに対して、何をしなきゃいけないから、どうしたらいいの、どうしたい、今こんなことで困ってることを話し合った上で、そういう先ほど言ったような戦略、必要なプログラムに落とし込んでいく、そのプロセスを定着させるために「地方創生カレッジ in 岐阜」っていうのを、今年はですね、やってきました。」

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