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~教育資金の一括贈与の非課税措置 見直しと延長~

今回の税制改正では、贈与に関する改正が行われました。
その中でも、教育資金の一括贈与に関する改正は、富裕層に大きな影響があると言われている内容です。

〇教育資金の一括贈与とは
まず、もともとの制度の概要についてご説明します。

祖父母等から30歳未満の子や孫等への教育資金の贈与について、子や孫1人につき1,500万円を限度として、贈与税が非課税になる特例

▶贈与をする方:直系尊属(祖父母、または父母)
▶贈与を受ける方:30歳未満の子、孫(贈与を受ける方の前年の所得金額が1,000万円を超えないこと

👉おじいさん、おばあさんから孫に、教育資金を贈与する場合、1,500万円まで贈与税が非課税になる制度をイメージしてください。

〇改正の概要
【改正内容1】
▶適用期限の3年延長   期限:令和8年3月31日

【改正内容2】
▶贈与者死亡時の相続税の課税対象拡大

<改正前>
贈与者死亡時に教育資金として使用していない残高がある場合、残額が相続税の課税対象になる
但し、受贈者が下記のいずれかに該当する場合には対象外
  a.23歳未満である場合
  b.学校等に在学している場合
  c.教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合

<改正後>
贈与者の死亡時、相続財産が5億円を超える場合には、教育資金の贈与残額が相続税の課税対象になる

〇わかりやすく言うとどういうことか?

孫がおじいさんから1,500万円の教育資金の贈与を受けて、学費などに使っている間に、おじいさんが亡くなったとします。
この場合、改正前は、例えば孫が23歳未満であったら、贈与を受けたお金の残額があっても、相続税の課税はありませんでした

しかし、改正後は、おじいさんが亡くなった時の相続財産が5億円を超える場合には、孫が何歳であっても贈与を受けたお金の残額は相続税の課税対象になるということです。

つまり、改正前は、この制度を利用した場合、一般的には1,500万円までの教育資金は非課税で贈与できる可能性が高かったのですが、改正後、富裕層の場合には、相続税が課税される可能性が高くなったということです。

【改正内容3】
▶教育資金契約終了時の贈与税は、特例税率ではなく、一般税率で計算する

受贈者が30歳に達した場合等に、贈与を受けた教育資金の残額がある場合
<改正前>
受贈者の年齢によって贈与税の税率が異なっていた
➀18歳以上の場合には、特例税率
②18歳未満の場合には、一般税率

贈与税の税率 国税庁webサイトご参照

<改正後>
受贈者の年齢にかかわらず、一般税率が適用される

〇わかりやすく言うとどういうことか?
贈与財産が一定額を超えると、一般税率が特例税率よりも高くなります。
つまり、税制改正によって、贈与税額が大きくなる場合があるということです。 

〇適用実施時期
・令和5年4月1日以降の贈与が対象

〇まとめ
教育資金は、2,500万円から3,000万円必要と言われていますので、1,500万円であれば、学費等で使い切ってしまう金額であると思われます。
しかし、贈与者が亡くなるまでに使い切れるかどうかはわかりません。

今回の改正で大きな影響を受けるのは、「相続財産が5億円を超える方から、教育資金の贈与を受ける方」です。
影響を受けないようにするのには、どうしたら良いでしょうか?

この改正は令和5年4月1日からの贈与が対象ですので、このコラムの投稿日現在(2023/1/26)は、まだ改正前の制度での贈与が可能ということです。

従って、富裕層の方は、改正前の贈与をご検討されることをお勧めいたします。
尚、銀行の申込期限が3月中旬のというところもあるようですので、お早目に信託銀行等にお問い合わせいただくとよろしいかと思います。

尚、この内容は、税制改正大綱の内容をもとに2023/1/26時点で記載しております。
改正が施行された場合、本件内容とは異なる部分が生じる可能性がありますので、その点は十分にご理解ください。


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