連載【9】刺繍教室クロスマァムのひよこ時代ー学びと出会いとそれから…
その夏は課題の針を動かしながら、自分が目指す「お教室」のことをあれこれ考えていた。学生時代アルバイトをしていた工芸教室や楽器店勤務時代でのピアノ・エレクトーン教室のことを思い出してはみたが、あまり参考になるとは思えなかった。
そんなある日、ふと思い出した言葉があった。それは子供時代に繰り返し遊んだカルタの読み札の言葉で、大人になってからも何故かちょっとした時に思い出すのである。「そうだわ、その通り!」と私はその言葉に従うことにした。「お」の読み札のそれは、「思いついたら 即実行!」だ。
即実行と言ってもまだ刺繍技術を勉強中の身…そして教えるための勉強もしなくてはならないと考えていた。そこで以前リクエストをくれた幼稚園のママ友に相談してみた。今思えば大変図々しい話であるが、生徒役になって、刺繍を教える練習をさせてもらえないかと話したと思う。ありがたいことに皆それを喜んで引き受けてくれた。私はラッキーだった。
幼稚園の新学期が始まった9月、5名の生徒役さんがリビングに集まった。私はお菓子を焼いてお茶も準備、まるで刺繍カフェである。参加費はお茶代500円を頂戴し、ワクワクとプレ刺繍教室がスタートした。その時娘は1歳5ヶ月。私たちの横で幼児番組を見ていたが、もしかするとテレビより母たちのお喋りに耳を傾けていたのかもしれなかった。(その理由はまたの機会に…)
続きは明日。