79年製Greco EG800 その1
長年試したいと思っていたギターの一つ、70年代末のGrecoを購入した。
今まで色々な年代のGrecoを試してきたが、70年代末から80年代のGrecoは近年値段が高騰していてなかなか手を出せずにいた。今回購入したEG-800も安くはなかったのだが、コンディションは悪くなさそうだったので思い切って購入してみることにした。
説明では「美品」とのことだったが、実物をよく見てみると色々汚れており、ポット類も固着して回らないような状況だったので弾き始める前にメンテナンスをする必要があった。分解しつつ、中身を見てみよう。
EG-800は79年のラインアップの中では上位機種として製造販売されていた。バインディングもGibson同様Nibのあるフレットオーバーバインディングが採用されていたり、指板材も当時のカタログによるとエボニーらしい。指板に関しては、確かに普通のローズウッド指板よりは黒くてツヤツヤしているような感じはあるのだが、自分が持っている他のエボニー指板のギターとは少し質感が違うように感じる。
ブリッジはあまり見慣れないタイプのものだった。中央部分が盛り上がるような形で若干アーチがついている。
裏側を見るとブリッジにはST BRIDGE、テイルピースにはLP-Fの刻印があった。
ピックアップは残念ながらオリジナルではなくJack Johnesというピックアップに交換されていた。なかなか調べても情報が出てこないピックアップだが、80年頃にESPが製造していたようで、どうやらDiMarzio Super Distortionのクローンらしい。
1979年というのはGrecoのレスポールコピーを巡る歴史の上では一つの転換点になっている。翌年1980年に登場したSuper Realシリーズは50年代のヴィンテージレスポールの再現になっているのに対して、この79年モデルは当時の現行レスポールを意識したスペックのギターになっている。
今となっては、レスポールといえば一層のマホガニーボディ、マホガニーネックという構成が一般的だが、当時70年代の本家Gibsonのレスポールではマホガニーの間にメイプル(他の木材だったという噂もある)を挟んだパンケーキ構造のボディ、ネックも3ピースメイプルで構成されていた。この1979年のGreco EG-800もこれらの仕様が意識された作りになっており、ボディはパンケーキ構造、ネックもメイプル3ピースになっているのが確認できる。
近年のGibson Les Paulと並べてみると、ヘッドの角度が結構違うのがよくわかる。
オリジナルなのか、後から交換されたんかわからないがピックアップセレクターのノブも見慣れない形状のものがついていた。
過去にこのギターの数年前1976年頃に製造されていたGrecoを所有していたが、各部のクオリティがとても高く、このギターからは当時のGrecoの気合いのようなものが細部からも感じられて面白い。
続く