Cubase 14ファーストインプレッション
Cubase 14がリリースされた。今回のアップデートは自分の使い方においてはあまり影響がなさそうだなという気もしたのだが、とはいえ他のDAWに乗り換えるつもりもないので早速アップデートして使ってみた。
Gain stagingが便利で面白い
自分にとって、今回一番価値がありそうな新機能はGain stagingだ。録音したオーディオの中の、任意の部分の音量を上げ下げできる機能だ。今までもボリュームのオートメーションを書いたり、イベントを区切って音量調整する形でも同様のことは実現できたが、より直感的に便利に音量調整ができるようになった。オートメーションを書く場合と違って、音量調整をした後にイベントを移動しても音量調整の内容がそのまま移動してくれるのが便利。ボーカルトラックの音量調整はもちろん、ギターでもフレーズの合間に入ってしまったちょっとしたノイズを目立たないようにしたり、といった作業がだいぶ簡単にできる。手動でコンプレッサーやノイズゲート的なことを手軽に実現できるような感覚で、特にコンプを使わなくてもある程度の分量だったら狙ったような音量調整ができるのが面白い。
Studio Delayはギターの空間系の後処理に最適
前回Cubase 13のアップデートで、個人的によかったのは各トラックの後処理に使うBlackValve, EQ-P1Aといったエフェクターが追加されたことだった。似たような機能のサードパーティのコンプ、EQは持っていたが純正だからか起動・動作が早く、最近は特にパルテックEQに関してはEQ-P1Aばかり使っている。
そして今回のCubase 14のアップデートで加わったStudio Delayは普通のディレイの機能に加えて、ディレイ音にモジュレーションをかけたりリバーブを追加する機能が搭載されている。手っ取り早くこのエフェクト一個で空間系の後処理を結構いい感じに作り込むことができる。なんだかんだ手軽さというのは大事で、空間系のサードパーティプラグインは今までいくつか買ってきたが、結局このあとはこのプラグインひとつに落ち着いていってしまいそうな気がしている。
ちなみに今回のアップデートではShimmerというリバーブも追加されている。どちらかというとかなりアグレッシブに音を作っていくタイプのリバーブで、これも面白いのだが自分にとっては使う場面は限られてきそうだ。
ModulatorやPattern Sequencerは便利で面白いが
そのほかのCubase 14のアップデートの目玉機能としては、任意のパラメーターに対してモジュレーションをかけることができるModulatorや、Pattern Sequencerの追加がある。Modulatorの機能はオートメーションを書くのを自動化するようなイメージでなかなか面白いし、MASCHINEのようなPattern SequencerがDAWに組み込まれているのも便利だなとは思う。EDMのようなジャンルとはとても相性が良さそうだが、今のところ自分が作っているような音楽ではなかなか使う場面は少なそうだと思った。
Cubase 13ユーザーはアップデートするべきか
Cubase 11から12のアップデートではドングルが不要になったり、Cubase 13では音源やプラグイン類が大きく強化されたりと、ここ数回のCubaseのアップデートはかなり自分にとってもありがたい内容が多かった。今回のCubase 14のアップデートにもModulatorやPattern Sequencerなど大きな新機能がいろいろあったが、割と使うジャンルを選びそうな機能・アップデートだと感じている。過去数回のアップデートに比べると今の所自分にとっての影響は限定的になりそうだというのが正直な感想だ。
とはいえ他のDAWに乗り換える予定はないし、Cubaseの場合は1つ前のバージョンからのアップデートと2つ前のバージョンからのアップデートで料金が変わるので、一つバージョンをすっ飛ばしたとしても金銭的な節約はほとんどない。唯一安く済ませる方法があるとしたら年に一度程度あるセールくらいなので、今回のアップデートが自分の音楽のスタイルにマッチしなさそうな場合はセールを待つのもありかもしれない。
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