お塩の事務所のコロボックル
松原タニシの事故物件で思い出したのですが、
僕もかつて事故物件に住んでいました。
住んでいたと言っても
機材などを置くために
倉庫のようなものとして
借りていただけですが、
その部屋が、
かなり格安な家賃で募集されていたので、
仲介業者に確認すると、
前の住人が自殺しているということでした。
内見をお願いすると、仲介業者から、
「うちの社員が何人も
その部屋に行って具合が悪くなっているので、
鍵は開けてありますから、
勝手に見ていただけますか?」
と言われたので、
まだ幼児だった息子のハルを
自転車に乗っけて見に行った。
見に行く前に
霊能師匠の所に
その物件について聞きに行ったのだが、
その(自殺した)人は、
多分(死んだ)おかあさんだと思うんだけど、
とても会いたい人がいて、
淋しくて淋しくて死を選んだみたいね、
もうその人のところに行っているので、
その部屋にはいないから大丈夫。
と、太鼓判をいただいていたのだ。
でもやっぱり不気味な感じはしましたね。
各部屋の中央に盛塩がしてあって、
お祓いに使った紙吹雪のような和紙が、
部屋じゅうに散らばっていました。
ふと気がつくと子供がそばにいなくて、
探したらもうひとつの部屋で盛塩を、
指につけてこっそり舐めようとしていました。
僕がその部屋に入ると、
子供は「うわっ、見つかった」という感じで、
ビクッとしていました。
結局その部屋を借りましたが、
子供はその部屋のことを
「お塩の事務所」と呼んでいました。
借りてから気が付いたのですが、
自殺した前の住人は
お巡りさんだったらしく、
部屋に交番の勤務のシフトが貼ってありました。
自殺の原因は
あちこちの町金からお金を借りて、
借金で首が回らなくなったからのようで、
僕が住人になってからも、
返済の催促の手紙が
あちこちから来ていました。
別に住んでないからいいのですが、
夜中に取り立てに来られるのも嫌なので、
いちいちそういう手紙に
〇〇さんはお亡くなりになりました、
と、返事を書きました。
写真はネットで見つけた、
家賃の催促状ですが、
お塩の事務所に来ていた手紙は、
右翼団体〇〇会とか書かれた、
もうちょっと強面なものでした。
その部屋でパソコンを使って作業していて、
ふと気が付くと日が暮れており、
「あっ、しまった、
ここはそういう部屋だった。」
と思い出すのですが、
その時以降、視界の隅を
何かがシュッと横切り始めるのです。
僕はそれをコロボックルと呼んでおり、
「コロボックルが出始めたから、
今日はそろそろ帰ろうか、」
という感じで、自宅に帰ったものです。
実は今働いている倉庫にも、
時々そういう「何か」の気配がします。
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