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TourBox Eliteを音楽制作と動画制作で使ってみた

左手デバイスの定番であるTourBoxから、iPadに対応したTourBox Elite Plusが9/1に発売されるらしい。

まだ公式に情報は限られているが、先日のコミックマーケット104で実機の展示が行われたらしいが、TourBox Eliteとの違いとしてはiPad対応が大きなアップデートで、それ以外は今のところEliteからの大きなアップデートの情報はなさそうだ。

このnoteでは触れる機会がなかったが、自分も少し前に左手デバイスに興味が出てTourBox Eliteを導入していた。しばらく使って勝手がわかってきたので、レビューしようと思う。

グレードについて

TourBoxにはLite、NEO、Eliteという基本的な三つのグレードがある。Liteは一番安価なグレードで1万円弱から購入できるが、搭載されているボタン・ダイアルの数は少なめでPC/Macとの接続もUSBのみ対応。NEOはLiteに比べてボタンやダイアルの数が増えて作業の幅が広がるが、こちらも接続はUSBのみ。EliteはLiteとボタン・ダイアルの数は同じだが、触覚フィードバック機能がついていることに加えてBluetoothでの無線接続に対応している。自分の場合はコンパクトな机を使っている関係で配線をなるべく減らしたかったので、Bluetooth対応のEliteを選んだ。

ちなみにEliteにもUSBの端子はあり、有線接続はできるようになっている。

無線接続の場合は単三電池を2本使用する。充電式ではない。ちなみにバッテリーの重量も含めると400g以上の重さになり、そこそこの重量感がある。持ち運びの点では少し不便だが、机に置いて使用している時の安定性という点ではこの重量感は結構重要なのではないかと思う。

左手デバイスの基本

TourBoxを含む左手デバイスは、基本的にそれ自体にユニークな操作に関する機能が搭載されているというわけではなく、できること自体はLogicoolのMX Masterシリーズのような多機能マウスと変わらない。アプリ毎にボタンを押したりダイアルを回した時に、それに対応するキーアクションやマウスアクションを設定することで、各種作業を効率化できるというものだ。(ただし、「マクロ」と呼ばれる機能を使えるので普通の多機能マウスよりも若干複雑な操作を割り当てることはできる)

基本的にはキーボードショートカット/マウスでできることをより直感的に高速に呼び出せる、のが基本的な左手デバイスの価値だ。キーボード、マウスは各アプリの作業に特化するように設計されているわけではないし、色々なアプリのショートカットを覚えるのはなかなかエネルギーがいる作業だ。それに比べると、ボタンやダイアルの数が限られる左手デバイスは使いこなすために覚えることが最小限で済みつつ、ショートカットによる効率化の恩恵を得ることができるというのが魅力だ。加えて、キーボードショートカットと違って手の移動が最小限になる点も嬉しい。

動画編集(Premiere)での効果は絶大

なので重要なのは、どのボタン・ダイアルを各アプリのどの機能に結びつけるか、になってくるのだが、利用者が多いアプリには予めプリセットが用意されている。自分がギターのリペア動画やデモ演奏動画の編集に使用しているPremiere用にもプリセットが用意されていたので、最初はそのプリセットの設定で使っていた。

最初の数日こそ慣れるための努力が必要だったが、その後はすんなりと身体に操作方法が染み込んで頭を使わずに直感的に操作ができるようになった。やはりユーザが多いデバイスだけあって動画編集における効果は絶大で、もはやこれなしでの動画編集は考えられなくなってしまった。動画編集においては特にジョグダイアルによる再生位置の調整がとても良い。ジョグダイアルで位置を調整して、良い位置に来たらそのまま親指で編集ポイントを作る、カットするといった作業が本当に快適だ。

その後、自分の作業スタイルにあうように若干各ボタンに対するアクションをカスタマイズして使用しているのだが、とりあえず動画編集におけるこのデバイスの価値・効果は間違いないと思った。

音楽制作(Cubase)における効果は…

TourBoxを導入した一番の目的は音楽制作、特にCubaseでの作業効率を改善することだった。TourBox導入の少し前にLogicoolのトラックボールマウスMX Ergoを導入したのだが、腕や手首の疲れが軽減した一方でMX Masterに比べると横スクロールがやりにくくなったことで、Cubaseでの作業効率が悪くなってしまっていたので、それを補完する目的で左手デバイスの導入を検討していた。

Cubase用のプリセットはデフォルトでは用意されていないので、ユーザが作って公開しているプリセットをダウンロードして使うか、自分でボタンの割り当てをカスタマイズして使うことになる。

他のユーザが作成したプリセットをダウンロードして使ってみたのだが、どうにも使い勝手が悪く自分でゼロから割り当てを作ることにした。再生、録音、停止、マーカー間でのカーソル移動などを各ボタンに割り当て、中央のダイアルを横スクロールに割り当てた。ここまでは期待通り動いたのだが、問題はカーソル位置の移動だった。Nudge Cursor LeftとNudge Cursor Rightをダイアルに割り当てると、ダイアルの回転でカーソル位置を動かすことができるのだが、この割り当てでカーソルを移動させていると時々何かのきっかけでカーソルの動きがかくつくようになってしまう。しばらく調べてみたものの今の所原因はわからず、この部分についてはストレスを感じたまま使い続けている。

もちろん、それ以外の部分ではこのデバイスを使うことによる効率改善を実感できているが、一番期待していたカーソル移動に難があるのはとても残念だ。今後対策が見つかることを期待したい。

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