ウォーリーを探せ
テレビ番組の制作を手伝っていると、映像の中にたまたま映り込んでしまうことがある。10月18日NHK-BSスペシャルで「2度目のロンドン-エレガンス編」(ナビゲーター仲川希良さん)が再放送される。3年前にロンドンで収録した番組だが、ここでもたまたま(?)映り込んでしまっているようだから、「ウォリー」のように目を皿にして探していただければ、ぼくの3年前の元気な様子をご覧いただける。ほとんどあり得ない番宣....
ある時は食の専門家になって出された食べ物を評価したり、はたまたある時は、UFO研究家となって、UFOの存在を雄弁に語ったりもした。構成上コマが足りなくなると、暇そうに撮影を眺めているコーディネーション会社のボスに白羽の矢が当たるという仕組みである。もう何年も前の話だから「これはヤラセだ」とか言って、目くじらを立てないでほしい。本人は「真剣」でありご愛嬌でもある。
某大手放送局のニュース番組では、築地の仲買人の役をやった。もう20年近く前の話だから時効だと思うが、念のため本名を伏せて紹介する。その当時ぼくはアイルランド西海岸でウニの養殖をしているジョン・チェンバレンさんの情熱に押されて、彼のウニを日本に紹介できないかと画策していた。たまたま小学校からの友人F君が某局ロンドン支局でニュースキャスターをやっていたので相談したところ、トントン拍子にカメラマンとともにアイルランドに取材にきてくれることになった。ジョンの養殖の様子や殻を破る様子などを収録した後、海岸に行って、ウニを見つけて、食べるシーンを撮ることになった。ここで1名足りなくなった。ぼくはてっきりF君がマイクを握ってウニを食べて「これは美味い!」と言ってくれるものと思っていたのだが、彼はこの場に及んで、そこまでは出来ないと言ってきた。そのかわり「松ちゃん(彼は僕のことをそう呼ぶ)、君がやってよ」という話になった。気乗りしなかったせいか、アイルランドの海が冷たかったせいか、簡単なセリフなのに10回ぐらい舌を噛みダメ出しが出たように記憶している。でもウニは最高に美味かった。
後日、某局の夕方のニュース番組内でアイルランドのウニ養殖が小さく放送されたが、ぼくの下手くそなシーンも予定通りインサートされていた。その時のぼくの肩書きが「築地から来た仲買人」として紹介されていたらしい。何とも微笑ましい。ゆったりした時代であった。しかし、それをテレビでたまたま見つけてしまったオフクロ。海の男とは到底思えぬ青白く震える息子の(しかも築地で働いてる)姿を見つけて、「ギャー」と叫んで卒倒したという話。テレビの影響力は強い。事前に説明しておけばよかったと反省した。