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『オンラインで相手に伝えるコツ』
『オンライン・セミナーのうまいやりかた』発売記念オンラインセミナー
弊社で発刊した『オンライン・セミナーのうまいやりかた』の発売を記念して、
著者の高橋龍征氏と毎回ゲスト1名を招いて、オンラインセミナーを開催。
今回、第5回には研修コンサルタント・ファシリテーターの高柳謙氏をお招きして、「オンラインで相手に伝えるコツ」についてお話いただきました。
高柳氏のiPadを用いたファシリテーショングラフィックの魅力を余すとこなく文字として伝えるのは難しいですが、コンセプチュアルな部分をお届けします。
▼私がこの手法に至った理由
私はこれまでセミナーの講師としでいくつもの企業などで研修を行ってきました。
その中で私もパワーポイントやスライドを使うことが多いのですが、皆さんもこのような経験はありませんか?
・(スライドの)どこからみていいのかわからない
・話している内容が(スライドの)どこにあるかわからない
参加者の中からこのような意見が出てきました。
そこで私はiPadに学校の先生の板書のように書いてメモを取るスタイルにしました。
メモを書いて伝えるのは、見ててもらうために書いています。
話した内容は残らずに消えてしまいます、また「パワポだとどこだかわからない」
ということの無いようになるべくわかりやすく書くことを心がけています。
プロセスと意味を可視化してお互いに内容が伝わるものにする
これが一番大切です。
▼整合性の統一
以下の「黒」「白」「青」「赤」の例を見て見てください。
このように「文字の意味」と「書かれている色」が異なると
目から脳への認識の処理が行われてしまいます。
書くときに大事なのは、話している内容と書いているものが一致していることです。特にここに気をつけています。
(私が)話す→(相手が)聞く→(私が)書く→(相手が)見る
このように自分相手との間を2往復することで、相手により認識してもらいます。
「伝える」というのは一方通行ではなく双方向なものです。
▼ズレの可視化
相手とインタラクティブな答えやすいアンケート等をセミナー中でも設けることで
参加者とのズレを整えることができます。
このズレを伝えてもらえることが理解につながります。
そして、リアクションをもらいましょう。
▼ファシリテーショングラフィックとは?
人に何かを伝えるということの根本には
双方向のコミュニケーションが大切であると考えています。
私は自らが用いている方法を「ファシリテーショングラフィック」と呼んでいます。
下図は、ビジュアルと時間における分類図です。
例えば、文字ベースで後から見返す際に使うものは「議事録」などの記録を文字に頼るものが挙げられます。
また、ビジュアル的に振り返る時に使うのがグラフィックレコードです。
グラフィックファシリテーションとは「絵にすること」です。
例えば、「お客さん」という言葉を聞いてみなさんは何を思い出しますか?
お客さんだけだとイメージが湧かないので、
どういう人がお客さんなのか聞いた内容から絵にする。
これが、グラフィックファシリテーションです。
これの逆で、お客さんを文字で書いていってそれをその都度確認する。
このことを私は「ファシリテーショングラフィック」と呼んでいます。
・書く→聞いていくれている
・確認する→理解してくれる
・質問をする→ズレ・合意・一致を導き出せる
「書いて伝える」ということに重点的に意識を置いています。
もっと言うと、本番のセミナー中に
「紙に書いて出してください!」
などといって、アナログ手法を活かしてもいいでしょう。
手書きの良さはインタラクティブ性を保つことができる点です。
このような技も覚えておくといいでしょう。
また、板書形式で講演をしても全部覚えてその通りに書くのは難しいです。
あらかじめ画面だけ書いておくなどして、そこに付け足すスタイルもおすすめです。
▼オンラインでレクチャーする際に注意したいこと
・わかりやすい手法を使う
ITに関してあまり明るくない人のためにも普及率の高いツールを使用する。
タイピングが遅い人もいるので、答えやすいように数字でアンケートをする。
・陥りがちなワナ
よくオフラインでやっていたことを単純にをオンライン化したものが昨今多く見受けられます。
単純なオンライン化により、本来の目的を見失ってしまいます。
では、どのようにして解決すれば良いでしょう?
アナログでやっていたものもで求めていたもの何のためにやっていたのか
それを考えてからオンライン化することが大切です。
・オンラインはオフラインより可視性が高い
オンラインは良くも悪くも可視性が高いです。
なので、オンライン上ではリアクションが見えないのでやや強調気味で
また、いつもより1.2〜1.5倍ほど多く情報を相手に伝えることを意識します。
ゆっくり話すももちろんですが、またリフレーミングで確認をしていくことも大切です。
・始まる前が肝心
始まる前に対話できる関係性を構築することもポイントとして挙げられます。
「このセミナーでは発言できる」と認識してもらったり、スピーカーの話自体に聞く耳を持ってもらうことにつながります。
そのためにも、スピーカー側から声かけしていく姿勢も重要だと言えます。
▼まとめ
今後よりオンラインが活発化していくなかで、これらのポイントを抑えることでみなさんの参考になればと思います。
オンラインで伝えるコツをビジネススキルとして身につけるヒントになればなによりです。
【登壇者紹介】
高柳謙 企業研修内製化コンサルタント / 顧問ファシリテーター
エンジニアとして、公共系システムの提案、開発、運用、保守を10年担当。小規模企業のため、新人や社員の技術研修を、企画・設計から講師まで、一気通貫で担う。2012年に急成長ソーシャルゲーム企業に技術部門の育成担当として転職し、以降社内外で学習コミュニティを主催し、社外でのセミナーも多数実施。2015年に独立して、IT企業を中心に、第三者的な立場から企業内の学習環境構築を支援。自ら技術講師、学習コーチ、プロジェクトのファシリテーションも行っている。2020年4月からはオフラインでの研修、ワークショップのオンライン化の支援も行っている。
Twitter ID:gaoryu (@DiscoveryCoach)
【著者紹介】
高橋龍征 conecuri合同会社代表 WASEDA NEO プロデューサー
早稲田大学第一文学部哲学科卒業、CSK(現SCSK)で営業、経営企画に従事後、早稲田大学大学院にてMBA取得。ソニーやサムスン電子での事業開発マネジャー等を経て独立。デジタルハリウッドのアクセラレータやFintechラボ立ち上げ等に従事後、テック企業の共同創業・経営(取締役COO)を経て現職。早稲田大学の社会人教育事業WASEDA NEO開校に伴いプロデューサーに就任。ファイナンスの早稲田大学OB会(稲門会)事務局や地方創生NPO理事など複数のコミュニティの運営に携わる。2020年にconecuri合同会社を設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授。著書に『オンライン・セミナーのうまいやりかた』(クロスメディア・パブリッシング)がある。
【著書紹介】
『オンライン・セミナーのうまいやりかた』(高橋龍征著)