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『乃木オタ回顧録〜デビュー10周年を迎えるにあたって』#26

2015年夏〜乃木坂46の熱い夏② 
映画「悲しみの忘れ方Documentary of 乃木坂46」


奇しくも「初森ベマーズ」のスタートと同じくして2015年7月10日より公開された映画「悲しみの忘れ方Documentary of 乃木坂46」。
乃木坂46初のドキュメンタリーの監督はMVでも乃木坂とは所縁深い丸山健志。生駒里奈、生田絵梨花、白石麻衣、西野七瀬、橋本奈々未ら乃木坂46になる前の彼女たちとなってからの彼女たちの事を実際の母親の言葉で紡ぎつつメンバーたちへのインタビューを通して乃木坂の約4年間を振り返っている。オーディション、AKB48のリクエストアワーでのデビュー曲披露、初の舞台「16人のプリンシパル」、生駒のAKB交換留学、松村沙友理のスキャンダル、紅白落選…と出来事の表裏を見ることができる。

ドラマ「初森ベマーズ」の撮影で忙しい中、今度は公開している全国の映画館を廻るキャンペーンの仕事が重なる。もちろん発売中の最新シングル「太陽ノック」を歌番組で披露する機会も増えてきた。この頃乃木坂メンバーはこれまでにない多忙を極めたのではないかと想像できる。

劇場公開後、私は4回は劇場に足を運んだようだ。舞台挨拶も行ったのかな…。記憶はもう定かではない。

この映画が製作されると報じられた時は乃木坂46はわざわざ舞台裏とか見せる必要はない、歌や演技で魅了してくれれば良いし、ドキュメンタリー映画など作らなくてもいいのにと思っていた自分だったが、映画を観て手のひら返し。何度も観に行く心酔っぷり。それまでAKBグループがドキュメンタリー映画を多数制作し好評を得ていたのでその列に並ぶのが自分的には嫌だったのだろう。

先日Blu-rayを見返したのだが、推しメンの橋本奈々未に関して言えば以下の通りだ。
メディアでも語っているが引くほど貧乏だった旭川の実家を飛び出し親の援助なしで上京、奨学金を学費に充てて美大に通い生活費はバイトで賄うと言う生活をしていた彼女は大学構内で食べようとしていたおにぎりを床に投げつけると言う奇行に走り友達に引かれたらしい。とにかく貧乏を脱するにはどうするか考えた結果、芸能界に入れば毎日ロケ弁が出て食いっぱぐれないだろうと言う結論に至る。そこで目にしたのが乃木坂46のオーディションだったと言うわけだ。聞くところによると四次、五次審査まである狭き門、そこにあれだけの凄いメンバーが集まって合格するのだから奇跡以外の何物でもない。一次審査が携帯電話から応募可能だった事がオーディションのハードルを下げてはいたようだ。
この映画の中で彼女はある意味その先にある卒業、引退に関しても仄めかしている。奨学金等で弟の大学進学の学費の工面がついた事、そして来年(当時)には家を買うと言うではないか!この言葉には驚いた。家どころか所帯すら持てない自分は何が「ななみん、頑張ってね!応援してるよ!」だ‼︎まさにお見それしました、完敗ですの境地。
と言う事でアイドルでいる事の目的、意味が近い将来叶えられると言う示唆が含まれる発言をしている。
この映画の中で橋本が発する言葉の中で「意味」と言う単語が引っかかった。大学に入学して以来一度故郷に帰り友人と会ったりした時にいっそ旭川に帰ってこようかと言う思いがよぎったがそれでは親の援助を断って実家を出ていった「意味」がない。また、先程の弟の進学、家の購入の話の時にそれを完遂する事で親は安心して暮らしていける、そうする事が親は自分を育てた「意味」がある…と言う表現をしている。これまでやってきた「意味」、言い換えれば「甲斐」があると言う事だろうか。彼女はそれまでやってきた努力の「意味」、パフォーマンスする「意味」、ドラマに出る「意味」、舞台に立つ「意味」をおそらく常に考えながら活動してきたのだと思う。

だから橋本奈々未がセンターを務めた最終参加曲は「サヨナラの意味」なのだと私は思っている。

イジメに悩まされていた生駒里奈、白石麻衣の過去、芸能界に全く興味がなく母親が勝手に応募した西野七瀬、合格したのに学業優先のため母親に休業を申し込まれた秋元真夏、音楽学校に行きたくて懇願してピアノを買ってもらったが乃木坂に合格してしまった生田絵梨花、芸能活動をする事で愛する母校に居られなくなった初代キャプテン桜井玲香、乃木坂初のスキャンダルにまみれた松村沙友理の心境…などなどポスターに出ている5人以外の様々なエピソードも詰まっている。そして活躍の場が広がりつつある2015年へと繋がっていくそんな兆しを感じさせて幕を閉じる。

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