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安ギターどこまで改善できるか...Grote GR-Standard-S(後編)

前回は、弾きやすさを改善するためにフレットの研磨、ナット調整、ブリッジ調整を行なった。

弾きやすさは多少改善したものの、ポジションによってビビりやチョーキング時の音の詰まりが発生するため弦高をあまり下げることができず、「弾きやすい」と言える状態までは持っていくことができなかった。

結局、フレットのすり合わせをして、ようやくある程度納得感がある弾きやすさになった。ギターリペアでも、すり合わせを省略して弾きにくい状態でどうするか悩み、あとでやり直すことは多々ある。必要ないのに削ることは避けたいが、怪しい時は妥協しない方が良い。

擦り合わせをして音の詰まりやビビりはなくなったのだが、アンプを通した音の音像がどうもぼやける感じがあったのでピックアップの高さ調整も行った。そのときに気がついたのだが、よく見るとピックアップのポールピースと弦の位置が結構ズレている。リアピックアップの1弦側はかなりわかりやすくポールピースと弦がずれている。音像がぼやける感じがあったのはこのせいかもしれない。完全に解消したわけではないが、1弦側のピックアップ高を高めに設定することで多少改善された。

ここまで調整を終えて、ギターとしてはある程度気持ちよく弾ける状態になったと思う。細かい部分では気になる点はあるものの、これが自分の調整の限界だし、同時にハイエンドギターの値段が高い理由の一つだろう。

他のローステッドメイプルネックのギターでも感じることなのだが、ローステッドメイプルネック(指板)の音とメイプルネック(指板)の音は結構違うなと思う。ピックアップの特性なのか、前述のポールピースの位置の問題なのか、ピックアップを通したサウンドは少し高音が弱いなと感じることもあって、自分が想像する「メイプル指板のギターサウンド」に比べるとマイルドだ。

しばらく使ってみて見えてきた印象・感想

すり合わせを含む各部調整を頑張って、弾きやすさという点ではある程度悪くないところまで持って来れた。今の状態であれば、ベストではないもののギターとしては楽しく弾き続けることができる。

三週間ほどかけて調整しつつ弾きこんでいく中では、問題というほどではないが少し気になる点もいくつか見えてきた。

例えばこのフレットエンドの位置。フレットエンドと指板の端との距離がフレットによって結構異なる。弾いていて違和感を感じるほどではないが、見た目的な意味では少し気になる。

ピックガードを固定するビスが、場所によってはかなりピックガードのエッジギリギリの位置にあるのも見た目としては少し気になる。この辺りのデザインの作り込みはトラディショナルなギターやハイエンドギターと違いを感じる点の一つだ。ビスの位置がエッジのギリギリの位置にあろうと、それ自体は機能的には問題ないが、このあたりのデザインが作り込まれていない問題はピックアップのポールピースが弦の真下を通らない問題と繋がっている問題だとは思う。

コイルタップのミニスイッチの位置も気になる点の一つ。ボリュームノブ、ピックアップセレクターとの距離が近いので、それらを操作している時に注意していないと意図せず操作してしまうことがある。

この辺りの細部の作り込みが、コストカットの影響を感じるポイントだった。フレットの位置の問題は別として、他の問題はコストと時間さえかければ自力で改善させることもできそうだが、キリがないので今回はそこまではやらないことにした。

2万円以下で買えるという点では、メンテナンスで弾きやすさがどう変わっていくのかという実験も含めてかなり楽しめた。このギターの良い点は、ローステッドメイプル指板+ステンレスフレットという組み合わせが安価で手に入るということで、それ以外のポイントを自力でなんとかできるなら改造の土台としては面白いギターだと思う。マット塗装も結構かっこいいと思う。一方で、自力でいじるのが趣味ではない人にとっては特にお勧めできる選択肢ではないかなとも思う。

なお、値段は少し高くなるものの、低価格のローステッドメイプル+ステンレスフレットのちょっと変わったギターを試したいのであれば、同じGroteのModern Tの方が楽しくていじりがいがあるのではないかと思う。

また、BacchusのエントリークラスUniverse Seriesからも、GS-2DX RSM/M、GS-4DX RSM/Mという二つの機種が10月末から11月にかけて発売されるらしい。若干値段は高くなりそうだが、こちらも気になるので入手したい。

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